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【1964年東京オリンピック開催に向けたインフラ整備①】自動車道

昭和39(1964)年の東京都の統計によれば、都内の道路のうちアスファルトで舗装された部分は約6%にすぎず、幹線道路も有機的に整備されていませんでした。そのため、まず、羽田空港、選手村、競技会場などをつなぐための街路が、「オリンピック関連街路」の名のもとに整備されることになりました。

710億円という膨大な予算があてられ、幹線道路の新設、拡幅、立体交差化など、22路線、事業延長54.6kmが整備されました。このうちもっとも重要なのが環状7号線の新設でした。鉄道との交差部はすべて立体交差化し、都心に入らずに外周を迂回でき、各放射道路へ連絡できるように計画されて、大会までに西側半分が完成しました。

そのほか、環状3号線(外苑東通り)、環状4号線(外苑西通り)、放射4号線(国道246号、青山通り、玉川通り)、放射7号線(目白通り)、放射12・19号線(昭和通り)なども整備されました。

1964年東京オリンピック関連の交通網

1964年東京オリンピック開催を控え、まず各競技施設や選手村をつなぐ五輪関連街路を優先に建設が始まりました。「オリンピック道路」とも呼ばれた一般道としては、22路線、事業延長54.6kmを整備。首都高速道路は、羽田~都心部~代々木(選手村)方面を結ぶ首都高速1号線をはじめとする4路線、事業延長31.8kmが整備されました。

【1964年東京オリンピック開催に向けたインフラ整備②】鉄道輸送

道路以外では、地下鉄網の整備も促進されました。戦前から営団地下鉄銀座線は営業していましたが、輸送能力に限界があるため、営団日比谷線が緊急建設路線となり、1964年東京オリンピック前の全線開業が至上命令となりました。

また、同時期に都営浅草線も建設されていましたが、昭和32(1957)年に運輸省から出された指示により、日比谷線と浅草線はどちらも両端を私鉄とつなぎ、相互乗り入れを行わなければならなくなります。

ただちに都や営団、各私鉄の間で協定を結び、車両サイズや軌間(レール間の幅)の規格が統一されました。日比谷線は大会42日前になんとか全線開通にこぎつけ、浅草線も押上~大門が開通しました。

【1964年東京オリンピック開催に向けたインフラ整備③】航空輸送

東京の空の玄関口である羽田空港(東京国際空港)の拡張整備も行われました。昭和34(1959)年当時、滑走路が2本しかなく、しかもその内の1本はジェット機の離着陸が不可能だったのです。そこで滑走路の延長、空港ターミナルの拡張を行ったほか、沖合を埋め立てて新たな滑走路も建設しました。

しかし、羽田空港に不足していたのは滑走路だけではありませんでした。空港への交通手段が貧弱で、当時は路線バスかタクシーしか選択肢がなかったのです。そこで浮上したのが、鉄道網へ接続するモノレールの開業案でした。

当時の日本には、ごく短距離の遊覧用と開業したばかりの名古屋の「ラインパークモノレール線」(1.39km)しか実績はなく、羽田でのモノレール建設は大きな挑戦でした。ルート変更や用地買収などの問題も乗り越え、五輪開会式23日前の昭和39(1964)年9月17日に浜松町~羽田(13km)が開通。わずか1年5か月ほどの工期でした。

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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く東京の大地

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・多摩川によって作られた? 東京に広がる武蔵野台地
・昭島市はかつて海だった!? アキシマクジラ発見の衝撃
・御神火が生んだ島々、伊豆諸島の誕生と火山の関係
・実は立川市内にはない? 東京の活断層「立川断層」とは?
・玉川兄弟が江戸まで引いた ! 標高差わずか92mの玉川上水
・23区内は坂だらけ? 900以上の名前を持つ坂がある
・凸凹を考えて見てみるとおもしろい! スリバチ状の地形が点在する東京
・渋谷は谷が密集してできた街だった
・千鳥ヶ淵はダムだった !?
・荒川と隅田川に囲まれた低地はなぜできたのか? 海抜ゼロメートル地帯江東デルタ
・“荒ぶる川”荒川の流路付け替え
・地下の大宮殿!? 日原鍾乳洞
・火山活動で誕生した島々の進化の歴史 、小笠原諸島の成り立ち
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【見どころ】Part.2 東京を駆け抜ける鉄道網・交通網

・海の中を走る鉄道だった!? 日本初の鉄道が新橋~横浜で開通
・馬車鉄道から始まった東京の都市交通機関、60年にわたる路面電車の活躍
・日本の発展を支えた100年。帝都の玄関口、東京駅開業
・関東大震災以降、東京は郊外へと拡がった。田園調布の開発と私鉄の発展
・地下鉄は銀座線から始まった/東京地下迷宮! 幻のホームとは!?
・64年東京五輪のレガシー “夢の超特急”東海道新幹線開通!
・都電荒川線が唯一存続した理由
・新宿駅がビッグターミナルになるまで
・高尾山ケーブルカーは日本一の急勾配!?
・五街道の起点となった日本橋
・勝鬨橋は幻の万博のために作られた
・首都高速の誕生と未来/東京の交通網の未来予想図
…etc.

【見どころ】Part.3 東京で動いた歴史の瞬間

・天之手力雄命と菅原道真公を祀る 古代に創建された湯島天満宮
・片田舎の武蔵野は関東随一の大国だった
・文武両道の才人、太田道灌が江戸城を築城
・八王子城の落城と戦国時代の終焉
・江戸幕府開府と家光で完成した大都市
・迫られる外交方針 ! 徳川家光が定めた「鎖国」体制
・江戸を襲った明暦の大火
・江戸を恐怖の底に陥れた安政の大地震
・徳川慶喜の思惑が外れた大政奉還
・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
・“玉砕の島”硫黄島の悲劇
・条件降伏と玉音放送
・東京裁判とスガモプリズン
・敗戦から19年目の東京五輪
・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
…etc.

【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化

・吉原遊廓は文化サロンの一面も!?
・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
・西洋スタイルの銀座煉瓦街が誕生
・日本初の第一国立銀行は日本橋で誕生した
・一丁倫敦と呼ばれた丸の内 職人が手作業で組み立てた東京タワー
・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
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