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城ヶ島の地層とプレートテクトニクス

ジオの見どころ満載の城ヶ島がいかにして誕生したかを説明する前に、プレートテクトニクスという理論を紹介します。

地球表面には、何枚もの厚くて固いプレート(岩盤)があります。このプレートの運動を元に、さまざまな地学現象を説明するのがプレートテクトニクスという理論です。

海のプレートは、海嶺(かいれい)(海底山脈)で生じて深い海溝へ沈み込んでいきます。この場所を沈み込み帯(プレート境界)といい、そこでは火山活動や地震、造山活動といった多様な地学現象が引き起こされています。

城ヶ島の地層と成り立ち

城ヶ島の周囲は、火山砕屑物(スコリア)や火山灰などの火山噴出物が凝固した凝灰岩(ぎょうかいがん)(三浦層群(みうらそうぐん))が基盤岩になっています。

舞台は約1500万年前の南洋。そこでは海底火山が活発に噴火しており、火山噴出物が堆積して火山島ができました。海底に堆積したこの火山島からの噴出物は、フィリピン海プレートに乗って北上し、やがて本州へ衝突。このとき、本州へ付加して(くっついて)、その後の地殻変動により、それが隆起し水面に現れたのが城ヶ島と考えられています

城ヶ島の地層の特徴

城ヶ島ではおもに三崎層(みさきそう)と初声層(はつせそう)のふたつの地層(ともに三浦層群に属する)が見られます。約1200万~400万年前に堆積したのが三崎層で、凝灰質シルト岩、スコリア質凝灰岩の互層(ごそう)になっています。

その後の約400万~300万年前に堆積したのが初声層で、こちらは葉理(ラミナ)がよく見られることから、軽石質の砂や礫などが浅い海で堆積した凝灰岩層と考えられています。

三浦層群の上にローム層が堆積している。風成層は風の作用で堆積した地層で、水成層は水の作用によって堆積した地層。

そして島には、これらの地層が堆積していた頃から現在までの数多くの断層が走っています。また、「馬の背」と呼ばれる海食洞や褶曲(しゅうきょく)、スランプ構造、炎状構造など、力強い自然の営みを感じられるスポットが数多くあります。

城ヶ島:通り矢の不整合

三浦市晴海町にある、はっきりとした傾斜不整合の露頭。傾斜した白っぽい三崎層の上に茶色いローム層が不整合で堆積しているのがよくわかります。

城ヶ島:海外町のスランプ構造

変形した三崎層がよくわかる三浦市海外町の崖面。スランプとは、固まりきっていない堆積物が、海底の斜面を滑り下ったために生じる堆積構造のことです。この崖には褶曲の背斜(波の山部分)と向斜(波の谷部分)のように、層のあいだに大きく曲がった構造が見られます。これは付加体の典型的な構造で、神奈川県指定天然記念物でもあります。

城ヶ島の地層と三浦半島南部

三浦市は海食台地の上にあり、東西には海食峡谷が入り込んだリアス地形が見られます。丘陵地では畑作が盛んで、三浦大根や三浦西瓜などブランド野菜でも知られています。

国土地理院標準地図(タイル)を元に作成

城ヶ島は、地図を見てのとおり、マグロで有名な三崎港の南にあり、港にとって自然の防波堤となっているのがわかります。地質的な見どころは城ヶ島だけでなく、陸側の三浦市にも点在しています。

城ヶ島の人工要素

城ヶ島の東半部は磯が少なく比高20m近い海食崖になっています。島北岸は三崎漁業振興の目的で、昭和30年代に工業用地として約1万㎡が埋め立てられました。

城ヶ島大橋は1960年に竣工。当時、最先端橋梁技術だった鋼床板箱桁式を採用し、13本の橋脚に支えられています。

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