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南方熊楠が昭和天皇と謁見した「神島」

田辺湾に浮かぶ神島(かしま)は「おやま」と「こやま」からなる3haの小島で、島を覆う照葉樹林に神が住む島とあがめられてきました。

神島は南方熊楠が昭和天皇と接見した行幸(天皇・皇后の外出)の島としても知られていますが、最初に神島にわたった南方熊楠は、紀伊半島南部の典型的な植生をよく留めた環境だと気づきました。将来、周辺の陸地の森が消えたとき、本来の森はこうだったという“ものさし”として、神島を残そうと考えたようです。

国土地理院の地図に、「南方曼陀羅の風景地神島」とあります。この南方曼陀羅の風景地13か所は、南方熊楠が神社合祀反対運動中に記した『南方二書』、「神社合祀に関する意見」で触れた場所で、国の名勝に指定されています。
国土地理院標準地図を元に作成

南方熊楠らの運動で神島は保全林となり国の天然記念物にも指定

その後、神島は南方熊楠たちの運動により、明治末年には保安林に指定。1929年には南方熊楠が天皇に講義をする場所として選ばれ、1930年には和歌山県の天然記念物に指定されます。さらに1935年には国の天然記念物に指定されています。

これら神島の保全のすべてにおいて、常に南方熊楠は主導的立場でかかわっており、神島が法の下できちんと保全されるために、その時代における最善の努力を傾けたのでした。

南方熊楠と昭和天皇の神島をとおしてのつながり

前例のなかった無位無官の者の講義が行なわれた神島。その翌年、天皇が上陸した地点には、繁茂した樹林を背に「一枝もこゝろして吹け沖つ風 わが天皇(すめらぎ)のめてましゝ森ぞ」と南方熊楠が詠み、自ら筆をふるった行幸記念碑が建立されました。

1962年、昭和天皇・皇后が南紀訪問の際、白浜の宿舎より30余年前に訪れた神島を望み、「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」という歌を詠みました。

昭和天皇の歌に個人名が出てくることは大変少なく、いかに神島と南方熊楠のことが印象に残ったかがうかがえます。昭和天皇が詠んだこの歌の碑は、神島を望む「南方熊楠記念館」の前に建立されています。

南方熊楠記念館

住所
和歌山県西牟婁郡白浜町3601-1
交通
JRきのくに線白浜駅から明光バスアドベンチャーワールド行きで16分、臨海下車、徒歩8分
料金
入館料=大人600円、小・中学生300円/

神島高校は写真甲子園3連覇の写真部強豪校

「和歌山」で「甲子園」といえば、真っ先に思い浮かぶのは、やはり2021年時点で春夏あわせて4度の甲子園優勝を誇る強豪校・智弁和歌山高校の野球部でしょう。しかし、和歌山にはもう1校、ある甲子園の強豪校が存在します。それが、田辺市にある和歌山県立神島高校です。
神島高校は、1994年にはじまった全国高等学校写真選手権大会(通称「写真甲子園」)で2017年から3連覇を果たしているのです。この大会の予選には全国500校を超える高校が参加し、本戦は毎年7月下旬に北海道で開催。全国11ブロックを勝ち抜いた各校が、それぞれ3人1組となって現地で撮影を行ない、優勝を争います。
2021年の大会では惜しくも準優勝となりますが、今後は写真部の強豪校としてより有名になっていくことでしょう。

神島

住所
三重県鳥羽市神島
交通
近鉄鳥羽線鳥羽駅から徒歩7分の佐田浜(鳥羽マリンターミナル)から市営定期船神島行きで35分、神島港下船
料金
市営定期船乗船料(鳥羽~神島)=大人730円、小人370円/

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地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から和歌山県を分析!

和歌山県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。和歌山の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く和歌山の大地

・台風上陸数全国3位の和歌山県、海岸線は650kmのリアス海岸と下津軍港
・全国で唯一村全体が「飛び地」となった北山村の背景
・白良浜の砂は「白浜産」ではない?火山がないのに南紀白浜温泉が日本有数の温泉地である理由
・大地の活動によって生まれた南紀熊野ジオパーク
・恩恵と水害をもたらしてきた世界遺産「川の表参道」熊野川
・延々と続く海岸線、美浜町の観光シンボル、煙樹ヶ浜と磯釣りのメッカ・すさみ枯木灘海岸
・日本最大の高さの「那智の滝」は大噴火時代の名残

…などなど和歌山のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 和歌山を駆ける充実の交通網

・淡路島は目と鼻の先 紀淡海峡
・外界(俗世)から聖地「高野山」へ通じる7つの高野参詣道・熊野古道
・「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」「うめ星電車」 廃止寸前から復活した和歌山電鐵
・京都と新宮を結ぶ特急が走っていた?幻に終わった「五新線」
・今の紀和駅は元和歌山駅だった! 複雑な変遷をたどった和歌山市内の鉄道ルート
・急カーブと急こう配が連続する南海高野線 橋本以南は走る電車が違う!

…などなど和歌山ならではの交通事情を網羅。

Part.3 和歌山の歴史を深読み!

・国内最大規模の岩橋千塚古墳群は、古代紀伊国支配者・紀氏の古墳?
・『万葉集』『古今和歌集』で表現された和歌山市
・紀伊半島南部の港を支配した熊野水軍。船を隠したという伝説が残る「三段壁洞窟」
・かつて那智勝浦で行われていた補陀落渡海って?
・紀の川を堰き止めろ! 秀吉の太田城水攻め
・根来寺と根来衆と鉄砲の深い関係
・「和歌山県の江戸時代」八代将軍吉宗と14代家茂を生んだ徳川御三家紀州藩と和歌山城

…などなど、和歌山の歴史に興味を惹きつける。

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