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東山道の当時の様子

東山道に属する下野国は、東北地方への入口に位置していました。街道には30里(当時の1里は約533m、約16㎞)ごとに駅家(うまや)が設けられており、平安時代中頃に編纂された律令の施行細則である『延喜式(えんぎしき)』によれば、下野国内の東山道の駅家は、足利(あしかが)・三鴨(みかも)・田部(たべ)・衣川(きぬがわ)・新田(にいた)・磐上(いわかみ)・黒川(くろかわ)の7つが置かれ、それぞれに駅馬(はゆま)10匹が備えられていたといいます。

東山道は下野国のどこにあったのか?

官道の整備に合わせて、地方には行政の役所である国衙(こくが)が定められ、そこには儀式や政務を行う国庁(こくちょう)(政庁)や住まいとなる館(たち)、税として集めた稲穀(とうこく)を保管する倉庫などが建てられました。この国衙がある場所を国府(こくふ)と呼び、下野国の国府は、現在の栃木市田村町の宮目(みやのめ)神社付近にあったことがわかっています。また、下野国分寺(こくぶんじ)や国分尼寺(こくぶんにじ)、下野薬師寺(やくしじ)などは、現在の下野市に置かれていました。これらの点から奈良時代の下野国における東山道の位置は大まかには推測されてきたのですが、比較的近年まではっきりとしたルートはわかっていませんでした。

古代の東山道の姿は遺跡調査により明らかに

そんななか、1988(昭和63)年から翌1989(平成元)年にかけて、那須烏山市の厩久保遺跡(うまやくぼいせき)の調査で、東山道の跡が初めて発見されました。その後も各地の遺跡調査が進み、これら街道の遺構と国衙や寺院の位置から、7つある駅家の場所も、より正確に推定されるようになりました。その結果、下野国における東山道のルートは、上野国の新田(にった)(現在の群馬県太田市)にある駅家から、足利、佐野、岩舟を経て国府のある栃木に至り、宇都宮を過ぎて鬼怒川(きぬがわ)を渡り、黒羽(くろばね)、那須を経て陸奥の白河に至るものであったと推測されるようになりました。また、県内で調査された道は、幅約6mで平坦に整えられ、両側には側溝が施されていたことも明らかになっています。

東山道(推定)と関連遺跡

近年まで東山道の正確なルートははっきりとわかりませんでしたが、1979(昭和54)年の下野国庁跡の発見や、足利や那須などにある官衙(かんが)遺跡、平成元年以降の東山道跡の発見などにより、少しずつですが古代の東山道の姿がわかるようになってきました。

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