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山梨県道701号は富士山頂を目指す道

富士吉田市上吉田で国道138号から分岐し富士山の方角に向かう、山梨県道701号富士上吉田線(以下「山梨県道701号」)という道路があります。

北口本宮冨士浅間(きたぐちほんぐうふじせんげん)神社のすぐそば、富士浅間神社東交差点からこの道路に入ると、片側1車線のごく普通の舗装道路が続き、4.3㎞ほど進むと「中ノ茶屋」という茶店や、駐車場のある地点に到達します。センターラインのある道路はここで終わり、その先にあるのは細い砂利道なので、一見山梨県道701号はここが終点であるかのように思えます。

ですが、実はこの砂利道は山梨県道701号の続きで、「中ノ茶屋」の前を通り、まだ先へと進みます。砂利道の区間はほんのわずかで、すぐ舗装された道となりますが、路面にひび割れやデコボコが多いうえ、車1台がやっと通れる程度の幅しかありません。そんな道が曲がりくねりながら林の中を登っていきます。

そして、「中ノ茶屋」からおよそ3.7㎞で、駐車場やバス停がある、標高1450mの「馬返(うまがえし)」に到達。ここは、富士山頂を目指す登山者たちが、実際に自分の足で登り始める登山口で、「道が険しくなるため乗ってきた馬が引き返す場所」を意味する地名のとおり、車はこの先へは進めません。富士山駅からの路線バス(季節運行)もここが終点です。

山梨県道701号の徒歩のみ通行可能エリア

馬返にある登山道入口の道標には、「富士山山頂 10.6㎞515分」と書かれていますが、なんと、この道のりも山梨県道701号の続きです。六合目で富士スバルライン五合目からの登山道と合流し、「富士山頂上浅間大社奥宮」の標柱が立つところまで続いています。

最終到達地点は標高3715m。「都道府県道」の日本最高地点…と言いたいところですが、静岡県側から富士山頂へ至る3つの登山道も静岡県の県道で、両県合わせて4つの県道の起終点の位置について、山梨県と静岡県とで見解の相違があることなどから、断定できない状況にあります。

ちなみに、これまで山梨県道701号について麓側から書き進めてきましたが、実延長19.519㎞のこの道路、正しくは富士山頂を起点とし、富士浅間神社東交差点を終点とする道路です。

山梨県道701号の徒歩のみ通行可能エリア

富士山吉田口登山道の起点である、北口本宮冨士浅間神社。山梨県道701号はこの神社のすぐそば、富士浅間神社東交差点で国道138号から分岐し、富士山頂へ向かいます。

北口本宮冨士浅間神社

住所
山梨県富士吉田市上吉田5558
交通
富士急行河口湖線富士山駅から富士急山梨バス忍野八海経由御殿場駅行きで6分、浅間神社前下車すぐ
料金
一般祈祷=5000円~/美のおまもり=1000円/御朱印(3種類)=各300円/

山梨県道701号は富士山吉田口登山道とほぼ同ルート

古くから山梨県側からの富士登山に多く使われてきた、北口本宮冨士浅間神社を起点とする登山道。そのルートとほぼ一致しているのが山梨県道701号です。

1964(昭和39)年に富士河口湖町(当時は河口湖町)から富士山五合目まで一気に行くことができる有料道路、富士スバルラインが開通して以来、山梨県側からの富士登山者の多くは、富士スバルライン五合目から登り始めるルートを利用しています。

ですが、山梨県道701号や並行する吉田口遊歩道を利用して麓から、あるいは馬返から登る昔ながらの富士登山も、山の自然や富士山信仰の歴史により多く触れることができる魅力から、今も一定の人気があるようです。

山梨県道701号富士上吉田線とその周辺

山梨県道701号富士上吉田線とその周辺

古来の山梨県側からの富士登山ルートは、山梨県道701号が継承していますが、現在の富士登山は富士スバルラインで富士山五合目まで来て、そこから登り始める「吉田ルート」の利用が主流。このルートでの登山者数が、静岡県側からのルートも合わせた富士山の主な4つの登山ルートの中で、もっとも多くなっています。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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