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できたての駅弁を自宅で! 北九州市・折尾駅『かしわめし』をお取り寄せしてみました。

駅弁こんしぇるじゅマルワ

更新日: 2023年8月15日

できたての駅弁を自宅で! 北九州市・折尾駅『かしわめし』をお取り寄せしてみました。

降雨量も少なく猛暑日が続く今年(2023年)の夏。
こうした時期、心配になるのが食品の安全管理。 “ランチに食べようと駅弁を買って、傷まないようにお昼まで冷蔵庫に入れておいたけれど、いざ食べてみたら、ごはんがポソポソ……。” そんな経験はありませんか?

炊いたごはんは、温度が下がるにつれて水分が抜け、食感が硬くなって味が極端に落ちます。家庭用冷蔵庫の冷蔵室は、設定温度が2~5℃。実はこの温度帯は、こうした「でんぷんの老化現象」をもっとも進行させてしまうので、駅弁の保存には向きません。

でも大丈夫! ごはんは、「冷蔵」が苦手でも「冷凍」は得意。昨今は冷凍技術も進み、できたての味と食感を自宅で気軽に味わえる「冷凍駅弁」が続々と登場しています。
今回は、その中から九州は福岡県北九州市・折尾(おりお)駅の『冷凍かしわめし』をご紹介しましょう。

歴史が創った美味しさ、人がつくったあたたかさ

歴史が創った美味しさ、人がつくったあたたかさ

駅弁愛好者の憧れは、駅のホームで出会う「立ち売り」。駅弁が入った木箱を胸元に抱え、威勢のいい売り声をあげる姿も、今ではほとんど見かけなくなりました。

そんな中、数少ない駅弁の「立ち売り」文化を今も継承しているのが、JR鹿児島本線・筑豊本線がクロスする折尾駅「東筑軒」です。2021年(令和3年)7月に創業100周年を迎えました。木箱を首から提げ、鳥の羽ばたきのように両腕を優雅に踊らせながら、よく響く声で「おりお~めいぶつ!かしわ~めし!」と歌う姿は、全国の駅弁ファンのアイドル的存在。YouTubeにも多数動画があるけれど、筆者はまだ現地で買ったことがありません。

その「折尾名物」が、100年の歴史をもつ『かしわめし』。鶏のスープで炊きあげたごはんの上に、鶏肉と錦糸玉子、刻み海苔をあしらったシンプルな駅弁です。
幼いころ博多に住んだ経験のある筆者にはお馴染みの味、その後も駅弁大会で出会うと必ず買ってしまう定番中の定番が、装いも新たに『冷凍かしわめし』としてアップデートしたと聞けば、試してみないわけにはいかないでしょう!

公式オンラインショップが新規オープン

公式オンラインショップが新規オープン

満を持して2022年7月1日にオープンした、東筑軒の公式オンラインショップでは『冷凍かしわめし』は3食セットで2,100円(税込み)、これにクール便の送料が加算されます。冷凍なので、食べたいときに必要なだけ解凍できるのがいいですね。賞味期限が長いのも魅力です。

注文して待つこと数日、届きました! 社名と商品名の入った専用の箱は、上から見るとA4のコピー用紙が収まるほどのサイズ。

さっそく開封すると……、じゃん! こんな感じでした。駅弁の掛け紙に使われたイラストの下に、商品の写真と、立ち売りで有名な小南英之さんの写真。いいですね、気持ちがぐーっと北九州へと飛んでいきます。

温度差で霜がつかないよう、届いたらすぐに冷凍庫へ。逸る気持ちを抑えつつ、箱の中から商品を出して並べてみました。……シンプルです。いや、少しシンプルすぎるんじゃないか?と心配になるくらい、あっさりしています。
“チンごはん” などと称される、電子レンジで温めるごはんと、カップ麺の「かやく」の組み合わせのように見えなくもありません。これが、本当にあの『かしわめし』になるのでしょうか。

自然解凍と電子レンジ、どちらもいけるお手軽さ

上の写真が、1食分のフルセット。チラシの裏面に作り方の手順とアドバイスが載っているので、熟読しながら『かしわめし』を完成させていきましょう。

解凍方法は、「自然解凍」と「電子レンジで加熱」の2種類。時間に余裕があれば「自然解凍」がおすすめですが、すぐに食べたい筆者は、後者でチャレンジしました。(自然解凍については、後述します。)

まずは、ごはんの入った真空パックに3センチほどの切り込みを入れます。そして、凍ったまま500Wの電子レンジで1個につき2分30秒ほど加熱。加熱時間は機種によってバラつきがあるので、パックの底に触れてみて、温めが足りない場合は10秒ずつ追加で加熱します。加熱しすぎは食感や風味が損なわれるので、慎重に。

加熱直後はアツアツです! 電子レンジから取り出す際は、やけどに十分注意してください。

ここで “なるほど” と思ったのは、具材の解凍の仕方。凍ったままの錦糸玉子とかしわ肉のパックの上に、温めたばかりのアツアツのごはんを乗せるだけ。このままの状態で15分ほど冷ましたら、いい塩梅に落ち着きます。

“ほぐしの術”で、ふんわり美味しく美しく

さて。準備は整いました。ここから先は盛り付けです。1食分のセットを手元に揃えてください。

美味しく仕上げるコツは、解凍した「かしわめし」を、軽く混ぜてほぐしておくこと。袋から取り出して箸を入れると、一見すれば地味にしか見えないごはんから、たちまち美味しそうな香り! 半信半疑だった気持ちもみるみるほぐれて、期待が高まる瞬間です。この工程の有る無しで、食べたときの食感がまるで違いますから、面倒がらずにひと手間かけて。

かしわ鶏、錦糸玉子、刻み海苔の3色を使った「かしわめし」の駅弁は全国に幾つかありますが、折尾の「かしわめし」のストライプは右下がりが特徴。今回は、それを再現していきます。

盛り付けを美しくきれいに仕上げるには、手順がとても大切。まず、器は横長のほうを正面に置きましょう。

始めは「刻み海苔」から。右上の隅の三角地帯が、黒い海苔のポジションです。海苔の袋を開けた際、箸先で中身を軽くほぐしておくと、ふんわりしてボリュームが出ます。思ったより量がたくさん入っているので、マスキングテープがわりに割箸などを添えてから作業をすれば、線がぶれず、シャープさが際立ちます。

このとき、ベースとなるごはんがアツアツのままだと、蒸気で海苔が湿ってしまいます。レギュラーの駅弁との差は、この「刻み海苔」の食感の違いかもしれません。

次は、かしわ肉。同じように、開封して中身を軽くほぐしてから乗せていきます。左下のポジションを埋める際、地肌が見えないよう箸先で丁寧に仕上げると、海苔のボリューム感に負けず、バランスが取れて美しく仕上がります。

噛めば噛むほど味わい深い、東筑軒のかしわ肉。『冷凍かしわめし』には1食あたり20グラムの小袋が付いています。もっと量が欲しいという方には、この小袋が10パック入った単品売り(1,350円/税込み)もあります。かしわ肉の大盛りも、魅惑的ですね。

最後に、センター位置へ錦糸玉子をトッピング。あらかじめ丁寧にほぐしてから、隙間にふんわりと乗せていきます。黄色を乗せると、見た目が一気に華やぎました。
達成感を味わい、しばらく愛でたら、あとは美味しくいただきましょう!

今回は、電子レンジを利用しましたが、この商品は「自然解凍」でも、同じように美味しく食べることができます。かしわめしのパックに少し切り込みを入れ、室温(25℃程度)の涼しい部屋で約4時間。朝、冷蔵庫から取り出しておけば、お昼ごろにはちょうど食べごろになっています。かしわ肉、錦糸玉子もパックのまま、一緒に自然解凍してください。

夏はお子さんの塾やお稽古ごとの機会も多く、外出先で食事が必要になるケースも多いと思います。気温が高く、手作りのお弁当を持たせるのが心配な場合でも、代替品として冷凍のまま持ち出せる食品は、安全性が高く、この時期の心強い味方です。

箸休めがあればもっと美味しい!

こちらは現地販売の「かしわめし」です。

届いたときの印象は「えっ、これだけ?」と思うほどシンプルな『冷凍かしわめし』でしたが、実食してみると、レギュラーの商品と遜色なく、とても美味しくいただけました。慎重にトッピングする作業を通じて、作り手の方の気持ちも伝わってきたようにも思います。

その一方で強く感じたのが、レギュラー商品に入っている「箸休め」の存在の大きさでした。薄みどり色の、甘いうぐいす豆。うまみの濃いしそ昆布。紅ショウガのキリッとした辛味。そして奈良漬け。甘・辛・酸と味に変化を持たせることで、最後まで飽きずに、リズミカルに食が進む工夫がされているのですね。おうちの冷蔵庫に代替品があれば、さらにオリジナルに近い味わいが楽しめるのではないでしょうか。

東筑軒は、駅構内にある立ち食いの『かしわうどん』も有名です。ほどよいコシと、ほのかに甘いダシ。丸天(魚のすり身揚げ)とごぼう天を乗せた味わいは、北九州地方のソウルフード。こちらも冷凍でお取り寄せできます。フルセット5食入りで2,300円(税込み)です。

公式サイトでは、『かしわめし』と『かしわうどん』が両方味わえる「お試しセット」も登場しました。2食ずつのセットで2,100円(税込み)、3食セットで3,100円(税込み)と、こちらもリーズナブル。筆者は次回、在宅勤務のランチ用に注文して冷凍庫にストックしようと思っています。

自宅の冷凍庫は、「どこでもドア」。食べたいときに扉を開けて、旅立ちましょう。

では皆さま、暑さに負けず、お大事に。

マルワ

折尾駅 東筑軒
〒807-0861 福岡県北九州市八幡西区堀川町4-1
電話番号:093-601-2345
WEBサイトはこちら https://tochikuken.shop/

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。