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小幡藩の歴史に欠かせない藩主・織田信雄とは?

織田信雄は、織田信長の次男。本能寺の変後に行われた、信長の後継者を決める清洲会議では、秀吉の意見により信長の孫が選ばれたため、織田信雄は後継者となれませんでした。ですがその後織田宗家を継ぎ、名家織田の血筋を現代まで残したのは唯一信雄の系統だけといわれています。

小幡藩の歴史は織田家の統治によって栄えた

元和2(1616)年、織田信雄の四男・信良(のぶよし)が後を継いで福島地区の仮陣屋に入ると、織田氏による小幡藩政が始まりました。しかし仮陣屋では手狭となったため、旧小幡氏の重臣だった熊井戸氏の屋敷跡を利用した小幡藩邸への移転が行われ、小幡藩の中心は小幡となりました。

小幡藩の発展の歴史を物語る大名庭園「楽山園」

織田氏は養蚕などの産業育成に力を注ぎ、小幡の発展に尽力する一方で、群馬県で唯一の大名庭園「楽山園(らくさんえん)」を残しました。

楽山園は、池の周りの園路をめぐって観賞する池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園。周囲の山並みを借景として取り込み、その美しさから国指定名勝にもなっています。園路には「梅の茶屋」や、全国でも珍しい五角形の形状をした「腰掛茶屋」など、複数の茶屋を配しています。このことから、茶道の心得がある者が作庭に関わったと考えられ、織田氏と茶事との関連も感じさせます。

石材の宝庫である甘楽町の銘石を使った庭は、数万両を費やし、完成まで7年もかかったといいます。群馬県内で最も江戸時代の雰囲気を色濃く残す、歴史・文化的に貴重な庭園です。

楽山園の周辺

楽山園の周辺

楽山園は川向かいにある紅葉山や連石山などを借景にしています。

国指定名勝「楽山園」

住所
群馬県甘楽郡甘楽町小幡648-2
交通
上信電鉄上州福島駅からタクシーで10分
料金
入園料=大人300円、中学生以下無料/年間パスポート=1000円/(20名以上の団体は250円、障がい者手帳持参で同伴者1名無料、団体客随行乗務員は無料)

小幡藩の歴史は織田家から松平家へ

明和3(1766)年、藩政の立て直しをめぐって重臣間で内紛が勃発し、幕府によって裁定された明和事件により、織田氏は小幡の地を去りました。以後、版籍奉還までの約100年間、松平氏が小幡藩主となります。

発掘調査の結果、藩邸内で使用されている石は織田氏の方が立派で、松平氏は通路や水路などを縮小していることなど、織田氏と松平氏それぞれの時代の違いがわかっています。

広大な武家屋敷地区など、2万石の小大名には不似合いな規模のものは、織田宗家の格式を思ってつくられたと考えられています。毎年春に行われる「城下町小幡さくら祭り武者行列」も、かつての織田氏の勇姿を今に伝えるような華やかさで、町の一大イベントです。

甘楽町はイタリアともゆかりがある

昭和58(1983)年、甘楽町で開催されたイベントを機に、自然・文化的に似通うイタリア中部の「チェルタルド市」と友好親善姉妹都市協定を結びました。そのため町でもイタリア色が強くなり、「道の駅 甘楽」ではイタリア直輸入のワインやオリーブオイルなどを販売。また、2019年には武家屋敷地区で、地場産野菜を多用するイタリアンレストラン「PRETORIO(プレトリオ)」もオープンしました。江戸時代とイタリアが融合する町で、散策&グルメを満喫できます。

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・徳川家康も重要視した日本一の川 暮らしを支える利根川とダム
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Part.2 群馬を駆ける充実の交通網

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Part.3 群馬にまつわる歴史の話

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Part.4 群馬で育まれた文化や産業

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・「西に西陣、東に桐生」といわれる機どころ 桐生の織物の文化と歴史 ほか

コラム

・データで分かる全35市町村 人口の増減、観光、農業・工業
・吉田初三郎が描いた群馬の鳥瞰図
・上毛かるたにも登場する 群馬が誇る、ゆかりのある偉人
・まだまだある、群馬が誇る日本一! 群馬で見つけた日本で一番〇〇なもの

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