フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  関東 > 千葉県 >

加曽利貝塚は日本最大級!その成り立ちとは

この場所に縄文人が住み始めたのは、今から約7000年前。これは、住居跡が発見されたことからも明らかになっています。

しかし、加曽利貝塚ができたのは約5000年前以降のこと。加曽利貝塚の北貝塚は約5000年前の縄文中期に、南貝塚は約4000年前の縄文後期につくられたとされています。北貝塚は約1000年かけて徐々に使用されなくなっていき、その代わりとしてつくられ始めたのが南貝塚です。

北貝塚は直径140mのドーナツ形、南貝塚は長径190mの馬蹄形で、このふたつの貝塚が連結されて8の字形をしているのが加曽利貝塚の全容です。北貝塚と南貝塚を合わせると、その規模は日本最大級となります。

加曽利貝塚の位置と海との関係

加曽利貝塚は、都川(みやこがわ)の支流である坂月川(さかつきがわ)を約2㎞遡った台地上にあります。現在の地形では、加曽利貝塚を「東京湾沿岸の貝塚」と呼ぶには、やや内陸にあるような印象を受けるかもしれません。しかし、当時はこの場所が沿岸部だったのです。

というのも、最終氷期終了後、日本で縄文時代を迎える頃は、世界的に温暖化が進んだ時期で、北半球の氷床がもっとも多く溶けて、現在よりも海水面が高くなっていました。これを「縄文海進(じょうもんかいしん)」と呼びます。そのピークは約6000年前で、今より海面が2~3mほど高かったと推測されています。

加曽利貝塚のある千葉市若葉区桜木8丁目あたりは、当時はもっと海に近く、東京湾(古東京湾)で漁をする住民にとっては、貝塚として利用しやすい場所だったわけです。

加曽利貝塚の位置と海との関係

千葉市若葉区桜木8丁目にある加曽利貝塚。

1966年(昭和41年)11月、千葉市立加曽利貝塚博物館が開館。最寄り駅は、北にある千葉都市モノレール桜木駅です。

千葉市立加曽利貝塚博物館

住所
千葉県千葉市若葉区桜木8丁目33-1
交通
千葉都市モノレール2号線桜木駅から徒歩15分
料金
無料

加曽利貝塚から見つかる貝の種類と食べ方

加曽利貝塚からは、アサリ、ハマグリ、キサゴといった種類の貝殻が見つかっています。そのうち8割以上はイボキサゴという小さな巻き貝で、これらを縄文土器で煮沸して食していたと目されます。近年では、イボキサゴの小ささでは主食に適さないとの判断から、調味食材として味付けに用いたのではないかとの推測もあるようです。

加曽利貝塚から見る縄文の人々とその暮らし

また、加曽利貝塚は集落をともなう「ムラ貝塚」であり、土器や各種の道具といった生活用品、さらには人骨までも出土しています。穴を掘って遺骨を埋め(身体を伸ばした伸葬(しんそう) )、 その上から貝殻を捨てていたと見られています。人骨の平均身長は男性が150㎝前後、女性は40㎝前後と、現代人に比べてかなり小さいようです。

また、加曽利貝塚からはイヌの遺骨も見つかっており、こちらも“捨てた”というよりは“埋葬した”形で出土したことから、この時代すでにイヌは人間にとって身近な動物であったことがうかがえます。なお、加曽利貝塚PR大使を務めるマスコット「かそりーぬ」がイヌ型のキャラクターなのは、この出土したイヌにちなんでいるからです。

加曽利貝塚の隆盛から衰退への変遷

ムラの住居跡や貝殻の量から推定すると、加曽利貝塚は約3500年前頃に隆盛を極めました。しかし、約3000年前から貝が採れなくなり、それにともなってムラは消滅。同時期には東京湾沿岸部のほかの貝塚も同様に消滅の道をたどります。

2017年、加曽利貝塚は国の特別史跡に指定されました。

『千葉のトリセツ』好評発売中!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。本書では千葉県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

●収録エリア:千葉県全域

【注目1】千葉の地質・地形を徹底分析

・市原市を流れる養老川河岸の露頭に約77万年前の地層チバニアン発見!
・恐竜時代の岩石がむき出しの見て楽しい銚子のジオ巡り
・火山がない県なのに鴨川に海底火山が流出?
・繰り返される巨大地震の爪痕・南房総に発達する海岸段丘
・鋸山の絶景をつくった「房州石」とはどんな石?

・・・などなど、千葉のダイナミックな自然の成り立ちを解説。

【注目2】古代から中世、江戸時代、近現代の千葉の歴史を一望

・ふたつの大型環状貝塚からなる巨大な加曾利貝塚の謎
・32基もの古墳がつくられた富津の内裏塚古墳群とは?
・鴨川市小湊がゆかりの地、高僧・日蓮の波乱に満ちた生涯
・坂東太郎の流れを変えた徳川家康の利根川東遷
・日本地図を完成させた佐原村の名主・伊能忠敬の素顔
・廃藩置県で26県もあった千葉県域をどうやって統一?

・・・などなど、千葉の歴史のポイントがわかる。

【注目3】千葉を駆け巡る鉄道網をはじめ、千葉で育まれた文化や産業を紹介

・民鉄最高速160キロでスカイライナーが走れる理由
・成田空港線の高架橋は成田新幹線の遺構だった
・登山鉄道も計画された小湊を目指した小湊鉄道
・かつて千葉市の中心駅は京成千葉駅だった!?

・・・などなど、千葉を走る鉄道網の秘密に迫る。

また、銚子港が水揚げ量日本一を誇る理由や明治期最先端の土木技術が光る海の要塞・第二海堡とは?、皐月賞や有馬記念の舞台として知られるJRA中山競馬場の誕生秘話・・・など、千葉県にまつわる文化・産業の面白話もたっぷりと紹介します。

『千葉のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  関東 > 千葉県 >

この記事に関連するタグ