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全国にある磨崖仏の6~7割が国東半島を中心に大分に集中!

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2022年10月5日

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全国にある磨崖仏の6~7割が国東半島を中心に大分に集中!

崖に直接彫られた仏像が、大分県には数多く見られます。その背景には謎が多くありますが、古い伝承と、平安時代に流入した密教が結びつき、今も信仰を集めています。

「磨崖仏」とは岩壁に直接彫られた仏像

岩壁に直接彫られた仏像を「磨崖仏(まがいぶつ)」と呼びます。インドや中国など、アジア地域の仏教圏で広く見られ、日本でも平安時代から全国各地でつくられました。そのうち、じつに6~7割が大分県に集中するといいます。

大分県では、約90カ所、約400体もの磨崖仏が確認されています。平安時代後期から鎌倉時代にかけて制作されたものは、とくに規模が大きく、優れたものが多くあります。この時期は、大分県域に天台宗(てんだいしゅう)系の仏教文化が浸透した頃であり、中央政府との関係が深かったため、仏像の制作が盛んだったと考えられています。しかし、誰がどのような目的で磨崖仏を造立したのかについては、いまだ謎に包まれています

磨崖仏の造立には、強大な財力と権力が不可欠である。磨崖仏がある場所には、その当時、力をもつ氏族が存在したのだろう。
大分県HPの資料を元に作成。

「磨崖仏」は大分県内でも地域によって異なる特徴をもつ

大分県内における磨崖仏は、大分市以南の県中部・南部と、国東(くにさき)半島を中心とした県北部で異なる特徴をもちます。

県中部・南部には、約9万年前の阿蘇山の噴火で起きた大規模な火砕流が冷え固まった溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)が広く分布しています。この岩は石質が均一で柔らかいため、立体的で複雑な彫刻が可能でした。したがって、大分県中部・南部地域にはほぼ全身が彫り出された大型の磨崖仏が多く見られます

この地域には、昔話「炭焼長者」のもととなった真名野(まなの)長者伝説があります。古代、身分の高い姫が仏の導きにしたがって炭焼きの妻となり、炭を焼く山で大量の金を発見したという伝説です。姫の死後、弔いのため炭焼きがつくらせた石仏が臼杵(うすき)石仏(臼杵市)であると伝わっています。

臼杵石仏は質・量ともに日本を代表する石仏群で、1995(平成7)年に磨崖仏として全国で初めて国宝に指定されました。石仏群は、ホキ石仏第1群(堂ヶ迫(どうがさこ)石仏)・ホキ石仏第2群・山王山(さんのうさん)石仏・古園(ふるぞの)石仏の4群に分かれています。当初から国宝に指定されていたのは59体で、2017(平成29)年に古園石仏群入口の金剛力士立像2体が追加指定され、存在する磨崖仏61体すべてが国宝に指定されました。

いっぽう、県北地域には、角ばった岩片が火山灰で固まった凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)が分布しています。この岩は硬く石質が均一でないため、複雑な彫刻は難しく、県北地域では浅く彫られたレリーフ状で小型の磨崖仏が多くあります

「磨崖仏」は大分県内でも地域によって異なる特徴をもつ

臼杵石仏

臼杵石仏

住所
大分県臼杵市深田804-1
交通
JR日豊本線臼杵駅から大分県庁前行きまたは三重行きバスで20分、臼杵石仏下車すぐ
料金
入場料=大人550円、小・中学生270円/稲葉家下屋敷・野上弥生子文学記念館・吉丸一昌記念館との共通券=大人1140円、小・中学生560円/稲葉家下屋敷との共通券=大人710円、小・中学生350円/(障がい者は大人260円、小人130円)

磨崖仏でつくられた国東の不動明王の表情は穏やか

国東地域には、険しい岩壁や洞窟が多く、古くから鬼の棲む異界と考えられていました。とはいえ国東では、鬼は災厄を払ってくれるよい存在として、人々から親しまれてきました
平安時代に密教文化が流入すると、鬼は不動明王と同一視されるようになります。不動明王は怒りの表情で表現されるのが一般的ですが、国東地域では優しい表情をした丸顔に表現されることが多くあります。熊野磨崖仏(豊後高田市)も、素朴で穏やかな表情が特徴です。
なお、豊後高田市にも「田染(たしぶ)石」と呼ばれる良質な溶結凝灰岩を産出する地域があり、石材加工業が発達しました。

磨崖仏でつくられた国東の不動明王の表情は穏やか

迫力の大きさも穏やかな表情でどこかユーモラスな熊野磨崖仏

熊野磨崖仏

住所
大分県豊後高田市田染平野2546
交通
JR日豊本線宇佐駅からタクシーで30分
料金
大人300円、小人150円(30名以上の団体は大人240円、小人120円)

磨崖仏があるところには湧水あり

そして、磨崖仏につきものなのが湧水です。長期間にわたって磨崖仏を制作するための飲み水や、完成した磨崖仏に供える閼伽水(あかみず)として、湧水のある場所が磨崖仏の制作場所に選ばれやすかったのでしょう。湧水を神聖視する考え方も影響していると思われます。

磨崖仏群は、現在でも地域住民の信仰の場です。これらを後世に残していくために、保存技術の研究が進められています。

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大分県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。大分の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く大分の大地

・大分県の地形総論
・源泉数と湧出量で日本一を誇る 火山・断層・扇状地が生んだ別府温泉
・小さな火山島は見どころ満載!ジオアイランド姫島をぐるり1周
・山国川とその支流に連なる奇岩 名勝・耶馬渓はどうやってできた?
・阿蘇火山の大噴火がつくった!滞迫峡ほか豊後大野の超絶景
・さまざまな火山活動により生まれた火山群・くじゅう連山の正体
・かつてカルデラがあった痕跡!? 花崗岩が押し上げた祖母山の謎
・日田盆地を形成した地殻変動と幻想的な霧の発生メカニズム
・約3億年前の南洋で生まれた! 生産量日本一・津久見の石灰岩

Part.2 大分で動いた歴史の瞬間

・古代史総論/邪馬台国論争まで勃発!大分県に古代のクニはあったのか?
・全国八幡宮の総社である宇佐八幡神が成立するまで
・中世総論 豊前と豊後で大きく異なる支配体制
・国東半島で栄えた六郷満山文化
・大内氏と大友氏の覇権争い
・九州王となった大友宗麟の軌跡
・近世総論 大友支配の終焉と小藩分立
・豊後で栄えた海上貿易
・九州のオランダと呼ばれるまでに日田の金融業が発展したのはなぜ?
・近現代総論 大分県の成立と近代化の遅れ
・初代県令によって築かれた県都大分市の基礎

Part.3 大分で育まれた産業や文化

・別府温泉を一大観光地にした亀の井旅館・油屋熊八の功績
・寒村から日本一の温泉町に! 湯布院がやりとげた起死回生
・臨海部の再開発で景観が一変! 大分地区新産業都市の建設と発展
・関サバ・関アジはブランド化!豊後水道が全国屈指の好漁場なわけ
・昭和初期には産出量全国1位に!鯛生金山の開発・発展と現在
・もともとは粕取り焼酎だった!? 大分の焼酎が全国で人気のブランドに
・臼杵石仏や大分元町石仏など大分に築かれた石仏文化

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