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奈良女子大学の歴史:前身が設立される

明治32(1899)年には高等女学校令が公布され、関西に第二女子高等師範学校の設立が検討されることになりました。そして明治41(1908)年、奈良女子高等師範学校が誕生しました。現在の奈良女子大学の前身です。

なぜ都市としての規模が大きい大阪や京都でなく、奈良だったのでしょうか。

奈良女子大学設立と岡倉天心

実は、奈良市は奈良県と協同して、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の分校の設立を目指し、明治28(1895)年頃、奈良市内の土地3000坪を文部省に寄付していました。当時東京美術学校の校長は、日本の伝統美術の保護や海外への紹介などに尽力した美術教育家の岡倉天心でした。

天心は奈良の社寺にあった古美術の保存に熱心だったため、奈良に分校を建てることを構想しており、市と県がこれに乗ったのです。しかし、その土地が狭いという理由で文部省が設立を許可しませんでした。そこで、その代わりに女子高等師範学校をいち早く誘致することになったのです。

当時は京都も候補地として挙がっていましたが、奈良の懸命な活動が実を結びました

奈良女子大学は女性の社会進出にも寄与

昭和24(1949)年に奈良女子大学が発足してからは、同年に初の女性学部長となった波多腰(はたごし)ヤスや、1997年に国立大学における女性初の学長となった丹羽(にわ)雅子など女性の社会進出に寄与してきました。

その発展の背景には、偶発的ながら、岡倉天心の存在があったといっても過言ではありません。

重要文化財が残る校内

創立110年を超える奈良女子大学のキャンパスには、歴史的に重要な建物もたくさんあります。旧奈良女子高等師範学校本館だった記念館と正門・守衛室は、1994年、国の重要文化財に指定されました。

そのたたずまいは、奈良女子高等師範学校創設当時の厳かな雰囲気を彷彿とさせます。

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見どころ―目次より抜粋

Part.1 地図、地形で読み解く奈良の大地
・実は人工的に作られた山だった? 古代史の舞台・大和三山
・人々の営みに密接してきた 生駒山がもたらした恩恵とは?
・大和平野を潤す大動脈 吉野川分水は300年越しに完成 ほか

Part.2 奈良を駆ける交通網
・生駒市と東大阪市にまたがる 暗峠の急勾配は法令地オーバー
・営業期間わずか9年間! 大仏鉄道を阻んだ急勾配
・3度の変更の末、駅開業が転がりこんだ!?なぜ、王寺町が鉄道の町になった? ほか

Part.3 奈良で動いた歴史の瞬間
・古墳の密集地帯・奈良盆地 なぜ古墳が造られなくなった?
・大化の改新だけではない! 中大兄皇子が変えた時間の概念
・秀吉が催した5000人規模の大宴会 吉野の花見で笑いをとった伊達政宗 ほか

Part.4 奈良で生まれた産業や文化
・全国で2校の国立女子大学 奈良女子大学設立の背景には岡倉天心
・古くから言い伝えがあった 天川村と手塚治虫作『火の鳥』の関係は?
・実は奈良盆地の気候が肝! 広陵町が靴下生産量日本一の理由 ほか

<コラム>
データで分かる全39市町村 人口、農業・水産業、観光
吉田初三郎が描いた奈良の鳥瞰図
映画・ドラマ・小説…… 奈良県とエンタメ作品

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