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横浜市電の関東大震災後の再興

電気局は本牧線、杉田線、久保町線を整備する計画でしたが、2年後の1923年に関東大震災が発生。保有車両の6割にあたる85両を失いました。復旧に取りかかり、翌年には震災前にあった計画路線の建設が行われ郊外路線も延伸。震災復興を果たした1930(昭和5)年には系統番号を採用し、路線網の骨格ができあがります。しかし、バスや鉄道、不況などの影響で利用者は減少。納涼電車やクロスシートのロマンスカーを走らせるなど努力が図られました。

横浜市電は戦後再び復興しながらも無念の廃業へ

第二次世界大戦下の横浜大空襲では45両を消失しましたが、戦後、電気局を交通局に改称するとともに車両が増備されました。また、1954(昭和29)年からの2年間で、根岸線や井土ヶ谷線といった新線が開業し営業距離51.79㎞の最盛期を迎えます。これにより年間輸送人員は1億2000万人台に達しましたが、栄光も長くは続かず、モータリゼーションにより自動車が氾濫、正常運行が困難になります。こうして市は、横浜市電の廃止を決定。1972(昭和47)年3月、惜しまれつつも全廃しました。

横浜市電が残した遺構

廃止から半世紀近くが経ち、横浜市電の面影はほぼ消滅しましたが、今も往時を偲ばせるのが麦田(桜道)トンネルです。これは、山手丘陵を越えるため1911(明治44)年、元町~桜道下(のちに麦田町に改称)間に掘削された市電専用。自動車用は1928(昭和3)年に山手トンネルが並べて設けられ、市電廃止後はそれぞれが上下線に個別した道路トンネルとなりましたが、往時の雰囲気が今もよく残されています。

横浜市電保存館が滝頭車両工場跡地に

横浜市電保存館が滝頭車両工場跡地に
横浜市電保存館の歴史展示コーナー

横浜市電の滝頭車両工場跡地には横浜市電保存館があります。歴代の車両、敷石や標識などが保存され、横浜市電の歴史を見学できます。7両もの車両が横一列に並んで展示されているのは圧巻で、現在、各地に建てられている鉄道博物館をしのぐほどのスケール。横浜市電の活躍を後世に伝える貴重な施設です。

横浜市電保存館が滝頭車両工場跡地に

横浜市電保存館の多目的コーナー。「市電シミュレーター」では、昭和40年代の横浜の街をCGで再現し、市電の運転体験が楽しめる

横浜市電保存館

住所
神奈川県横浜市磯子区滝頭3丁目1-53
交通
JR根岸線根岸駅から市営バス市電保存館前行きで7分、終点下車すぐ
料金
入館料=高校生以上300円、3歳以上100円/(65歳以上200円、障がい者手帳持参で本人と同伴者1名無料、20名以上の団体は高校生以上200円、中学生以上50円、市営バス1日乗車券・ICカードでの市営バス利用で高校生以上200円、3歳以上50円)

廃線・廃線跡を地図から詳しく知るなら『レールウェイマップル』

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1945年(昭和20年)の終戦以降に廃止となった鉄道路線を地図上に表示。かつての路線網の充実ぶりに驚かされます。各廃線にも解説コメントを添えるのはもちろんのこと、歴史的価値の高い建造物や橋梁、隧道(トンネル)などの遺構群のプロットにも注力。日本の発展とともに歩んだ鉄道の歴史を、地図を辿りながら読み解きます。

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