明治に入ると、徳川宗家の駿府移封にともない、静岡県域に存在した諸藩が押し出されるようにして上総と安房に移封されてきました。上総の請西藩が改易、下総に曾我野藩が成立するなどの紆余曲折を経て、県域の藩は24 藩まで膨れあがっていました。

1871（明治４）年７月の廃藩置県では、この24藩がそのまま県となり、さらに旧幕府の直轄領や旗本領を受け継ぐかたちで葛飾県と宮谷（みやざく）県が成立したため、千葉県域には26もの県が誕生してしまいました。

26県は、同年11月の府県統合では、木更津県（安房・上総の16県）、印旛県（下総の７県）、新治（にいはり）県（下総東部３県と常陸東南部８県）の３県に整理されました。

このうち印旛県と木更津県は1873（明治６）年６月に合併。名称を千葉県と改めました。「千葉県」の名称を用いたのはこれが最初で、県庁は千葉郡千葉町（現在の千葉市中央区）に置かれました。

残された新治県は、1875（明治８）年に廃県となります。利根川では頻繁に洪水が起きたことから、行政が円滑に対処するには利根川を県境に設定するのが賢明だとの判断から、利根川より北を茨城県に、南を千葉県に振り分けることになり、香取、海上、匝瑳（ぞうさ）の３郡が千葉県に編入されました。

その際には、利根川以北の下総４郡（豊田、岡田、結城、猿島（さしま））、 葛飾郡と相馬郡の一部が茨城県に編入されることになり、ようやく現在の千葉県域が確定することになります。

なお、1873年に誕生した千葉県で最初の権令（ごんれい）（知事）に就任したのは柴原和（しばはらやわら）でした。柴原は印旛県と木更津県の権令を兼務していたことから、印旛・木更津の合併により誕生した千葉県の権令となるのも妥当でした。柴原は初代の権令に就任したのち、正式に県令へと昇進しました。

現在、千葉県は待機児童問題に積極的に取り組んでおり、2019年には市川市、松戸市、柏市などおよそ６割以上の市町村で「待機児童ゼロ」を達成しています。こうした子育て支援の気風は、千葉県誕生の時点から育まれてきたものなのでしょう。

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●収録エリア：千葉県全域