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まるで時間旅行!昭和の香りあふれる北海道「三笠ジオパーク」の魅力

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2020年9月21日

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まるで時間旅行!昭和の香りあふれる北海道「三笠ジオパーク」の魅力

緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ安心できず「久しぶりに旅行したいけれども、3密は避けたい……」という方も多いのではないでしょうか。
今回、そんな方にお勧めしたい旅先が広々として密集ゼロの、北海道・三笠市です。

炭鉱が栄えていた面影が随所に残り、街全体がジオパークに指定されていることから、見どころがたくさん。もちろん、温泉やおいしい食べ物もあります。三笠ICまでは札幌から車で約30分、新千歳空港から約1時間とアクセスが良いこともポイントです!

三笠ジオパークとは

三笠ジオパークとは
石炭の発見から開拓がはじまった

ジオパークとは、「地球・大地(ジオ Geo)」と「公園(パーク Park)」を組み合わせた言葉。
地球(ジオ)を学び、楽しむことができる場所を意味し、日本では43の地域がジオパークの指定を受けています(2020年4月現在)。

三笠市は街の形成そのものが「ジオ」と密接に関わってきたことから、三笠市全体がジオパークに指定されているのです。2019年には日本遺産「炭鉄港」に認定され、市内には8つの構成文化財があります。

三笠市における新型コロナウイルスに関する最新情報

三笠市における新型コロナウイルスに関する最新情報
写真:123RF 三笠の町を見渡す

5月25日に北海道の緊急事態宣言が解除され、自粛を続けていた商業施設や遊戯施設など、その多くが6月1日から営業を再開しています。

三笠にある北海道三笠高等学校は食物調理科のある高校。
ここで調理などを学ぶ高校生が研修の一環として一般人に調理、サービスを行うのが「三笠高校生レストラン」です。

三笠高校も6月1日から学校再開となりましたが、「三笠高校生レストラン」の「まごころきっちん」、「Cherie(シェリー)」など生徒が担当していた店舗は学業優先のため、当面は休業するようです。

高校生が考案した商品を販売する「エソールストア」のみ、5月26日より営業時間を前後30分ずつ短縮して再開されました。

■まごころきっちん
住所:北海道三笠市若草町396番地1
電話番号:01267-3-7335
営業時間:11:00~14:00
営業日:土曜・日曜・祝日、長期休業期間中(春・夏・冬)
※ただし、学校行事などで休みとなる場合があります。

■エソールストア
営業時間:【4~9月】9:00~18:00、【10月~3月】9:00~17:00
定休日:月曜、年末年始

■Cherie(シェリー)
電話:01267-2-7336
時間:11:30~14:30
営業日:土曜・日曜・祝日、長期休業期間中(春・夏・冬)

昭和の時代にタイムスリップ!炭鉱跡や野外博物館をめぐってみよう

昭和の時代にタイムスリップ!炭鉱跡や野外博物館をめぐってみよう
今でも人々が生活する炭鉱住宅

今回は三笠市の歴史や地層の仕組みなどがよくわかる「幾春別(いくしゅんべつ)・奔別(ぽんべつ)エリア」、「野外博物館エリア」、「幌内エリア」を散策します。

東洋一の規模を誇る 旧奔別炭鉱立坑櫓(きゅうぽんべつたんこうたてこうやぐら)

東洋一の規模を誇る 旧奔別炭鉱立坑櫓(きゅうぽんべつたんこうたてこうやぐら)
街を見下ろすランドマーク的存在

まずは幾春別にある旧奔別(ぽんべつ)炭鉱を訪れてみましょう。
旧奔別炭鉱はJR函館本線 岩見沢駅から車で27分。明治33年に奈良炭鉱として開鉱

昭和3年に住友坂炭鉱に売却された後、昭和5年に経営が住友炭鉱に移ります。昭和46年に閉山されるまでに、累計約2,650万トンの石炭が採掘されました。

旧住友炭鉱立坑櫓は昭和34年に完成し、翌年に操業を開始。櫓(やぐら)の高さは約51メートル、深さは約735メートルを誇ります。中は私有地のため、敷地外から外観のみ見学することができます。

旧奔別炭鉱立坑櫓

住所
北海道三笠市北海道三笠市奔別町
交通
岩見沢駅からバスで50分(三笠幾春別線「幾春別4丁目」下車、徒歩10分)、道央自動車道三笠ICから車で約15分
営業期間
通年
営業時間
見学自由
休業日
情報なし
料金
無料

三笠の歴史が集約される、三笠の歴史が集約される野外博物館

三笠の歴史が集約される、三笠の歴史が集約される野外博物館
時折エゾシカなどの自然動物が出現

炭鉱を出たら車で3分の三笠市立博物館に移動します。三笠市立博物館の裏側は、野外博物館になっています。
往復60分の散策路が整備され、1億年前、5000万年前の地層や炭鉱施設など、三笠ジオパークにとって重要な要素を余すことなく楽しめます。

野外博物館の展示、全15つのポイントから4つを選りすぐりました。

1. 森林鉄道

1. 森林鉄道
今も残る森林鉄道の橋梁跡 

散策路は幾春別川に沿って進みます。
ここには昭和13年から昭和31年まで森林鉄道が敷設され、切り出されたエゾマツやトドマツが運ばれていました。よく見ると橋梁のコンクリート塊が残っているなど、人の形跡を感じることができます。

2. 旧幾春別炭鉱 錦立坑櫓(にしきたてこうやぐら)

2. 旧幾春別炭鉱 錦立坑櫓(にしきたてこうやぐら)
北海道炭鉱鉄道(北炭)の社章が掲げられている

うっそうとした森の中に、大きな建造物が現れるのは幾春別炭鉱。
この炭鉱は明治19年に開鉱し、昭和32年の廃鉱まで、累計約650万トンの石炭が採掘されました。

地下の坑内で採掘された石炭は、地上の「選炭場」と呼ばれる施設へ運ばれ、石炭と不要な土砂(ズリ)に選り分けられていました。
大正8年に建設されたこの錦立坑櫓は、北海道に現存するものの中で一番古いものとされています(日本遺産構成文化財)。

捲揚(まきあげ)室

櫓は高さ約10メートル、地下約215メートルの深さがあり、地底で採掘した石炭を坑口から運び出していました。昭和28年の写真では、近くに大きな建物や炭住があったことが確認できます。
原生林をかき分けて街を築いた、開拓者のたくましさが伝わってくるようですね。

3. まるごと石炭

3. まるごと石炭
地表に露出した石炭層

数千万年~数億年前の植物が腐る前に地中に埋もれ、長い期間を経て石炭に。

一般炭は燃料になり、原料炭は鉄鋼を作る際の原料である「コークス」になります。
私たちが目にする石炭は「こぶし大」の大きさが多いですが、野外博物館を散策していると、炭の地層があらわになっているところも。なかなかお目にかかることがない光景ですね。

4. ひとまたぎ5千万年

4. ひとまたぎ5千万年
断層でずれた時代が異なる地層 

この付近は、約5000万年前の地層(幾春別層)の隣に、約1億年前の地層(三笠層)が分布しています。

ひとまたぎ覆道

「ひとまたぎ覆道」の手前には約5000万年前の地層と、約1億年前の地層の境界線があります。
この境界線をまたぐことで、一気に5000万年もの時間をタイムスリップ!地層ができた時代を想像しながら超えてみると、不思議な感じがします。
三笠ジオパーク推進協議会では、ガイド付きで見学できる「野外博物館ガイドDay」も実施しています。

三笠市立博物館を一時間ほど散策しましたが、すれ違った人は一人。それと突然ジャンプして現れたエゾシカ1匹でした!

■三笠市立博物館・野外博物館
住所:北海道三笠市幾春別錦町
交通:岩見沢駅からバスで50分(三笠幾春別線「幾春別町」下車、徒歩5分)、道央自動車道三笠ICから車で約20分
営業期間:5月~11月
営業時間:日の出から日没まで
休業日:なし
料金:無料

■野外博物館ガイドDay
時間:①10:00  ②11:30 ③13:00
受付:三笠市立博物館正面玄関
料金:大人500円 小・中学生300円
申込:予約不要、随時受付
予約:01267-2-3997(平日のみ8:30~17:00)

※6月19日より通常開館されています。

あい鴨料理と天然温泉が自慢 湯の元温泉旅館

あい鴨料理と天然温泉が自慢 湯の元温泉旅館
閑静な山間の一軒宿

朝から散策をしたらそろそろおなかもすいてくる時間。
三笠市立博物館から車で10分弱の場所にある、「湯の元温泉旅館」に行ってみましょう。

昭和32年に開業した旅館は、地域の人や工事関係者の癒しの場として親しまれています。

創業者が「何か珍しいものをメニューに加えたい」と合鴨料理を提供し始めたのだそうで、今では旅館の名物に。

宿を代表する名物料理

かもカレー、あい鴨丼、鴨そばなど、多数のあい鴨料理を提供していますが、中でも「あい鴨鍋(1,600円税込)」が人気。
厳選された国産あい鴨を醤油ベースの出汁で煮込み、地元の店から仕入れた、旨味の強い豆腐が味を際立てます。

ヒグマとエゾシカがお出迎え

宿泊は1泊2食7,700円(税込)から。天然温泉の日帰り入浴も楽しめます。
温泉は無色無臭な単純硫黄冷鉱泉で、神経痛・関節痛・慢性皮膚病などに効用があります。野鳥の声が聞こえる露天風呂もあり、三笠観光に最適ですね!

湯の元温泉

住所
北海道三笠市北海道三笠市桂沢94
交通
JR函館本線岩見沢駅より車で約35分、道央道三笠ICから車で約30分
営業期間
通年
営業時間
日帰り入浴=10:00~21:00(最終受付20:30)/食事=11:00~19:00
休業日
なし
料金
日帰り入浴=大人500円、小学生250円、3歳以上100円

地域住民があたたかく見守る 旧唐松駅

地域住民があたたかく見守る 旧唐松駅
草木に覆われたかつての幌内線貨物支線

旅館から車で走ること約10分。かつて鉄道が走っていた駅跡を見学にいきましょう。

北海道最初の鉄道は、幌内炭鉱から採掘された石炭を輸送する目的で、明治時代に建設が始まりました
明治15年11月13日には手宮(小樽)~幌内まで全通。開業式典がとりおこなわれました。

相次ぐ炭鉱の閉山や人口減少により、幌内線は昭和62年7月13日 に全線が廃止されましたが、鉄路を失った今も「鉄道の街」として息づいています。

駅名標がなければ農家の納屋のよう

鉄道廃止後は多くの駅が取り壊される中、幾春別地区から幌内地区の途中にある「旧唐松(とうまつ)駅」は、現役さながらの状態を保っています。

駅舎は「ギャンブレル」と呼ばれる特徴的な屋根を持ち、農家の納屋のような形をしています。
幌内線廃止後、駅舎が朽ちる姿に心を痛めた地域の方々により、平成15年に修繕が行われました。

今にも改札が始まりそうな雰囲気

待合室には炭鉱が栄えていた頃の写真が飾られ、現在と過去をつないでいます。賑やかだった駅も今や昔の夢。
きまぐれに旅行者が立ち寄るものの、すぐに静寂が戻ります。

雑誌の表紙を飾った唐松駅

唐松駅でのワンシーンが、ツーリングマップル2017の表紙を飾りました。
駅を管理する「新幌内笑楽校」のコメント(以下)と共に、その表紙が掲示されています。

「駅舎の美化活動をしている私たちは、この表紙を飾りたいと発行元の昭文社にお願いしたところ、快諾いただき、メッセージとともに表紙の写真を展示することができました。この駅を表紙にしてくれた関係者の皆様、ありがとうございます。」

■旧唐松駅
住所:北海道三笠市唐松町1
交通:岩見沢駅より車で約22分、道央道三笠ICから車で約10分
営業期間:夏期

北海道鉄道発祥地 クロフォード公園

北海道鉄道発祥地 クロフォード公園
教会のような外観の幌内太駅

旧唐松駅の次は、三笠駅の跡地見学へ。
旧唐松駅から車で8分の場所にあるこの場所は、駅廃止後に「クロフォード公園(三笠鉄道村・三笠ゾーン)」として整備されました。

この名前は北海道開拓使顧問として官営幌内鉄道建設を指導したアメリカ人技術者、ジョセフ・ユリー・クロフォードにちなんで命名されています。

歴史的価値がある車両を展示

ホームと跨線橋は当時のまま。
写真の列車は展示されている機関車で、昭和43年に天皇・皇太后両殿下が道内を行幸啓(ぎょうこうけい)*された、お召列車を牽引したものです。(*行幸啓 – 天皇、皇后がご一緒に国内に出かけられること)

他にも、北海道で最初に登場した「特急おおぞら(札幌~釧路)」に使用された「キハ82系」も展示されています。

三笠トロッコ鉄道で廃線跡をたどる

三笠トロッコ鉄道で廃線跡をたどる
トロッコ鉄道は2.5kmの旅

三笠から幌内までの廃線跡2.5kmは「三笠トロッコ鉄道」として利用されており、自分で運転する「運転体験トロッコ」、モーター車が牽引する「展望トロッコ列車」、炭鉱跡を突き進む「アドベンチャートレイン」などを楽しむことができます。

展望トロッコ列車は、次の紹介スポットとなる三笠鉄道村幌内ゾーンまで運行しているので、しばし鉄道の旅を楽しむのもいいでしょう。

■クロフォード公園
住所:北海道三笠市本町971-1
交通:岩見沢駅より車で約18分,道央道三笠ICから車で約7分
営業期間:土日祝日及び4月29日~5月6日、夏休み期間
営業時間:9:00~17:00
休業日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
料金 :トロッコ運転体験=1500円(運転)、1200円(同乗)、小人600円/展望トロッコ列車=1000円、小人500円/アドベンチャートレイン=2000円/小人1,000円
※展望トロッコの運行区間は(鉄道村→初音町(トロッコターミナル)→鉄道村)で途中下車は出来ません。
※アドベンチャートレインについて、2020年度は6月15日現在運休中

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