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【埼玉県誕生までの歴史】県庁所在地を巡る誘致合戦

気になるのは「大宮県」の存在です。大宮県の管轄は、現在の埼玉県南部を中心に県東部や西部の一部、および東京都の一部を含む地域で、県庁は足立郡大宮宿(さいたま市大宮区)に置かれました。

ところが、大宮県は庁舎が用意できず、暫定的に東京府馬喰町(東京都中央区)に庁舎を設置。そうこうするうちに浦和、別所、沼影(ぬまかげ)、与野など各地から県庁を誘致する動きが出てきたのです。

対抗する浦和と大宮

大宮県の管轄地域下の住民にとっては、県北(現在の鴻巣市)からでも大宮なら1日で出られましたが、当時の交通事情では、浦和までは2日かかりました。そのため大宮が県庁所在地として望まれましたが、新政府が東京からのアクセスを重視して浦和を後押しし、1869(明治2)年9月29日、県庁所在地は浦和に決定し、県の名称も「浦和県」に改められました。これは、大宮県設置からわずか8カ月後のことでした。現在まで残っている浦和と大宮の対抗意識は、この頃に芽生えたもののようです。

【埼玉県誕生までの歴史】現在の姿になるまでの道のり

【埼玉県誕生までの歴史】現在の姿になるまでの道のり

忍・岩槻・川越の3藩は、1871(明治4)年7月の廃藩置県でそのまま県に移行しました。そして同年11月、第一次府県統合により忍県と岩槻県、さらに、前述の浦和県が合併して埼玉県が誕生します。

このときもまた、県庁所在地の場所でひと悶着ありました。埼玉県の県庁所在地は、埼玉郡岩槻町(さいたま市岩槻区)に置かれることが予定されていましたが、このときも庁舎のめどが立たず、結局、旧・浦和県庁がそのまま流用されることになりました。

【現在の埼玉県誕生までの道のり①】埼玉県域の西部・北部・秩父地域が入間県に

廃藩置県で誕生した川越県は、 第一次府県統合で「入間県」となり、現在の県西部・北部・秩父地域を管轄としました。その県庁所在地は入間郡川越町(川越市)でした。つまり、1871(明治4)年の段階では、現在の埼玉県域に埼玉県と入間県の2県が存在したことになります。

【現在の埼玉県誕生までの道のり②】群馬県に3年間だけ編入されていた入間県

しかし入間県は、1873(明治6)年に群馬県(第一次)と合併し熊谷県となります。なぜ入間県が群馬県に編入されたかというと、かつて江戸時代に利根川が氾濫し、前橋城が崩落した際には、前橋藩主が川越に移転し、前橋は川越藩の飛び地扱いになった経緯があったから。その縁もあっての合併劇でしたが、地域文化的には整合性がなく、不都合も多かったことから、1876(明治9)年の第二次府県統合を経て熊谷県は廃止し、再び群馬県(第二次)が発足しました。

【現在の埼玉県誕生までの道のり③】ついに現在と共通の姿に

これを機に、旧・武蔵国地域は群馬から切り離され、埼玉県へ編入されることになりました。こうした紆余曲折の末、ようやく現在の埼玉県域が確定するのでした。

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