池田市（いけだし）ダイハツ町は、その名のとおり自動車メーカー「ダイハツ工業」の町であり、現在でも町内のほとんどが同社の本社工場で占められています。

またダイハツは池田市とともに、３子以上を産めばダハツ車を無料で貸し出す子育て支援制度を行うなど、親密な関係はトヨタの子会社になった現在も続いています。

企業城下町が受けるのは恩恵だけではありません。地域経済と企業が深く絡まっているということは、業績が落ちるとその悪影響も受けてしまいます。その典型が門真市（かどまし）です。

隣接する守口市（もりぐちし）もパナソニックや三洋電機のお膝元として発展しましたが、こちらも厳しい状況が続き、2005年には財政難から門真市との合併を協議。住民投票で否決されましたが、その際に新しい市の名前として「松下市」候補にあがりました。

池田市、門真市、守口市以外の企業城下町として、あまり知られていませんが堺市もあげられます。堺市といえば人口約80万人、面積約150 ㎢の政令指定都市。そんな市を企業城下とするのが家電メーカーの「シャープ」です。

大阪市阿倍野区に本社を構えていましたが、2016年に 台湾の「鴻海（ほんはい）精密工業」に買収され、本社機能は堺工場内に移転。堺市がどこまでシャープに依存できるのかは不明ですが、少なからず影響を受けるのは確実でしょう。

しかし、現在ではその状況にも変化が見えはじめています。現存する関連会社が「企業離れ」して他社や外国への売り込みを進め、１社依存からの脱却を目指しつつあるからです。こうした努力が実を結べば、各地の元城下町が、ふたたび工業都市として返り咲く日も遠くないでしょう。

大阪府の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。大阪府の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載！

【見どころ―目次より抜粋】
Part.1：地図で読み解く大阪の大地
大阪の歴史は水を起源とするとされる理由
大阪府の属する関西・近畿・畿内の違い
こんなに違った古代の大阪! 消えた河内湾と河内湖　ほか

Part.2：大阪を駆ける充実の交通網
西国へ、京都へ、熊野へ府下を通る旧街道の痕跡
どの道路が、なぜ混むのか？大阪の道路網の現状
徹底比較! 大阪の私鉄（阪急電鉄と阪神電鉄、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道、南海電気鉄道）　ほか

Part.3：大阪の歴史を深読み!
幕府軍が落とせなかった千早赤坂城の秘密
織田信長に恭順して残された富田林寺内町
天下の台所として日本経済を支えた中之島　ほか

Part.4：大阪で生まれた産業や文化
ダイハツ、パナソニック・・企業城下町の今
万博、花博、EXPO2025など国際博覧会の最多開催地・大阪
偉人たちが好んで食したなにわの伝統野菜　ほか

<コラム>
データで分かる74市区町村 人口と所得、観光、工業・農業・漁業
絵図で見る 大阪の川と「八百八橋」
鳥瞰図で見る 100年前がわかる大阪市パノラマ地図
鳥瞰図で見る 吉田初三郎が描いた90年前の大阪府
鳥瞰図で見る 大阪周辺にある歴代天皇・皇族の陵墓
絵図で見る 大坂冬の陣における諸将の配置
一見の価値あり! ヘンチクリンな建築物