
更新日: 2021年2月16日
【連載エッセイ・第18回】猫と田舎で暮らしてみた~6匹と僕たちの里山生活~
東京生まれ、東京育ち。9年前に奥さんと、大分・国東半島へ移住。
そこで出会った猫たちと、こんどは、自然豊かな伊豆の田舎へ。
ゆっくりと流れる時間のなかで、森や草むらで自由に駆け回る猫たちと、一緒に暮らす日々のあれこれをお伝えしていきます。(毎週火曜日・金曜日に公開)
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目次
雪の話をしよう
夜中の3時とか4時にもぞもぞと起き出すと頭の中が澄んでくるまでぼんやりと椅子に座っている。その眠りの余韻のような時間が好きだな。僕の部屋には小さな窓のついた外へ出られるドアがあって、傾いだドアの隙間から冷気が流れ込んでくる。足元を撫でていく冷たさ具合でその朝の冷え込みが分かる。
家のあちこちからストーブの前に集まってくる猫たち
海沿いは1月から菜の花が満開でも山ではとても南国伊豆とは思えない雪景色になります
立春を過ぎてからやってきた冬将軍の強烈な悪あがきが、天城の頂から雪と氷のつぶてを吹きつけてくる。一日で一番寒い夜明け前。ストーブの暖かさに惹かれて一匹、また一匹と猫たちが集まってくる。そんな時、彼らは人間と違ってぺちゃくちゃお喋りをしないのがいい。皆黙って、お互いの邪魔をしないように暖かい場所を分け合って横になる。
ミルクの気配に起き上がる「ひでじ」と「しましま」
誰もいなくなったストーブの前へ一匹だけ残った末娘のしましまが、座布団を独り占めにして寝息を立てている。投げ出した足の先から出た爪がときどき毛布を掴んで、むにゃむにゃと寝言を言ったりしている。
兄妹中で一番小さな足をばたつかせて、夢の中をどこかへ走って行こうとしている。しましまの毛の色が少しずつ変わってきているのに僕は気づいた。あと半月ぐらいの間に冬毛がどんどん抜けていくんだろうなと思う。猫たちの身体は季節の足音をちゃんと聞いているんだ。
ちびっ子末娘は雪景色の夢でも見ているんかな?
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

【筆者】高橋のら
1960年東京生まれ。製本業経営を経て編集プロダクションを設立。
2011年に東京から大分県国東市へ移住し、2014年に国東市から静岡県伊豆半島に転居しました。現在は伊豆の家で編集業を営みながら仕事上のパートナーでもある家内と、国東で出会った6匹の猫たちと共に暮らしています。
国東での猫暮らしを綴った著書「猫にGPSをつけてみた」雷鳥社刊があります。