信濃川と中津川の合流付近には、日本有数の河岸段丘が発達しており、その面積は町全域（約170㎢）の約2割を占めるほどです。河岸段丘とは、おもに河川の下流域で見られる階段状の地形のこと。まず、上流から川によって運ばれてきた土砂などが堆積し、山間を埋めて平地（谷底平野）をつくります。いっぽう川は土地が隆起したり、気候変動で海水面が低下したりすると侵食する力がより強くなり、平地を削っていきます。こうしてできた平坦な面（段丘面）と崖（段丘崖（だんきゅうがい））からなる地形が河岸段丘です。堆積と侵食の繰り返しによって何段もの段丘が発達していきます。

津南町では、約40万年前からの扇状地（せんじょうち）が信濃川とその支流によって侵食され、10面もの段丘が形成されています。信濃川の川底から最上面までの高低差は、500mにも達します。高い段丘ほど古く、平らな段丘面は、かつて川原だったところです。津南町の場合、段丘面は農地や集落、段丘崖は森林となっており、河岸段丘の上に発展した町だということがわかります。

この段丘面は、古い（高い）面から名称と形成された年代を示すと、谷上（たにあげ）面（約40万年前）、米原（まいばら）Ⅰ面・米原Ⅱ面（約30万～20万年前）、卯ノ木（うのき）面（約16万～15万年前）、朴ノ木坂（ほうのきざか）面（約14万～13万年前）、貝坂（かいざか）面（約5万～3万年前）、正面（しょうめん）面（約3万年前）、本ノ木（もとのき）面（約1.3万年前）、大割野（おおわりの）Ⅰ面・大割野Ⅱ面（約1万年前以降）とされています。段丘の形成年代は、各段丘に降り積もった火山灰を分析し、対比することで推定されたものです。

この河岸段丘には古くから人々が暮らしており、旧石器時代から弥生時代の遺跡が見つかっています。新潟県最古の遺跡である信濃川右岸にある、正面段丘面の正面ヶ原D遺跡からは、約3万年前、旧石器時代の刃の部分を磨いた石斧などの石器が出土しています。また、津南町には縄文時代の遺跡が数多く残されていて、遺跡の密集度は日本屈指といわれています。米原Ⅰ面の縄文集落跡の堂平（どうだいら）遺跡からは縄文時代を代表する火焔型（かえんがた）土器が出土しており、米原Ⅰ面の縄文中期の大規模集落跡・沖ノ原遺跡（国指定史跡）からも、火焔型土器が見つかっています。

信濃川中流域の十日町盆地は、西を東頸城（ひがしくびき）丘陵、東を魚沼丘陵に挟まれたほぼ南北方向に細長い盆地です。この盆地は、東頸城丘陵とともにプレートの運動による東西方向の圧縮を受けて隆起した褶曲帯です。

盆地を流れる信濃川がつくったいくつもの河岸段丘が、たわんで変形していることなどから、信濃川周辺は「信濃川活褶曲帯（かつしゅうきょくたい）」などと呼ばれ、東西両岸に活断層が存在していると考えられています。

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