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天下の台所・大阪を支えた蔵屋敷

大坂の陣によって豊臣家は滅亡し、江戸に幕府が開かれたことで大坂は政治の中枢ではなくなりました。ですが、豊臣時代に建てられた、各大名が年貢米や特産物を保管・販売するための蔵屋敷(くらやしき)は残されていました。この蔵屋敷の存続により、大坂は経済の中心地であり続けたのです。

天下の台所・中之島が経済の要衝として発展したワケ

江戸時代になると、大坂は幕府直属の城代と町奉行、そして町人から選抜された惣年寄(そうどしより)と町年寄によって水路が多数開削され流通の拠点となっていきます。この運河と西・東回り航路の整備によって、大坂への船舶輸送がさかんになりました。

堂島川(どうじまがわ)と土佐堀川(とさぼりがわ)に挟まれた中之島は大阪湾に近いだけでなく、淀川を通じて京都ともアクセスしやすく、船場の商業地にも近いという利点がありました。水の都の経済の要衝として、中之島は発展していったのです。

天下の台所としてにぎわう中之島

全国の諸藩は、米や作物を収穫すると大坂に船で送ります。中之島につくと蔵屋敷に運び込み、そこから各品の入札や販売を行います。 中之島の蔵屋敷は元禄年間(1688~1704年)に130を超え、川岸には物資運搬用の堀や入り江がいくつもつくられました。

江戸時代中期になると、全国の米の値段を決定する堂島米会所(こめかいしょ)や、金銀の相場を決める北浜金相場会所が近隣に設けられたことで商業取引はより活発になりました。

また、特産品を取り扱う問屋や諸藩と取引する金融商人などの経済活動もさかんに行われ、まさに天下の台所にふさわしいにぎわいでした。

中之島でとくに経済の中心地だった堂島

中之島の中でも北に位置する堂島は、江戸時代における大阪経済の中心地でした。堂島新地の開発で当初は歓楽街として発展しましたが、やがて淀川米市の堂島移転で商業地となっていきます。

1730年に世界初の先物取引所である「堂島米会所(米市場)」が開設したことにより、堂島は日本の米の値段を決めるほどの商業地となりました。明治の蔵屋敷廃止や戦時中の米取引停止で大きな被害を受けましたが、現在は多数のオフィスビルが立つビジネス街となっています。

天下の台所・中之島の一時荒廃と近代都市への発展

そんな中之島も、明治維新後の蔵屋敷廃止で一時は荒廃してしまいます。それでも官公庁の蔵屋敷跡買い上げと、1891年の市営中之島公園の開設で活気を見せはじめ、病院や学校も次々に開設されました。

大正時代には朝日新聞社や日本電力などの企業ビルが立ち並ぶ近代都市へと発展しました。現在も中之島は関西有数のビジネス街として大阪経済を支え、各所に置かれた石碑が、かつての蔵屋敷の名残を今に伝えています。

昭和初期の中之島

中之島で大川(旧淀川)は堂島川と土佐堀川に分岐します。戦前から、中央公会堂や日本銀行大阪支店、大阪ホテル(現・リーガロイヤルホテル)など、政財界の主要な機能が集まる重要な場所でした。

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