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伊豆諸島の島々は火山から生まれた

伊豆諸島の島々はすべて火山島です。火山島とは、海底からせり出した火山の山頂部分が海面から顔を出した状態のことをいいます。

また、伊豆諸島の島々は活火山です。活火山とは、「概ね過去1万年以内に噴火した火山および現在活発な噴気活動のある火山」のことを指します(火山噴火予知連絡会の定義)。伊豆諸島の島々は伊豆大島から火山脈の連なりになっています。

伊豆諸島の火山の特徴は岩質で分類することでがわかる

伊豆諸島は大きく捉えると、富士火山帯の南帯部に含まれます。火山活動によってつくられましたが、伊豆諸島の島々の岩石を分類すると、2つに分けられます。伊豆大島、利島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島は玄武岩(げんぶがん)質(一部安山岩も混じる)の成層火山。新島、式根島、神津島は流紋岩質の単成火山になります。新島、神津島の流紋岩火山は爆発力が大きいですが、活動の間隔が長いという特徴があります。

同じ成層火山でも粘性の低い玄武岩質溶岩を噴出する伊豆大島、三宅島は穏やかなタイプ、安山岩を噴出したことのある青ヶ島はより激しい爆発を起こすタイプです。御蔵島だけは、大まかには玄武岩質の火山に属しますが、主として安山岩からできていて、伊豆諸島の中ではもっとも古い島で、人間がもっとも早く住みついた島とされています。

伊豆諸島の火山「御神火」と住民の歴史

伊豆諸島の人々は、火山の危険や恐怖の中で生きてきました。特に、伊豆大島・三原山のそれを伊豆大島の人々は「御神火(ごじんか)」と呼んでいます。伊豆諸島とは「御神火」により生み出された島々です。個々の島々のおもな噴火の歴史を振り返ってみましょう。

伊豆諸島のおもな島①:伊豆大島

長径15km、短径9kmで、海面上の面積が伊豆諸島で最大です。本州にもっとも近い島だけに、文献などに残された噴火の記録も多いです。もっとも古い記録は飛鳥時代の684年と古く、『日本書紀』に短い記事があります。

絶えることなく噴煙をあげる三原山は現在は比較的穏やかですが、大噴火や大爆発を何回も繰り返してきました。伊豆大島史上最大の噴火は安永6~8(1777~79)年の噴火で、多量の溶岩を流失、火山灰が全島に降りました。

新しいところでは、昭和61(1986)年11月15日の噴火で溶岩流がカルデラ床に流下、同月21日カルデラ床で割れ目噴火、外輪山噴火で割れ目噴火、溶岩流下により、島民1万人が島外に避難、避難は約1か月続きました。

伊豆諸島のおもな島②:青ヶ島

八丈島の南約60kmにあります。天明5(1785)年3月10日に始まったのが天明の大噴火。4月27日に到着した船で163人を救出しましたが、島に取り残された約220人が死亡、以後50余年間無人島となります。

伊豆諸島のおもな島③:伊豆鳥島

ほかの地域の鳥島と区別するため伊豆鳥島といいます。明治35(1902)年8月7日とも9日ともいわれる日に、面積4.8㎡の鳥島の中央部で、長いところで直径800m、短いところでも直径300mの大火口が開くという大爆発が起き、当時島にいた125人全員が死亡しました。

伊豆諸島のおもな島④:三宅島

伊豆諸島の中でも特に噴火多発な島。ここ100年を見ても21~22年間隔で割れ目噴火を繰り返しています。

昭和58(1983)年10月、北東山腹に生じた割れ目から噴火、多量の岩塊が周辺に落下しました。溶岩流で住宅の埋没・焼失約400棟、山林耕地も被害を受けました。

2000年7月8日に始まった噴火では、山頂噴火が発生するとともに、続く噴火によりライフラインに打撃を与え、島内は麻痺状態となります。同年9月には全島民が島外へ避難し、2005年2月になってようやく避難指示が解除されました。

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