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丹波山村行きの路線バスは東京経由?

鉄道が通っていない丹波山村では、路線バスが唯一の公共交通機関で、それも隣接する奥多摩町のJR青梅線奥多摩駅から、都県境を越え村の中心集落にある丹波(たば)バス停まで(一部の便は途中の鴨沢西バス停まで)やってくる1路線しかありません

したがって、公共交通機関で丹波山村と村外とを往来する際は、山梨県内相互間の移動であっても一旦東京都を通らなければならないことになります。ちなみに、丹波山村に通う路線バスを運行しているのも、東京都八王子市に本社を置く西東京バス(株)であり、山梨県の事業者ではありません。

西東京バス 奥09・10系統 奥多摩駅~鴨沢西~丹波 路線図

西東京バス 奥09・10系統 奥多摩駅~鴨沢西~丹波 路線図

丹波山村内を走るバス路線はこの1路線2系統(奥09系統は鴨沢西折り返し便)のみで、同じ山梨県でありながら、隣接する甲州市、小菅村に通ずる路線はありません。丹波山村から小菅村へバスで行くには、都県境を越えてすぐの留浦(とずら)バス停で、奥多摩駅~小菅の湯間を走る、奥12系統のバスに乗り換えればよいのですが、この場合もわずかな区間ながら東京都内を通過することになります。

丹波山村と東京都との深い関係

このように、同一県内の他の自治体と直結する公共交通機関がまったく存在しないという、全国的にも大変珍しい丹波山村の状況ですが、その理由として、この村は甲府盆地へ通じる青梅街道(国道411号)の途中にある難所、柳沢峠(標高1472m)の東側に位置することもあって、昔から東京の多摩地区北西部とのつながりが強いことがあげられます。昭和20年代には、隣接する小菅村とともに東京都への編入が真剣に検討されたこともあったほどです。

村内を多摩川の源流である丹波川が流れ、東京都の貯水池である奥多摩湖に注いでいる、村域のほとんどを占める山林の約3分の2は東京都水道局が管理する水源涵養林であるなど、水をめぐっても、丹波山村は東京と切っても切れない関係にあります。

丹波山村行き路線バスの歴史

丹波山村に都県境を越えて路線バスが通うようになったのは1940(昭和15)年頃で、現在ある奥多摩駅(当時の駅名は氷川駅)~丹波バス停間の路線は1949(昭和24)年に開設されました。1964(昭和39)年8月には、中央本線塩山駅と青梅線氷川駅とを、途中丹波バス停を経由して結ぶ急行バスの路線も開設され、これにより丹波山村から東京都を通らずに、公共交通機関で山梨県内の他市町村に行くことが可能になりました。

しかし、この路線は利用が振るわず、1968(昭和43)年に季節運行となった後1971(昭和46)年に廃止。以後今日まで、丹波山村と山梨県内の他市町村とを結ぶ路線バスは一度も走っていません。

丹波山村の隣村には新たなバス路線が開通

なお、丹波山村と同様に、隣の小菅村でも公共交通機関は奥多摩駅からやってくるバス1路線だけという状況が長年続いていましたが、2014(平成26)年11月、国道139号松姫(まつひめ)バイパスが開通したのを機に、村と中央本線大月駅方面とを結ぶ路線バスが走り始めました。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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