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【連載エッセイ・第23回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~

高橋のら

更新日:2021年2月26日

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【連載エッセイ・第23回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~

東京生まれ、東京育ち。9年前に奥さんと、大分・国東半島へ移住。

そこで出会った猫たちと、こんどは、自然豊かな伊豆の田舎へ。

ゆっくりと流れる時間のなかで、森や草むらで自由に駆け回る猫たちと、一緒に暮らす日々のあれこれをお伝えしていきます。(毎週火曜日・金曜日に公開)

>>第1回から読む

毎日が猫の日、毎日が猫と暮らす日

2月22日はニャンニャンニャンで猫の日。
でも我が家は毎日が猫の日だし、猫と暮らしている人なら誰だってそうだと思う。
この連載で使うために写真を選んでいると、国東の山で暮らした3年半がふつふつと思い出される。僕と奥さんのパソコンの中には子猫の成長を記録した何千枚もの写真が入っているけれど、そんな写真をどれだけ広げてみても、彼らと過ごした1分1秒の愛おしさには及びもしない。

毎日が猫の日、毎日が猫と暮らす日

冬が近づく山に捨てられて数日後の4兄妹。この頃は4匹いつも一緒だった

四季の草花に囲まれながら育った我が家の猫たち。根っからの山育ち

あの山と同じようにこの家でも、やっぱり冬の終わりにはウグイスの声が毎日聴こえ始め、やっぱり庭の隅にはスズランスイセンやクリスマスローズがひっそりと咲く。そうして猫たちは、ここでもやっぱりモグラや野ネズミを追い掛け回している。やがて頭の上に桜が咲き、ホトトギスが初夏を告げ、夕立の後に彼岸花が秋を連れてくる。
僕はほんの数年前の写真をモニタの上で一枚ずつ繰りながら、あんなに小さくて仲の良かった子猫たちの日々を懐かしく思い出している。毎日あいつらが駆けた、名前もない里山の静けさを思い出している。

毎朝1時間、みんなで散歩したよなあ。夢みたいな3年半だったね

2歳の頃の「ひでじ」と「ちー」。今はこんなに仲良くすることはなくなっちゃったな

行き交う人もなく、列を成す車もなく、ネオンも音楽も街灯もショーウィンドウもない国東の山で過ごした3年半は、思い返してみればどこか桃源郷のような切なさで心を満たす時がある。
10年前、僕があの土地へ移り住まなかったら、6匹の子猫たちは冬の山で腹を空かせたまま死んでしまったかも知れない。あれは運命だったのかな。それとも偶然だったのかな。僕は自分の部屋の小さな窓から空を見上げ、ちょっと物思いに浸りながらズズズズズとコーヒーなどすすってみる。キーボードの横にはちーが寝ていて、袖机の上ではひでじが大あくびをしている。

猫たちの寝姿や背中は、僕ら人間にいろいろ語りかけてくれる

1960年東京生まれ。製本業経営を経て編集プロダクションを設立。
2011年に東京から大分県国東市へ移住し、2014年に国東市から静岡県伊豆半島に転居しました。現在は伊豆の家で編集業を営みながら仕事上のパートナーでもある家内と、国東で出会った6匹の猫たちと共に暮らしています。
国東での猫暮らしを綴った著書「猫にGPSをつけてみた」雷鳥社刊があります。

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