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内裏塚古墳群の概要

そのような千葉県において、もっとも規模の大きな古墳といえば内裏塚古墳(だいりづかこふん)(富津市二間塚)です。東京湾へと流入する小糸川の下流域には、古墳時代の中期から末期(5~7世紀)にかけて数多くの古墳がつくられました。現在この地域には、合計47基(前方後円墳11基、方墳7基、円墳29基)もの古墳が確認されており、これらをまとめて内裏塚古墳群と呼びます。

そのうち、5世紀中頃に造営された内裏塚古墳は、古墳群最大の全長144m(後円部径は約80m)。千葉県内でもっとも大きいばかりか、南関東においても最大規模を誇ります。

内裏塚古墳付近

内裏塚古墳付近
「内裏塚古墳群マップ」(富津市)を元に作成

内裏塚古墳群は富津市の北部、小糸川河口付近の低地にあり、内房線・青堀駅周辺の2㎞四方に47基が分布しています。同駅の南にあるのが、南関東最大規模の前方後円墳・内裏塚古墳です。

内裏塚古墳に埋葬されたのは誰?

大化の改新(645年)によって律令体制が整備される以前の日本では、各地に国造(くにのみやつこ)と呼ばれる支配者が存在しました。小糸川の下流域全域を支配下に置いたのは須恵国造(すえのくにのみやつこ)であり、この古墳に埋葬された人物は須恵国造の首長であったと考えられています。

内裏塚古墳から出土した被葬者と副葬品

内裏塚古墳の内部には2基の竪穴式石室が確認されており、被葬者の人骨(2体)と、さまざまな副葬品が出土しました。直刀や鉄剣、角棒(かどぼう)といった武具をはじめ、銅鏡、農耕具、鳴鏑(めいてき)などが見つかっています。

鳴鏑とは矢じりの根元に装着するもので、射られた矢が空中を飛ぶ際に音が鳴るようにする仕掛けのことで、内裏塚古墳から出土したものはほぼ原形をとどめています。しかも全長7.5㎝と同時代のものと比べても大型で、全国的に見ても類例のないものです。

内裏塚古墳から出土した人物埴輪

また、古墳前方部南西側からは人物埴輪(はにわ)も見つかっています。国内で発見された人物埴輪のなかでも初期の部類に入り、みずら(古墳時代の男性の髪型)の形もよくわかるのが特徴的です。

なお、これら内裏塚古墳から出土したものは、現在、国立歴史民俗博物館(佐倉市)に展示・保管されています。

国立歴史民俗博物館

住所
千葉県佐倉市城内町117
交通
京成本線京成佐倉駅から徒歩15分
料金
入館料=大人600円、大学生250円、高校生以下無料、企画展示入館料はその都度異なるため要問合せ/(障がい者手帳等持参で本人と介護者は入館料無料)

内裏塚古墳にもゆかりが残る「真間の手児奈」と「末の珠名」

千葉県内には『万葉集』に歌われた美女の伝説がふたつ残っています。それが「真間(まま)の手児奈(てこな)」と「末(すえ)の珠名(たまな)」です。

手児奈は数多くの男性から求愛された絶世の美女でしたが、それを苦悩して真間(市川市真間)の海で入水自殺したとの伝承が残っており、現在は弘法寺(市川市真間4丁目)の手児奈霊神堂に祀られています。

いっぽうの珠名は末(須恵)に住む美女で、やはり大勢の男性から求愛されましたが、男たちを手玉にとったようで、手児奈とは対照的な存在といえます。なお、内裏塚古墳の丘上には「珠名娘子(たまなおとめ)の塚碑」が建立されています。

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