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山形の美味しい板そば5選 地元ライターが推す板そば

SAGOJO

更新日:2021年12月28日

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山形の美味しい板そば5選 地元ライターが推す板そば

山形県は古くからそばの産地。俳人松尾芭蕉が「奥の細道」の途中、山形県羽黒山でそば切りをもてなされたことなどが史実に記されています。現代では「田舎そば」「やぶそば」「更科そば」「山菜そば」「肉そば」など、多様なそばが楽しめる土地として有名になりました。

今回は、山形県に住むそば好きライターが、山形名物「板そば」をご紹介します。

板そばとは

板そばとは
板そば

「板そば」とはその名の通り、「板に盛ったそば」のことですが、実際には「板」というよりも、「薄箱」と言った方が想像しやすいかもしれません。

元祖板そばの店主によれば、その昔、生そば注文の際、「三板くれ」などと注文していたことから、「板そば」が誕生したのだそう。また、板に盛ったそばを大勢で囲んで、同じそばを口にすることで親睦を深めたそうです。

また、一説によれば、「板につく」という表現にあやかり、水切りの良いざるではなく板を使って、「縁をこぼさないように」と縁起を担ぐなどとも言われるようです。

「つなぎ」を使っていない頃のそばは切れやすく、一年の苦労や借金を切り捨て、新年に持ち越さないようにと年越しにそばを食べたり、「おそばに末永く」という挨拶を込めて、引越しそばを食べたりと、そばは人々の暮らしの中で親しまれてきました。

シンプルな材料で作るそばは、こだわりが個性として出やすい繊細なもの。同じ蕎麦屋でも、そばの実の出来や季節によっても微妙な違いを感じます。好みに合うそばを求めて食べ歩きしてみましょう。

山形の美味しい板そば1. リピーター続出!「手打ち蕎麦十割 あだち」(東根市)

上:板そば 800円 下:太切り 1,000円(各税込)

まずご紹介したい蕎麦屋は、東根市の住宅街にある十割そばのお店「手打ち蕎麦十割 あだち」です。山形県内屈指のそば街道がある村山市にかつては暖簾を掲げていましたが、「この先も長く、夫婦で美味しいそばを届けたい」という思いから、数年前に東根市に自宅兼店舗となる蕎麦屋を構えたそうです。

1年を通してそばの風味を保つため、収穫した殻付きのそばの実(玄そば)は、温度と湿度が管理されている雪室に貯蔵しています。山形県産品種の「でわかおり」と「最上早生(もがみわせ)」の2種類の玄そばをブレンド。つなぎ粉は一切使わず、十割そばにこだわっています。

お品書きは「板そば」「太切り」「にしんの甘露煮」のみというこだわりぶり。冬季は、これに「かも鍋」と「かいもち」が加わります。

毎日手打ちするそばは20~25食のみで、週末は1時間で営業終了することもあります。

割り箸より太い!?迫力の「太切り」(手前)と端麗な「板そば」(奥)

十割そばと言っても印象は様々。わかりやすいのは「太さ」による違いです。

太切りは、剛健な極太そばで、口に運び、ひと噛みすると塩味を感じます。わしわしとそばを噛むほどに塩味が甘みを連れてきて、香りが湧き広がり、たちまち虜に……!

そばつゆは、芳しい甘めのつゆで、焼きあごと鰹節と北海道産の昆布を使用しているのだそう。
そばの香りを愉しみたい方は、そばをつゆに浸けずに、そばを口に運んで噛み終えたら、つゆを少し口に含んでみてください。見事な仕上がりのそばとつゆ、それぞれどちらも余すことなく味わえるはずです。

一方、細めの「板そば」は、そばつゆの絡みも良く、つるつると喉で風味を感じられます。

店内は和室2間のみ

日本建築の蕎麦屋店内には、掛け軸や一本の木で作った火鉢などがあり、調度品からも店主のこだわりある人柄が感じられます。

新型コロナウイルス対応:検温、消毒、換気、マスク着用など

■手打ち蕎麦十割 あだち
(てうちそばじゅうわりあだち)
住所:山形県東根市神町東1-19-15
電話:0237-53-6950
交通:東北自動車道 東根ICより車で約10分
営業期間:通年
営業時間:11:00-15:00(売り切れ御免)
休業日:毎週月曜日
カード利用:不可
駐車場:あり 無料 約4台

山形の美味しい板そば2. 継承と革新の二刀流「定助そばや」(河北町)

板そば(3人前) 2,100円(税込)

2021年で100年を迎えた老舗蕎麦屋「定助そばや(さだすけそばや)」は、肉そば発祥地、河北町にある蕎麦屋です。今や、ラーメンも人気のお店ですが、もちろんそばも好評で板そばにも定評があります。

そば粉は北海道幌加内町産のものを使用し、二割は3種類の強力粉をブレンドした「二八そば」。水は粉に浸透しやすく、そばの風味と甘みを引き出す「里の名水・やまがた百選いたや清水」の一つ、「樽石大学の湧水」を使用しています。

そばつゆは、鰹や昆布、椎茸、鯵煮干しなど、10数種類をブレンドした繊細なレシピで、初代から守り続けています。

黒くつやつやしたそば

まるで宝石のような輝きを放つそばは、喉越し良く、するりと入り、粘りとコシも感じます。清涼感と共に、ほのかな香りもあり、十割そばに引けを取らない香りの良さです。

そばつゆは、鰹の香りと甘みがあり、とろりとした口当たりで、そばとひときわよく絡みます。葱や山葵の薬味との相性も抜群で、締めのそば湯まで満足できるように、しつかりと計算しつくされています。

厳選した木だけを使った明るく重厚な店内

3代目店主の出身地、福井県の山に大工を連れて行き、大工が見立てた木を木材に仕立て、設計は3代目店主の奥様が手掛けたこだわり溢れる贅沢な店構えです。太い柱と梁、磨かれた板の間は、本物へのこだわりの表れです。

新型コロナウイルス対応:検温、消毒、アクリル板設置、換気、マスク着用など

■定助そばや
(さだすけそばや)
住所:山形県河北町谷地ひな市2-3-7
電話:0237-72-3306
交通:東北中央自動車道 東根北ICより車で約5分
営業期間:通年
営業時間:11:00-15:00
休業日:毎週金曜日
カード利用:不可
駐車場:あり 無料 約20台
公式instagramはこちらから

山形の美味しい板そば3. 高得点よくばり系「そば処 弘庵」(寒河江市)

二八と十割の合盛り板そば(約3人前) 2,300円(税込)

続いては、清流の里、寒河江市の住宅街にある蕎麦屋「そば処 弘庵(こうあん)」です。

玄そばは、北海道幌加内町産と山形県産を合わせて使っています。

「日本のそば文化を守り繋いでいきたい」と考える店主は、美味しさと安全を考慮し、水は出羽三山系のミネラルウォーターを使用。そばは「二八そばの細打ち」と、「二八そばの太打ち」の他、「更科十割そば」の3種があります。そばを2種選べる「盛り合わせ」も好評です。

手前から「二八の太打ち」「二八の細打ち」「十割更科」

そばの中心部のみを使う更科そばは、上品な白さが特徴です。また、つなぎを使わない十割そばを細く切るのは至難の業ですが、十割更科は、その苦労を感じさせない、きめ細かな白い肌と線の細さが特徴です。

そのままそばをいただくと、見た目を裏切るコシの強さがあり、内包された至極の甘みがじわじわと広がります。そばつゆは、寝かせた「かえし」に昆布、煮干し、鰹節をベースにした香りと滑らかな甘みがあり、そばとの絡みが良く、つるりと喉を通ります。

二八そばは、約3mmの太打ちと約1mmの細打ちがあり、どちらもモチモチしていて、香りの立ち方の違いを楽しめます。かいもちを揚げた、珍しい「あげかいもず 300円(税込)」は、サクッとした薄皮の食感が楽しく、ひと噛みごとに口の中いっぱいに広がり、優しい香りも重なります。トロッと柔らかな温もりの余韻が記憶に残る「あげかいもず」は、リピート必至ですよ!

古い造り酒屋の母屋を移築した趣ある店内

米が贅沢だった時代から食べられていたそば。日本そばの文化を継承したいと願う先代が、造り酒屋を移築し蕎麦屋の店舗にしました。その思いは、現店主にもしっかり受け継がれています。

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■そば処 弘庵
(そばどころこうあん)
住所:山形県寒河江市南町2-3-25
電話:0237-85-6789
交通:山形自動車道 寒河江ICより車で約5分
営業期間:通年
営業時間:11:00-15:00(売り切れ御免)
休業日:不定休
カード利用:不可
駐車場:あり 無料 約15台

山形の美味しい板そば4. 絶対的おもてなし「かもや」(村山市)

鴨つけ麺そば 1,200円(税込)

続いてご紹介する蕎麦屋は、そば街道発祥の地、村山市にある「あいかも会館」内のそば処「かもや」です。

おしんの故郷・左沢にあった豪農の古民家を移築した存在感ある建物で、「あいかも会館」として温泉も併設されていますが、現在はコロナ禍のため、そば処かもやのみの営業です。人気テレビ番組で出川哲郎さんとさんまさんが訪ね、貸し切り宴会中だったことでも話題になりました。貸し切りになるほど、地元の人に愛されているのでお出かけの際は電話確認がおすすめです。

そばは、地元産品種「でわかおり」を採用し、石臼挽きの「挽きぐるみ粉」と小麦粉を使った二八そば。探求心旺盛な細腕女将が、1日に数回手打ちしています。

つゆは、宮内庁御用達合鴨を使ったアツアツの鴨汁と、かつおベースの冷たいつゆがあり、板そば1枚でまったく違う二つの食べ方ができます。

もっちりとしたそば

厚盛りの板そばの他、卓上小鍋に入った鴨汁や、玉こんにゃく、漬物、デザートまでがセットになった、おもてなし満点のそばメニュー。こしがあり、もっちりとした口当たりのそばを、鰹や鯖などを使った甘じょっぱいそばつゆにサッとつけることで、豊かなそばの香りを感じられます。

アツアツの鴨汁は、弾力がありさっぱりしていて肉の甘みが最高!たけのこやぜんまいなどの山菜、牛蒡や葱、人参など野菜もたっぷり入っています。

また、おまけと思っていたデザートの味にも驚きます。取材時は、さわやかな酸味とふんわりとろっととろける食感の「りんごのババロア」を堪能。季節によって数種類のデザートを用意し、お客様ごとに好みを想像し、チョイスしているそうです。

田舎情緒漂う太い梁の座敷

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■かもや
住所:山形県村山市本飯田1477 あいかも会館内
電話:0237-55-5682
交通:東北中央道 村山本飯田ICより車で1分
営業期間:通年
営業時間:11:00-14:00(左記以外の時間は予約確認)
休業日:毎週水曜日
カード利用:不可
駐車場:あり 約20台 無料
公式HPはこちらから

山形の美味しい板そば5. 噛むほどに香る「手打水車生そば」(天童市)

元祖 板そば(約2人前) 1,600円(税込)

江戸時代末期創業の老舗蕎麦屋「手打水車生そば(てうちすいしゃきそば)」は「鳥中華」も有名で全国からお客様が絶えません。

板そば発祥のこの蕎麦屋は、玄そばに、山形県産の品種、でわかおりと最上早生、北海道産の北早生(きたわせ)を採用し、その時期に一番香りが楽しめる玄そばを自家製粉しています。

挽きぐるみそば粉を100%使った十割そばは、江戸時代末期より変わらない素材と製法を重視。製粉機や石臼など、創業当時から使用している道具を使う一方で、玄そばは、風味を守るため低温倉庫に貯蔵し、そばの素材を生かすため水は自家製アルカリ水を使うなど現代のものも吟味を重ねて取り入れています。

160年守り続ける素材と製法で作ったそば

「元祖 板そば」は、黒々とした飾り気のない無骨な姿。自信に満ちたその姿に思わず姿勢を正し、緊張してそばを口に運びます。

ざらりとした口当たりのそばをガシガシと噛むほどに、香りが鼻腔をどんどん押し上げ、その香りにつられるように、石臼で挽いたそばのコクと甘みが、不思議と柔らかくじんわり広がります。

そばつゆは、鰹節や宗田節、鯖節などを使い、香りもコクも強めの甘じょっぱい仕上がりです。もちろん、そばつゆに浸けていただくそばも美味しいですが、その前に、ぜひ水に浸けて食べてみてください。アルカリ水につけることで、そばが持つ本来の香りと甘みを余すことなく堪能できますよ。

そばの歴史を学べる店内はコロナ対策も万全

そばを愛し、地元を愛するこの蕎麦屋は、「お越しいただく皆様から喜んでいただけるように」と、蕎麦屋では珍しく23時まで営業し、休みはなんと元日のみ。蕎麦作りに情熱を注ぎ続ける名店です。

新型コロナウイルス対応:検温、消毒、アクリル板設置、換気、マスク着用など

水車生そば

住所
山形県天童市鎌田本町1丁目3-26
交通
JR山形新幹線天童駅から徒歩10分
料金
板そば=1500円/鳥中華=700円/かいもち=1050円~/鴨そば=1150円~/

そばの味と心意気にうなる蕎麦屋の宝庫、山形県

山形県の選りすぐりの板そばを5つ紹介しました。
厳選した素材と製法、作り手の思い、風土や空気感など個性が出やすいそばをお気に入りの空間でゆったりと味わうことができます。

一口に「そば」と言ってもそれぞれのこだわりを込めたそばは多種多様な印象。そば王国山形で、お好みのそばを探してみてください!

筆者
SAGOJO

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