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関羽の死を巡る三国志諸作品の記述と関帝信仰

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日:2021年12月14日

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関羽の死を巡る三国志諸作品の記述と関帝信仰

関羽の死を巡る正史、演義、日本の三国志作品の記述には、それぞれの国の関帝信仰が影響を与えています。とくに関羽に対する信仰が根強い中国では、関羽を神として祭り上げる傾向が見られます。

◉正史と演義では、曹操自身が関羽を神として祭り上げています。

◉日本の三国志作品では、関羽の死に対する曹操の感想は、そっけない印象を与えます。

関羽の死の扱い:史実三国志

劉備(りゅうび)の益州(えきしゅう)領有に合わせて北上していた関羽(かんう)は、背後から孫権(そんけん)軍に襲われて戦死します。

関羽の首は、孫権から曹操(そうそう)へと送られました。劉備の復讐を曹操に向けるためです。曹操は、関羽の首を丁重に埋葬しました。孫権から関羽の首を送られた曹操が、諸侯の礼で関羽を葬ったことは、『三国志』関羽伝注引『呉歴(ごれき)』に記載される史実です。『三国志演義』も、曹操が、最後まで関羽に礼を尽くし敬(うやま)うことを止めず、自ら祭主となって関羽を祭り、荊王(けいおう)の位を遺贈(いぞう)したことを記しています。

関羽の死の扱い:日本の三国志

横山光輝(よこやまみつてる)の『三国志』は、そっけない。関羽の首を見た曹操は、「殺すには惜しい男であった」と、とりあえずは関羽を称(たた)えます。しかし、「だがこれで余も枕を高くして寝られるのう」と喜び、劉備進攻の可能性を司馬懿(しばい)に諫められます。こうした関羽の描き方は、吉川英治(よしかわえいじ)の『三国志』を筆頭とする日本の「三国志」受容の特徴なのです。

吉川英治は、関羽に特別な感情を抱くことなく、張飛(ちょうひ)と同列に描いています。関帝信仰との関係が薄い日本人は、関羽の特別扱いに違和感を覚えるのです。

関羽の死の扱い:三国志演義

これに対して、『三国志演義』が、曹操・諸葛亮(しょかつりょう)よりも関羽を良く描くのは、関羽と故郷を同じくする山西商人(さんせいしょうにん)たちこそ、『三国志演義』を発展させたパトロンであったことによります。『三国志演義』をまとめた羅貫中(らかんちゅう)は、太原(たいげん)の生まれ、すなわち山西省の出身です。関羽の神格化には、清の皇帝たちの篤い信仰に加えて、山西商人のプロデュースが大きな力となっていたのです。

関羽の死の扱い:関帝信仰とは?

元は塩の密売業者であったという伝説や義理堅さから、関羽を財神・商業の神として信仰するものです。世界各地の華僑の町に関帝廟が設けられています。

関羽の死の扱い:関帝信仰とは?

関羽を神格化した関聖帝君を商売繁盛の神として祀っている横浜関帝廟

横浜関帝廟

住所
神奈川県横浜市中区山下町140
交通
みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分
料金
見学料=無料/経文・貴石入りお守り=1200円/神殿内参拝(線香代)=500円/

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【見どころ】目次より一部抜粋

■序章 三国志とはなにか?
【『三国志』と『三国志演義』】三国志といっても正史と演義のふたつが存在する
【日本人と三国志】江戸時代に始まる日本の三国志ブーム
【名士の社会】三国志の争いに大きな影響を与えた人々

■第1章 曹操の華北制覇
【黄巾の乱】太平道の張角が信徒を率いて蜂起! 群雄割拠の時代が幕を開ける
【董卓の死】子飼いの将に裏切られ命を落とした暴君
【呂布追討】呂布に徐州を奪われた劉備、曹操とともに呂布を討つ ほか
~コラム~くらべて楽しむ三国志
董卓の死/曹操・劉備・孫権の人物像

■第2章 三国時代のはじまり
【三顧の礼】荊州にて不遇の日々を送る劉備、諸葛亮と出会う
【赤壁の戦い】業火が曹操の水軍を焼き尽くした三国志最大の戦い
【樊城の戦い】樊城を陥落寸前まで追い詰めた関羽、呉の寝返りにより麦城に散る!
【曹操の死】曹操の死と曹丕の即位が三国時代の幕を開ける ほか
~コラム~くらべて楽しむ三国志
三顧の礼/諸葛亮と周瑜の角逐/錦馬超/『孟徳新書』/関帝信仰

■第3章 諸葛亮の北伐
【曹丕の南征】弱体化した呉を狙うも敗退し、蜀呉同盟復活の契機となる
【第一次北伐】劉備の念願をかなえるべく、諸葛亮が長安攻略を目指す
【第五次北伐】魏の持久戦術に成す術なく、五丈原で諸葛亮の命が尽きる

■終章 三国時代の終焉
【蜀の滅亡】厭戦気分の高まる蜀になだれ込み、成都を強行軍によって占領した魏
【魏の滅亡】司馬氏に乗っ取られた魏、禅譲によって晋に取って代わられる
【呉の滅亡】暴君・孫晧の悪政に付け込んで一斉に晋軍が侵攻 ほか

監修者紹介

渡邉義浩(わたなべよしひろ)
1962年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻修了。早稲田大学文学学術院教授。専門は中国古代思想史。文学博士。主な著書に『三国志事典』(大修館書店)、『「三国志」の政治と思想 史実の英雄たち』(講談社)、『三国志 演義から正史、そして史実へ』(中公新書)などがある。

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