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新宿駅の歴史:地名の由来と現在の特徴

新宿駅には、JR東日本、京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、東京都交通局の5社が乗り入れており、東京都西部や神奈川県、埼玉県など、都心へ通勤する人々のベッドタウンへアクセスしやすい利点から、通勤時間帯をピークにほぼ一日中混雑が続いている状態です。

2017年度のデータによると、5社を合計した1日あたりの乗降客数は約353万人。これが横浜市の人口とほぼ同じであるのを考えれば、新宿駅そのものが「日本有数の大都市」ともいえるでしょう。

新宿の町の歴史を遡ると、「新宿」の名称は、17世紀の末に、東海道の品川宿、中山道の板橋宿、日光街道の千住宿に次いで、甲州街道の「新たな宿場町」として開かれたことに由来します。当時は、徳川家に仕えた信州高遠(たかとお)藩の内藤家の屋敷が近くにあったところから「内藤新宿」と呼ばれていました。

新宿駅の歴史:開業当時は閑散とした駅だった

新宿に鉄道の駅が設置されたのは、明治18(1885)年。日本鉄道の品川線(現在の埼京線、山手線)の駅として開業されましたが、内藤新宿の住民が反対運動を起こしたため、現在の新宿1、2丁目あたりにあった内藤新宿より西側に建設されたのです。駅は市街地から離れた場所となり、甲州街道と青梅街道の間にある雑木林の中だったといいます。旅客の利用は1日50人程度。雨が降った日は乗降客が1人もいない、という状況でした。

現在の新宿周辺図と明治18(1885)年頃の新宿

現在の新宿周辺図と明治18(1885)年頃の新宿

新宿駅は甲州街道から青梅街道への分岐である新宿追分(内藤新宿の西端)よりも西側に建設されました。明治18(1885)年、新宿駅ができた年にフルーツパーラーで有名なタカノも「高野商店」を開業。

その4年後に現在の中央線が開通した当初は、汽車に乗り遅れると2、3時間待たなければならない状況。駅前には「タヌキ茶屋」「キツネ茶屋」という2軒の茶店があったそうです。

新宿駅の歴史:利用者が右肩上がりに増加したのはなぜ?

明治22(1889)年には、甲武鉄道の新宿~立川(現在の中央線)が開通して乗換駅となり、明治28(1895)年に、現在の飯田橋駅近辺にあった飯田町駅まで中央線が延伸すると駅の利用者は増え始め、1900年頃には1日2000人近くになりました。

大正時代に入ると、新宿は郊外の住宅地として注目されるようになります。きっかけは大正12(1923)年の関東大震災で、東京の拡大に伴って都心部から東京西部への人口流出が増えた結果、市街地化が進展。また、繁華街として発展していた新宿も、第二次世界大戦の戦災で焼け野原となりましたが、終戦日の昭和20(1945)年8月15日から5日後には、日本最初の闇市が駅の東口にできました。

1970年代には西口の開発が本格化。日本を代表する繁華街へと発展し、1980年代、新宿駅の利用者数は250万人に達しました。

そして、1999年度から2019年度までの21年間、JR各駅の乗車人員ランキングでは首位を維持。JR以外の4社においても、起点となる新宿駅は、利用客数の上位にランクインしています。

新宿駅はさらに進化する!

さらに現在、東口広場と西口広場、それをつなぐデッキを整備する「新宿グランドターミナル」構想が始動し、さらなる進化が期待されています。

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・八王子城の落城と戦国時代の終焉
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・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
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・条件降伏と玉音放送
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・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
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【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化

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