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札幌市営地下鉄と札幌冬季オリンピック

南北線の開業年は、札幌冬季オリンピックの前年。当時、オリンピック会場と市中心部を結ぶ観客輸送を担える交通機関が整備されることになり、候補に地下鉄が挙がりました。札幌に地下鉄など不必要という意見もありましたが、地下鉄が有力視され、しかもまったく新しい技術で開発が進められました。

鉄道といえば鉄車輪が当たり前だった時代に、ゴムタイヤで走る地下鉄が登場し、オリンピックとともに注目を集めたのです。

札幌市営地下鉄が採用しているゴムタイヤ式地下鉄の構造と特徴

案内軌条方式と呼ばれる構造は、I型の中央にあるレールを両側で案内車輪が挟み、コンクリートの路面を走るしくみです。ゴムタイヤのため騒音が小さく、乗り心地がよいのです。登坂性能にもすぐれていて急勾配も克服できます。加減速性能も非常によいです。

開業当初の札幌市内には、路面電車が数多く走っていたため、ゴムタイヤ式地下鉄は、いっそう画期的な交通機関に映りました。

また、北海道という土地柄、冬期に備え地上区間は積雪を免れるよう軌道部分をシェルターですっぽりと覆った点が特徴的。ただし、外の景色が見えるよう、車体の側面と同じ高さで、シェルターにも窓が設けられており、シェルター内でも明るいのです。

さらに札幌市営地下鉄は、自動改札や自動精算機も開業当初から導入するなど先進的でした。郊外の宅地開発にもひと役買いつつ、札幌市の代表的な公共交通機関として多くの利用者に親しまれています。

札幌市営地下鉄が先駆けて採用!ゴムタイヤ式地下鉄の開発の歴史

日本では前例がなかったゴムタイヤ式地下鉄ですが、その開発には少々時間を要しました。 1964(昭和39)年に東苗穂町(ひがしなえぼちょう)(現・東区東苗穂)に「札苗(さつなえ)試験場」が設置されると、150mの試験軌道が敷設されました。

最初の車両である第1次試験車は、廃車となったボンネットバスを改造したもので、試験車によるテスト走行が同年から開始されました。試験軌道は延伸され、続く第2次試験車もバスを改造しました。 第3次試験車は「はるにれ」と命名され、マイクロバス型のガソリンカーが製造されました。

そして1967(昭和42)年、2両編成の本格的な第4次試験車「すずかけ」が試作されました。札幌市電のA820形のような車体で、ようやく実用化のメドが立ち、晴れて開業となったのです。札苗試験場は廃止されましたが、試験車の「はるにれ」 「すずかけ」は南区の札幌市交通資料館(2021年現在リニューアル休館中)に保存されています。

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地球規模のプレート運動が北海道の大地と山々をつくる!
むかわ町穂別で発見された新種恐竜カムイサウルスとは!?
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Part.2 北海道を駆け抜ける鉄道網
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Part.3 北海道で動いた歴史の瞬間
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Part.4 北海道で育まれた産業や文化
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<コラム>
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初三郎が描いた北海道の鳥瞰図
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