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丹後にある「日本海三大古墳」

丹後地方の古墳の特徴は、巨大な前方後円墳であること。このうちとくに大きな網野銚子山古墳(あみのちょうしやまこふん)(201m)、神明山古墳(しんめいやまこふん)(190m)、蛭子山古墳(えびすやまこふん)(145m)は「日本海三大古墳」と呼ばれています。

これらの古墳に立て並べられた円筒埴輪(えんとうはにわ)は、頂部が丸く中央に直径10㎝ほどの穴が開いています。これは丹後型円筒埴輪と呼ばれます。

日本海を望む網野銚子山古墳

網野銚子山古墳(京丹後市網野町)は、京都丹後鉄道網野駅の北東側に位置する丘陵地にあり、古墳の上から日本海を望むことができます。古墳時代には海岸線が周辺まで入り込んでおり、古墳に並べる埴輪は舟や筏(いかだ)で運ばれたと考えられています。

海に近かった神明山古墳と蛭子山古墳

神明山古墳(京丹後市丹後町)も沿岸部に築かれた古墳です。当時はこのあたりに入り江があり、この地方に住む者は海上交易を営んでいたと考えられています。

蛭子山古墳(与謝野郡与謝野町)は丹後半島の付け根にあたり、やはり海から近いです。

丹後に巨大古墳が造られた理由

当時の政治の中心であったヤマト(奈良県)から遠く離れた丹後地方に、なぜこのような巨大な古墳が造られたのでしょうか。

諸説ありますが有力なのは、「当時の丹後地方には一大勢力があり、彼らがそれを内外に誇示するために古墳を築いた」とする説です。

丹後の巨大古墳ともたらされた文化との関係

丹後地方には、日本海ルートでいち早く大陸から文化がもたらされました。丹後地方の港を利用して中国や朝鮮半島との交易を行う有力な豪族がおり、3基の巨大な古墳に埋葬されているのは、ヤマト政権と強いつながりを持った丹後の豪族だと考えられています。

丹後地方の古墳と神社

丹後地方の古墳と神社

丹後地方で見つかる古墳は、奈良県にある古墳と同じという研究もあり、ヤマト政権とのつながりがあった実力者がいたと見られています。

神明山古墳の近くにある大田南5号古墳の石棺から出土した銅鏡には、西暦235年を示す「青龍3年」(魏の年号)の文字が刻まれており、現在年号が記された鏡としては日本最古のものとされています。

京都の研究者が丹後王国論を主張

一方、古代史研究者で京都府立大学名誉教授の故門脇禎二(かどわきていじ)は、古代の日本にはいくつかの地域国家があったと考え、丹後に渡来人による「丹後王国」があったと主張しました。

この丹後王国論によると、日本海三大古墳をはじめ、重要な遺跡が分布していることを根拠に、ガラス細工や製鉄などの高度な技術を持つ渡来人集団が丹後地方にたどり着き、勢力を拡大していったと推測されます。古墳時代にはヤマト政権に屈しない王国であったというのです。

丹後の古墳を見ながら丹後王国にロマンを感じるのも楽しみのひとつ

丹後王国論が発表された1983年以降、信ぴょう性を検証する研究は続けられていますが、覆す新説は登場していません。門脇の推論が正しければ、日本海三大古墳は丹後王国国王の墓という見方もできます。こうしたロマンをふくらませるのも、古墳を見る楽しみのひとつといえるでしょう。

椿井大塚山古墳は京都府で最大規模

木津川市に、府下最大規模の前方後円墳があります。墳丘の全長が175m、高さ20mの椿井大塚山古墳(つばいおおつかやまこふん)です。

1953年、国鉄奈良線(現JR 奈良線)の拡張工事で斜面を削ると、竪穴式石室が発見されました。その後の発掘調査で、石室内から邪馬台国の女王卑弥呼の鏡とも呼ばれる「三角縁神獣鏡(さんかくえんしんじゅうきょう)」三十数面を含む四十面近い銅鏡などが出土し、「邪馬台国畿内説」がわき起こったといわれます。

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・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)

…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 京都を駆ける充実の交通網

・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道

…などなど京都ならではの交通事情を網羅。

Part.3 京都の歴史を深読み!

・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた

…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 京都で育まれた産業や文化

・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮

…などなど京都の発展の歩みをたどる。

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