【京都】紅葉の愉しみ方!明治の京都をたどる!
近世から近代へ、大転換期のメイン舞台ともなった京都。2018年は、ダイナミックな時代の息吹を伝える旧跡に、当時と変わらない秋の風景を訪ねてみたい。...
銀閣寺から、さらに北へバスで10分弱。一乗寺というエリアに「詩仙堂」があります。
江戸時代、徳川家康に仕え、風流人として知られた石川丈山が終の住処とした山荘です。漢詩をこよなく愛した丈山が中国の詩仙画を部屋に飾ったことから詩仙堂と呼ばれるように。
輝くばかりの白砂に、こんもりと刈りこまれたピンクのサツキがリズミカルに重なりあう庭は、中国の風景を思わせます。そして、その背景には青もみじ。白砂やサツキと相まって、新緑の鮮やかさがより際立ちます。
また、詩仙堂の境内は、その小さな門からは想像できないほど広々としています。ぜひ、庭園の散策も楽しんでみましょう。
一乗寺エリアには、先に紹介した詩仙堂のほかにも、魅力的な庭園があります。
そのひとつ、「圓光寺」は、江戸時代に徳川家康が伏見に開いた学問所に始まるそう。
お寺に着いたら、まずは室内から庭園を鑑賞。部屋の柱や鴨居が額縁のようになり、もみじと苔で緑に染まった庭を一幅の絵画のように見せてくれます。庭の中心には、牛の形をした石がどっしり。計算し尽された風景に心が奪われそうです。
お座敷からの眺めを堪能したら、次は庭園を散策。さらに近くから鮮やかな青もみじにふれることができ、最後は小高い丘の上から境内を一望。さまざまな角度から青もみじを見ることができる数少ないお寺です。
数ある京都の社寺でも、名前の美しさにトキメク「青蓮院」。地下鉄の東山駅から歩いて5分のところにあります。
代々皇族が住職を務める格式の高い寺院で、池を中心にした「相阿弥の庭」、キリシマツツジの名所でもある「霧島の庭」の2つの庭園を楽しむことができます。
座敷から眺める青もみじが美しいのは「相阿弥の庭」。ついつい、縁側まで行ってしまいがちですが、庭が一番美しく見えるのは、その家の主が座る床の間の前。一度、少し奥まったところから庭を眺めてみましょう。
また、青蓮院といえば、木村英輝氏による襖絵が有名。寺名の「蓮」を描いたビビッドな作品もお見逃しなく。
嵐山の中心に広がる「天龍寺」は、足利尊氏が後醍醐天皇の魂を慰めるために創建した禅寺で、世界遺産のひとつです。
室町時代の作庭家・夢窓疎石が手掛けた方丈前の曹源池庭園は、曲線を描く白砂の優美さ、石組みの力強さという2つの相反する要素を1つの庭に取り入れた、当時画期的な作品でした。
今は、池を縁取る青もみじが池に映り込み、上下対称の不思議な風景を見せてくれます。背後の嵐山の緑も見どころのひとつです。
また、もうひとつの「百花苑」は自由に散策ができる庭園です。四季の花に彩られ、青もみじもいたるところで見ることができます。
南禅寺の三門のすぐ南に位置する塔頭「天授庵」。枯山水と池泉庭園、趣の異なる2種類の庭があります。
まず、方丈前の枯山水は、苔と切石のデザインが、江戸時代のものとは思えないほどモダン。白砂に青もみじがこばれんばかりに覆いかぶさっています。
もうひとつは、書院南の池泉回遊式庭園。通路に沿って庭をめぐることができ、錦鯉の泳ぐ池にかかる素朴な木橋、水鏡に映る青もみじ、なにもかもが幻想的で夢の世界にいるよう。まだ知る人が少ない隠れもみじのひとつです。
また、少し変わった見方としては、南禅寺の三門から境内を見下ろすというのもあります。石川五右衛門が「絶景」と称賛した風景を、一度見てみませんか?
泉涌寺の大門をくぐり、右手に道なりに進んでいくと、塔頭寺院の「雲龍院」に到着します。皇室からの信仰も厚く、写経道場としての長い歴史があります。
こちらは、お座敷から窓を通して眺める青もみじが秀逸。
まず行きたいのが蓮華の間。4枚の障子にそれぞれガラス窓があり、正方形に切り取られた青もみじがモダンアートのようにも見えます。
そして、次に向かうのは書院。床の間を挟み、並んである2つの窓、真円の「悟りの窓」と長方形の「迷いの窓」にも庭の青葉が映し出されています。
一通り青もみじを堪能したら、台所の「走り大黒天」と呼ばれるユニークな仏様に挨拶をして、お寺を後にしましょう。
室町幕府管領の細川頼之が創建した天龍寺の塔頭「宝厳院」は、春と秋に特別公開されます。
まず、参道の青もみじのトンネルに感激! その涼し気な色あい、高すぎることもなく、低すぎることもない木の高さが、若葉を愛でるのにピッタリ。
そして、こちらのメインは庭園。嵐山の風景を取り込んだ「獅子吼の庭」には220本以上のカエデが並び、その空間を緑に染めます。
この「獅子吼」というのは仏が説法するという意味で、その教えが世に広まることを示すそう。「獅子石」は苔むす巨石で、傍らのカエデが石に寄り添います。変化に富んだ広い庭園なので、時間をかけてゆっくりめぐってくださいね。
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