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天川村の「天河大弁財天社」は手塚治虫の『火の鳥』と関連がある?

その自然環境から、古くは秘境とされた天川村の神聖なたたずまいをよく現しているのが、天河大弁財天社です。深山にあったため、昔は「時が来なければたどり着けない、呼ばれないと行けない神社」とされていました。古くから水の神、芸能の神として崇められ、拝殿には能を奉納するための能舞台もあります。

村には「真っ赤な鳥を見ると縁起がよい」との言い伝えがありますが、この天河大弁財天社が実は、手塚治虫のライフワークともいわれる『火の鳥』と関係があるといわれています。

天川村の「赤い鳥」と手塚治虫の『火の鳥』

昭和61(1986)年に劇場用アニメ映画『火の鳥 鳳凰編』が公開されましたが、音楽を担当した宮下富実夫は、天河大弁財天社の宮司と知り合いであり、製作総指揮を務めた角川春樹は、この天河大弁財天社へ何度も参っていたらしいのです。

しかも、角川は、子どもの頃に自宅の庭で赤い鳥を目撃した経験があるといいます。また角川の社員が天川村へ取材に赴いた際にも、現地で火の鳥の目撃談を聞いたとのことです。そのような縁もあってか、テレビ番組の企画で、子どもたちが描いた火の鳥を絵馬型の額に入れ、角川らが天河大弁財天社に奉納することに。手塚も駆けつけ、熱心に手を合わせていたそうです。

天河大弁財天社と手塚治虫の『火の鳥』のエピソードを知ったうえで訪れてみたい

手塚は当時、角川と対談した際に「生き物の中で空と通じ合っているのは鳥だけ。人間の生命と万物の成長を支配するものがいる空から、鳥は降りてくる。鳥は神と人をつなぐただひとつの連絡係」と語っています。

彼らと天河大弁財天社の摩訶不思議な因縁を知ったうえで天川村を訪ねると、また違った感慨が味わえるのではないでしょうか。

『三つ目がとおる』に登場した石造物

奈良県の明日香(あすか)村には、制作年代や用途が不明な謎の石造物が点在します。そのひとつが酒船石(さかふねいし)遺跡の酒船石。平たい石の表面にさまざまな円形のくぼみと溝が彫られており、神社の酒殿、油の製造器、庭園または祭祀のための導水施設など諸説があります。

謎の存在理由が想像力をかきたてるのか、手塚治虫作品『三つ目がとおる』の「酒船石奇談」の回で描かれ、主人公の写楽保介(ほうすけ)が夜中に怪しげな薬を調合する場として使っています。

酒船石

同じく明日香村にある石舞台古墳も、上記作品に登場。写楽たち一行が修学旅行で訪れる先のひとつとして描かれ、石舞台古墳のなかで写楽が焼いもを焼き、火事騒ぎになるシーンなどがなんともコミカルです。

手塚はよほど気に入ったのか、同古墳は『火の鳥 ヤマト編』でも描かれています。国王の墓だが急ごしらえのため不可解な形状になった、と独自の解釈を与えています。

『三つ目がとおる』に登場した石造物

石舞台古墳

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・営業期間わずか9年間! 大仏鉄道を阻んだ急勾配
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・大化の改新だけではない! 中大兄皇子が変えた時間の概念
・秀吉が催した5000人規模の大宴会 吉野の花見で笑いをとった伊達政宗 ほか

Part.4 奈良で生まれた産業や文化
・全国で2校の国立女子大学 奈良女子大学設立の背景には岡倉天心
・古くから言い伝えがあった 天川村と手塚治虫作『火の鳥』の関係は?
・実は奈良盆地の気候が肝! 広陵町が靴下生産量日本一の理由 ほか

<コラム>
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