関東大震災での深刻な被害は火災
東京でもっとも大きく揺れたのは、隅田川より東側で、この地域の家屋倒壊率は20～30％。特に隅田川から柳島一帯、本所の横網から陸軍被服廠（ひふくしょう）跡地、深川の大部分の被害がもっとも大きかったのです。
しかし、建物の倒壊よりも深刻な被害をもたらしたのは火災でした。昼食時の火の使用と重なり、各所で次々と火災が発生。全犠牲者の約9割が火災で死亡し、東京中心部の約4割が焼失します。
陸軍被服廠跡地は、当時その一帯の唯一の空き地で、避難した人で身動きできない状態になっていました。そこを火災によって発生した竜巻のような火災旋風に四方から襲われ、逃げ場を失った人々がほぼ全滅。東京全体の死者約5万8 千人のうち、ここだけで約3万8千人が亡くなっています。
関東大震災のもうひとつの悲劇
また、火事が収まりつつあった1日の夕方から「朝鮮人暴動」というデマが飛び交い、在郷軍人会や消防団、町内会などの「組」が中心になって「自警団」を結成。6千人以上の朝鮮人を殺害しました。3日にも軍隊、警察、自警団によって、約300人の中国人が虐殺されるという悲劇が起きています。
関東大震災後の内閣発足と帝都復興院の創設
震災発生時、奇しくも総理大臣は空位でした。当時摂政宮だった皇太子裕仁親王（のちの昭和天皇）の命により、震災翌日に第二次山本権兵衛内閣が発足。内務大臣に就任した後藤新平が、復興計画立案に着手しました。
元東京市長で、都市計画に強い関心を持っていた後藤は、震災を都市改造実現の絶好の機会と捉え、震災復興に取り組む機関の新設とともに約30億円の復興計画を提唱。帝都復興院が創設されます。
関東大震災の復興計画縮小と帝都復興院の廃止
帝都復興院は、焼失区域以外を含む地域を計画範囲として、主要幹線道路や公園、広場の設定、中央市場とその他の市場の設定、上下水道の改定、運河や橋梁、河川の改修・新設を行う帝都復興計画大綱を決定します。当初は13億円の予算を見込みましたが、大蔵省との折衝などにより計画を焼失区域に限定することなどで約7億円に削減し、閣議決定されました。
さらに帝都復興審議会でも、枢密院顧問官の伊東巳代治らに反対され、京浜運河の建設を外すなど再び事業計画が縮小。帝国議会で予算を1億円削減され、事業費も失った帝都復興院は翌大正13（1924）年2月に廃止されます。
こうして復興計画は当初よりも大幅に縮小され、内務省復興局のもとで進むことに。幹線 補助線街路や区画整理区域などが、大正14（1925）年3月までに順次決定されました。
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