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北海道に開拓使を設置

1869(明治2)年7月8日、箱館戦争に勝利した明治新政府は北方開拓を主業務とする行政機関「開拓使 」を設置しました。

この頃、武四郎は蝦夷開拓御用掛に任命され、蝦夷地を北海道(当初は「北加伊道」)と命名します。この名称は、当時のアイヌが「加伊」と名乗っていたことに由来するといいます。なお、「道」とは古代天皇制による五畿七道(ごきしちどう)(山陽道や山陰道など)に準拠する行政区画です。

開拓使札幌本庁の誕生

開拓使の本庁は、設置当初は芝の増上寺(東京都港区)に置かれていましたが、1870(明治3)年に函館(前年に「箱館」から改称)に移り、さらに札幌へと移転しました。全道開拓の拠点としては、道南の端にある函館よりも札幌のほうが適していると考えられたからです。のち1873(明治6)年に八角ドームのある開拓使札幌本庁が落成します。

北海道の開拓使のトップとなった黒田清隆とは

1870(明治3)年、薩摩藩出身の黒田清隆(くろだきよたか)が開拓次官に任じられ、開拓使の実質的なトップになりました。黒田は開拓使十年計画を策定し、明治政府に北海道開拓の重要性を認めさせ、巨額の予算を引き出すことに成功したのです。

黒田は海外からさまざまな分野の外国人技術者を招聘(しょうへい)し、アメリカの開拓を手本として、鉄道や道路の敷設、炭鉱開発、ビールや砂糖の製造、洋式農業の導入、札幌農学校開校など、ありとあらゆる事業を同時に展開しました。そして、1874(明治7)年には北方警備、開拓を兼任させるために屯田(とんでん)兵制を開始。生活に困窮する士族を移民させ、北海道へと入植させていきました。

北海道の開拓使の廃止を招いた黒田清隆の失脚

十年計画の満期が近づいた1881(明治14)年、黒田は同郷の政商・五代友厚に鉱山などを安価で払い下げようとして批判を浴びました(開拓使官有物払下げ事件)。これは開拓使事業を継承させるためであったとされますが、これが明治政府を揺るがす政治事件(明治十四年の政変)へと発展し、大隈重信一派は政府の中枢から追放されてしまいます。

結局、黒田は失脚することになり、開拓使は1882(明治15)年2月に廃止されることになりました。その後、北海道の行政区画は函館県、札幌県、根室県と三分割されるのでした。

三県一局時代の囚人労働~開拓の暗黒面

三県一局時代、樺戸集治監・空知集治監・釧路集治監が道内に開設され、それぞれが各県の地域開発と行政の拠点となりました。囚人は労働力として利用されました。犯罪者(一部は自由民権運動の国事犯)であることを盾にとり、囚人たちには非人道的な労役が科せられたのです。

幌内炭鉱では、囚人の賃金は一般人の4分の1だったそうです。上川・網走間の中央道路建設では囚人211人が死亡。道路脇には鎖をつけたままの遺体が埋められたという「鎖塚」が現在も残ります。

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地球規模のプレート運動が北海道の大地と山々をつくる!
むかわ町穂別で発見された新種恐竜カムイサウルスとは!?
国内最大の湿地・釧路湿原が3000年以上も陸地化しない謎 ほか

Part.2 北海道を駆け抜ける鉄道網
日本初の軌道交通は茅沼を走り手宮~札幌に道内初の本格鉄道
ゴムタイヤで性能は上々 札幌市営地下鉄3路線の実力
樺太の鉄道と稚泊連絡船 最北の鉄路・宗谷本線 ほか

Part.3 北海道で動いた歴史の瞬間
4000年前の縄文時代に築かれたストーンサークルとは何か?
海を駆け巡る北の民アイヌ 樺太進出を狙い元と戦う!
松前藩が誕生し支配体制が確立! 南下を狙うロシアとのにらみあい
土方歳三の戦死で戊辰戦争終結! 旧幕府軍が描いた蝦夷共和国とは ほか

Part.4 北海道で育まれた産業や文化
150年で200万都市へ成長! 道都・札幌が大発展した理由とは?
北海道らしい大規模農業は開拓時代に黒田清隆が提唱した!
サッポロビールにニッカウヰスキー 北の大地で銘酒が誕生するまで ほか

<コラム>
データで分かる全189市区町村 人口、所得、農業・漁業
初三郎が描いた北海道の鳥瞰図
過酷な気候と労働が生んだ 小林多喜二のプロレタリア文学

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