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「駅弁味の陣」歴代グランプリの名物駅弁全9品を味わう!

駅弁こんしぇるじゅマルワ

更新日: 2021年11月11日

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「駅弁味の陣」歴代グランプリの名物駅弁全9品を味わう!

みなさまこんにちは。「駅弁こんしぇるじゅ」のマルワです。

駅弁大好き歴25年、これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上。「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。

なお、駅弁の写真は、すべて筆者または筆者の夫が撮影したものです。

今回は例年秋の恒例となったJR東日本の「駅弁味の陣」についてお届けします。

「駅弁味の陣」ってなに?

平成24年(2012)に始まった、JR東日本エリアの駅弁ナンバーワンを選ぶ「駅弁味の陣」。

東日本(東北・関東・甲信越)の駅弁を対象としてエントリーを募り、毎年秋に実施されるアンケート投票で最も高い総合評価を獲得した駅弁がグランプリ「駅弁大将軍」に選ばれる、駅弁界の年中行事。各界から注目を集める「駅弁味の陣」が、今年で10周年を迎えます。

ここでは、熱い戦いを制して「駅弁大将軍」に輝いた歴代の名物駅弁を振り返っていきましょう。

「駅弁味の陣」ってなに?

第1回「駅弁味の陣」グランプリ 
【鱈めし】ホテルハイマート(新潟県・直江津駅/1,200円)

第1回「駅弁味の陣」グランプリ 【鱈めし】ホテルハイマート(新潟県・直江津駅/1,200円)

「駅弁味の陣」の初代「駅弁大将軍」に選ばれたのが、直江津駅(JR信越本線、えちごトキめき鉄道)の「鱈めし」。海鮮の駅弁は数々あれど、淡白で骨の多い鱈(たら)が主役になるのは珍しいのではないでしょうか。

寒干しした棒鱈を水でもどし、甘辛い秘伝のタレでゆっくり丁寧に煮込んだ甘露煮は、口に含むとほろりとほぐれ、骨まで柔らか。炙りたらこの、しっとり滑らかな食感と軽い塩味。ぷちぷちした鱈の親子漬けの酸味。米どころの新潟ゆえ、汐昆布の炊き込みごはんの美味しさは言わずもがな、甘・辛・酸の絶妙なバランスが味わえる駅弁です。

調製元の「ホテルハイマート」は、直江津駅北口の真向かい。そこから10分ほど歩けば、日本海が見渡せる海岸に出られます。海に面した船見公園で、潮風を感じながらいただくのがおすすめ。その際は、事前に駅弁の予約をお忘れなく。

第2回「駅弁味の陣」グランプリ 
【牛肉どまん中】 新杵屋(山形県・米沢駅/1,250円)

第2回「駅弁味の陣」グランプリ 【牛肉どまん中】 新杵屋(山形県・米沢駅/1,250円)

平成25年(2013)、第2回で選ばれた駅弁大将軍は、奥羽本線米沢駅の「牛肉どまん中」。牛肉が主役の駅弁は多々あれど、知名度の高さはバツグンです。

この親しみやすい名前の由来は、冷めても美味しい山形県産米「どまんなか」からきています。粘りと甘みのあるごはんの上に、醤油ベースの秘伝のたれで甘辛く煮た牛肉と牛そぼろが隙間なく(ここが大事!)敷き詰められた駅弁は、まさに“美味しさのど真ん中を突き抜ける”味わい。

箸で摘まんだごはんに小ぶりの牛肉が絡み、ひとくち頬張れば米粒がほろりとほぐれる絶妙な加減が秀逸。2種類の異なる食感を交互に食べ進めると、飽きることがありません。牛肉を煮る過程で余分な脂を落としているから、ボリュームがあるのに女性でもぺろりと完食できてしまいます。中身が覗けるようパッケージの中央に開けられた半月型の「窓」が、にこりと笑っているように見えるのも、とても好きです。

第3回「駅弁味の陣」グランプリ 
【米澤牛 焼肉重 松川辨當】 松川弁当店(山形県・米沢駅/1,600円)

第3回「駅弁味の陣」グランプリ 【米澤牛 焼肉重 松川辨當】 松川弁当店(山形県・米沢駅/1,600円)

平成26年(2014)第3回で選出された駅弁大将軍は、またしても牛肉が主役。しかも、前年と同じ米沢駅の「米澤牛 焼肉重 松川辨當」が受賞しました。

ふっくら炊いた山形県産米「はえぬき」の上には、秘伝のたれを絡めて香ばしく焼いた焼肉。傍らには甘酢あんを絡めたジューシーな肉団子が控えています。価格は少し高めですが、ブランド牛である「米沢牛」のうまみを2種類の味で交互に楽しめる贅沢な駅弁。箸休めの赤かぶの酢漬けが、彩と味のいいアクセントになっています。

調製元の「松川弁当店」は、明治32年(1899)創業。米沢駅開業とともに松川弁当部として駅構内立売業を開始。レトロな掛け紙は、奥羽本線開通時の光景をイメージして描かれています。一方、「牛肉どまん中」でご紹介した新杵屋は、大正10年(1921)に菓子屋として創業。第二次大戦後間もなく米沢駅構内で営業を始め、10年に及ぶ交渉を経て弁当販売へ参入が叶ったのは昭和32年(1957)のことでした。

以来、同じ駅で2社が競り合い、互いに切磋琢磨しながら名物駅弁を次々と生みだしている姿勢に頭が下がります。

第4回「駅弁味の陣」グランプリ 
【鶏めし】 花善(秋田県・大館駅/900円)

第4回「駅弁味の陣」グランプリ 【鶏めし】 花善(秋田県・大館駅/900円)

平成27年(2015)、ついに”鶏の時代”がやってきました。
第4回の駅弁大将軍に輝いたのは、奥羽本線大館(おおだて)駅の「鶏めし」。秋田県産の「あきたこまち」を秘伝のスープで炊き込んだごはんに、国産鶏もも肉の甘辛煮。ふんわりと甘く、どこか懐かしい味わいです。

明治32年(1899)の大館駅開業と同日に創業した駅弁屋「花善」が、大館名物として「鶏めし」を発売したのは昭和22年(1947)、敗戦直後で食糧事情が極端に悪かった時代です。ある日、配給されたものが「ごぼう・醤油・砂糖・米」だったときに、「おかずとごはんを分けてつくるのが面倒だから」と全部まとめて炊いてみたら、その美味しさにびっくり。そこへ、当時まかないで食べていた鶏の甘辛煮を合わせて誕生したのが「鶏めし」でした。

大館市内の小・中学校では、数年前から「鶏めし給食」が実施されています。駅弁が学校給食として提供されるのは、全国的にみても珍しいのではないでしょうか。羨ましいですね。

第5回「駅弁味の陣」グランプリ 
【比内地鶏の鶏めし】 花善(秋田県・大館駅/1,200円)

第5回「駅弁味の陣」グランプリ 【比内地鶏の鶏めし】 花善(秋田県・大館駅/1,200円)

食材のブームは2年サイクルで訪れるのでしょうか。平成28年(2016)、第5回の駅弁大将軍に選ばれたのは、またしても大館駅の「花善」。今回は、「比内地鶏の鶏めし」での受賞です。地鶏ならではの力強い風味を活かした、シンプルな塩焼きとコクのある鶏そぼろが評価されました。

平成に入ってから軒並み減収減益をたどる駅弁業界にありながら、花善は「駅」に固執しないフットワークの良さで弁当文化の販路を広げ、ついに世界へと打ってでました。平成30年(2018)には日仏友好160周年を記念して、パリ・リヨン駅の臨時売店で「鶏めし」を販売。1か月で1,442個が売れる好評を博し、令和3年(2021)11月から半年間の予定でリヨン駅構内に駅弁売店の出店が決定。駅弁文化の牽引役として、世界の注目を集める存在となっています。

第6回「駅弁味の陣」グランプリ 
【えび千両ちらし】 新発田三新軒(新潟県・新潟駅/1,380円)

第6回「駅弁味の陣」グランプリ 【えび千両ちらし】 新発田三新軒(新潟県・新潟駅/1,380円)

平成29年(2017)、勝者のバトンは肉系から海鮮部門へ帰ってきました。第6回の駅弁大将軍に選定されたのは、テレビでも注目された「えび千両ちらし」。平成14年(2002)にJR東日本「大人の休日キャンペーン」弁当として誕生した有名駅弁です。

フタを開けると、一面を覆う大きな厚焼き玉子が4枚。中央を飾るむき海老のおぼろの淡い色彩は美しいものの、「主役の海老はどこ?」と訝しく思ってしまいます。でも大丈夫! 玉子の下には4品の具が隠されているというサプライズ。脂がのって芳しい鰻のかば焼き、酢で締めてわさび醤油を絡めたコハダ、酢洗いして醤油で味付けた蒸し海老、風味豊かな塩イカの一夜干し。どれをとっても手の込んだ味わいで、「遊びごころ」と「美味しさ」が両立した駅弁として人気を集めるのも頷けます。

外箱のイラストを取り外して絵はがきとして使うアイデアも、旅の楽しさを演出するポイント。もともとは、これで「えび千両ちらし」をほかの誰かに薦めてもらえれば、という発想だったようですが、実際には、駅弁を食べた感想を書いたお礼状として、調製元の新発田(しばた)三新軒にたくさん届くようになったとか。美味しかった、ごちそうさま。わざわざ切手を貼って届く手書きの文字が、今日も誰かの心を癒し、励ましているのかもしれません。

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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

駅弁大好き歴25年。平成の”Windows95”時代から某IT企業のインストラクターとして全国の官公庁・小中学校へのパソコン導入に携わりながら、各地の駅弁や名産品を食べ続けるうち「うまいもの」「みやげもの」で日本地図が描けるようになりました。これまで全国を旅して食した駅弁は2,000個以上、「駅弁大会」と聞けば連日通って“大人買い”、休日は朝昼夕と駅弁が食卓に並ぶような家庭です。時々ちょっと苦手な食材もありますが、そこはすべて「実食」してのルポがモットー。食味の感想には個人差がありますので、その点はご容赦ください。