王寺町が駅設置場所に選ばれた理由
着工にあたり大阪の起点をとりあえず湊町（現在の大阪市浪速区）に定め、大阪と奈良を結ぶ建設ルートを変更。当初は大阪から金剛山地を通過し北今市（現在のJR和歌山線香芝駅付近）で分岐し、奈良、高田・桜井方面に向かう計画でしたが、大和川峡谷経由に変更しました。「河幅狭く河底堅固にして且つ山勢傾斜緩なるを以て之に変更するを利とする」（鉄道省編『日本鉄道史』）という理由からです。
度重なる変更の末ついに王寺村久度の停車場が開業
しかし、王寺村の西、大和川峡谷の大阪側にある亀ノ瀬トンネルの開削は難航しました。完成しても、地滑りが起きてトンネルに亀裂に生じ崩落の危険性があったため、開業は奈良側路線の王寺～奈良、王寺～高田を先行しました。停車場の設置も当初は龍田（現在の斑鳩町）を予定していましたが、住民の反対により実現しなかったといいます。
実に3度の変更を経て、やっと王寺村久度の停車場の開業へとこぎ着けました。
大阪鉄道湊町駅～奈良駅計画路線の変遷
何度も計画が変更された大阪～奈良の鉄道路線。鉄道は奈良に観光客を呼びこみ、貨物輸送を可能にし、経済発展を支えました。
王寺町の発展
鉄道開通後、久度の風景は一変しました。駅前正面に道路ができ、住宅が集落の裏側にも広がりました。信貴生駒電鉄が開通するまでは信貴山の参詣道としてにぎわいを見せました。
さらに、王寺駅を中心に鉄道網も拡大。大阪鉄道王寺駅～奈良駅の開業の翌年には王寺駅～高田駅（現在のJR和歌山線）、さらにその翌年には湊町駅～奈良駅（現在のJR大和路線）が立て続けに開業し、全線開通となりました。
大正期には現在の近鉄2路線（田原本線・生駒線）が相次いで開通し、着実に鉄道網を広げていきました。
王寺町の現在
3度の変更ののち開業となった王寺駅は現在、JR2線、近鉄2線が結集する県内有数のターミナル駅にへと成長しました。JR王寺駅は1日当たりの乗車人数が県内3位を誇り、「鉄道の町」を現在も体現しています。
※小数点以下は省略。
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・大和平野を潤す大動脈 吉野川分水は300年越しに完成 ほか
Part.2 奈良を駆ける交通網
・生駒市と東大阪市にまたがる 暗峠の急勾配は法令地オーバー
・営業期間わずか9年間！ 大仏鉄道を阻んだ急勾配
・3度の変更の末、駅開業が転がりこんだ!?なぜ、王寺町が鉄道の町になった？ ほか
Part.3 奈良で動いた歴史の瞬間
・古墳の密集地帯・奈良盆地 なぜ古墳が造られなくなった？
・大化の改新だけではない！ 中大兄皇子が変えた時間の概念
・秀吉が催した5000人規模の大宴会 吉野の花見で笑いをとった伊達政宗 ほか
Part.4 奈良で生まれた産業や文化
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