もう1つの名産品の下仁田ねぎは、日本のねぎの中で最も太く、白い部分がずんぐり短いのが特徴。火を通すと甘みが際立ちトロッとした食感に。

江戸時代に地元高崎藩の殿様が、諸国大名への贈り物にしていたという記録も残り、「殿様ねぎ」とも呼ばれています。

もちろん、ねぎとこんにゃく以外にも、群馬にはまだまだ誇れる農産物がたくさんあります。

標高の高い嬬恋村を中心とした吾妻地域は高原キャベツで知られ、とくに7～10月頃は、冷涼な気候を生かした「夏秋キャベツ（かしゅうキャベツ）」の栽培が盛んです。

一方、平野部ではきゅうりやなすなどを多く生産。農林水産省の2019年のデータによると、群馬県の夏秋キャベツと夏秋なすの出荷量は全国1位、きゅうりは2位という誇らしい順位です。

果樹園も多く、群馬県北部の利根沼田地域では、りんごやブルーベリーなどを栽培。とくにりんごは群馬県のオリジナル品種があり、「ぐんま名月」を筆頭に数々の品種が味わえるので、食べ比べてみてはいかがでしょうか。

さてここで、群馬の農業と関わりの深い人物を2人紹介しましょう。

まずは、上毛かるたに登場する、老農「船津傳次平（ふなつでんじべい）」について。天保 3（1832）年、富士見村（現・前橋市）の代々名主を務める農家に生まれ、父が経営する寺子屋で学び、学問に目覚めました。農作業の合間に作物の観察や研究を重ね、栽培技術の向上などに貢献。県の推薦で「駒場農学校（現・東京大学農学部）」で唯一の日本人教師となり、横井時敬（よこいときよし）など多くの著名な農学者や指導者が彼に学びました。

その後、農商務省や農事試験場の技師として全国をまわり、農業改良の講演を行った、近代農業・農学の父といわれる人物です。

さらにもう1 人、きのこ栽培に貢献した博士がいます。群馬は原木しいたけの生産量が全国3位、生しいたけの生産量が5位（2018年）のきのこ県です。

現在のようにしいたけが手軽に手に入るようになったのは、桐生市出身の農学博士「森喜作（もりきさく）」の功績があったからこそです。昭和17（1942）年、森は世界で初めてしいたけの人工栽培を成功させました。彼は生涯をきのこの研究に捧げ、その功績から「ドクターモリ」と称されています。

両者とも農業大国群馬が誇る偉人。こうした研究者や多くの農家のおかげで、群馬の野菜や果物がおいしくいただけるのです。

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