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サラブレッドの一大産地となった日高地方の馬産の歴史

1872(明治5)年、開拓使が新冠(にいかっぷ)牧場を開設。お雇い外国人のエドウィン・ダンの助言を受けて西洋式牧場として整備され、北海道馬産の基礎が築かれました。1907(明治40)年、軍馬改良を目的として浦河(うらかわ)町に日高種馬牧場が設立。終戦までに候補種牡馬(しゅぼば)779頭、繁殖牝馬475頭を送り出しました。

戦前からサラブレッドは飼養されていましたが、農業の中心は馬産ではなく、大豆やそばの栽培でした。馬産では下総(しもふさ)御料牧場(千葉)と小岩井農場(岩手)が圧倒的でしたが、戦後GHQの占領政策により両農場でサラブレッドの生産ができなくなります。さらに、都市化で首都圏の馬産地が減少。

対する日高地方では、戦前からの馬産が基礎となり、一大産地として成長していきました。

日高産サラブレッドの相次ぐ誕生と第一次競馬ブーム

1970(昭和45)年以降、第一次競馬ブームが到来。減反政策が始まり、繁殖牝馬の仔分け制度や種牡馬のシンジケート(1頭の種牡馬を共同購入し、出資額に応じて種付けの権利を得る制度)に後押しされて、多くの水田が牧草地などに変わりました。

史上初の5冠馬となったシンザン(浦河町・松橋牧場)、地方競馬出身ながら中央のエリートを圧倒したハイセイコー(新冠町・武田牧場)、史上初の無敗の3冠馬シンボリルドルフ(旧門別(もんべつ)町・シンボリ牧場)など、日高から名馬が続々と誕生しました。

日高産サラブレッドたちが牽引した第二次競馬ブーム

そして、時はバブル。80年代後半~90年代前半には第二次競馬ブームが巻き起こり、それを牽引したのがオグリキャップ(旧三石(みついし)町・稲葉牧場)、スーパークリーク(旧門別町・柏台牧場)、イナリワン(旧門別町・山本牧場)、トウカイテイオー(新冠町・長浜牧場)などの日高産馬でした。

「サラブレッドのふるさと」日高の存在感が光る近年の日本競馬界

2019(令和元)年の日本ダービーは1着がロジャーバローズ(新ひだか町・飛野(とびの)牧場)、2着がダノンキングリー(浦河町・三嶋牧場)と、日高産馬がワンツーフィニッシュを決めました。

2020(令和2)年の日本ダービーでもコントレイル(新冠町・ノースヒルズ)が1着となり、日高生産馬が連覇。ノーザンファーム(安平(あびら)町)に代表される社台グループに席巻されてきた近年の日本競馬界において、「サラブレッドのふるさと」日高の存在感を改めて証明しました。

日高地方の主要な牧場

日高地方の主要な牧場

日高地方の中でも中部の新冠町と新ひだか町に、サラブレッドの飼養牧場が多くあります。牧場によっては、引退した名馬の見学やお墓参りも可能です(競走馬のふるさと日高案内所に要問合せ)。

ばんえい競馬

ばんえい競馬
帯広競馬場でのばんえい競馬のようす

約1トンの大型馬が騎手と重りを乗せた鉄そりを引き、力とスピードを競う「ばんえい競馬」。北海道開拓時代に農民の娯楽として誕生した、農耕馬(ばん馬)の力比べ(ばんえい競走)がそのルーツです。

戦後、これが競馬に認定され、1947(昭和22)年に初の公式競走が旭川と岩見沢で行われました。第一次競馬ブームの頃には、サラブレッドによる平地競走とは違った魅力が大人気に。

その後、不況もあって売り上げが低迷。2006(平成18)年までは帯広、岩見沢、旭川、北見競馬場で行われていましたが、今では帯広競馬場(ばんえい十勝)でのみ開催されています。

ばんえい十勝(帯広競馬場)

住所
北海道帯広市西十三条南9丁目
交通
JR根室本線帯広駅からタクシーで7分
料金
入場料=大人100円、15歳以下無料(とかちむらの施設で飲食や買い物は無料)/プレミアムラウンジ=500円/

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地球規模のプレート運動が北海道の大地と山々をつくる!
むかわ町穂別で発見された新種恐竜カムイサウルスとは!?
国内最大の湿地・釧路湿原が3000年以上も陸地化しない謎 ほか

Part.2 北海道を駆け抜ける鉄道網
日本初の軌道交通は茅沼を走り手宮~札幌に道内初の本格鉄道
ゴムタイヤで性能は上々 札幌市営地下鉄3路線の実力
樺太の鉄道と稚泊連絡船 最北の鉄路・宗谷本線 ほか

Part.3 北海道で動いた歴史の瞬間
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海を駆け巡る北の民アイヌ 樺太進出を狙い元と戦う!
松前藩が誕生し支配体制が確立! 南下を狙うロシアとのにらみあい
土方歳三の戦死で戊辰戦争終結! 旧幕府軍が描いた蝦夷共和国とは ほか

Part.4 北海道で育まれた産業や文化
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北海道らしい大規模農業は開拓時代に黒田清隆が提唱した!
サッポロビールにニッカウヰスキー 北の大地で銘酒が誕生するまで ほか

<コラム>
データで分かる全189市区町村 人口、所得、農業・漁業
初三郎が描いた北海道の鳥瞰図
過酷な気候と労働が生んだ 小林多喜二のプロレタリア文学

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