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【千葉の醤油メーカー】銚子のヤマサ醤油・ヒゲタ醤油

千葉県内には銚子という、もうひとつの醤油の産地があります。浜口家のヤマサ醤油、田中家のヒゲタ醤油という全国区の醤油メーカーはともに、銚子が発祥の地です。

銚子駅周辺

銚子駅周辺

銚子駅を挟んで東にヤマサ醤油西にヒゲタ醤油の工場がある銚子。この江戸期から続く老舗2社のほかに、1875(明治8)年創業の小倉醤油、1941(昭和16)年創業の宝醤油と、銚子市内では今も4社が醤油醸造業を営んでいます。

千葉は醤油生産量日本一

この野田と銚子、二大生産地を抱える千葉県の醤油生産量は日本一。4割近い全国シェア(2018年)を誇っています。

千葉と醤油醸造の歴史

さて、関東地方で本格的な醤油醸造が始まったのは17世紀。野田では1661(寛文元)年に旧・上花輪村(かみはなわむら)の名主であった高梨兵左衛門(たかなしひょうざえもん)が、銚子では1700(元禄13)年に紀州広村出身の浜口儀兵衛(はまぐちぎへえ)が醤油醸造を始めました。

なお伝承では、飯田市郎兵衛(いいだいちろべえ)が永禄年間(16世紀後半)に野田で、田中玄蕃(たなかげんば)が1616(元和2)年に銚子で、それぞれ醤油の醸造を始めたとされています。

野田で増える醤油醸造

野田では18世紀後半の明和・安永年間に醤油醸造を始める人が増え産業として本格化します。それまで味噌の生産をしていた茂木七左衛門(もぎしちざえもん)も、1766(明和3)年に醤油醸造へ鞍替えしました。幕末には、高梨兵左衛門家と、茂木七左衛門家の分家である茂木佐平治(さへいじ)家、柏屋七郎右衛門(かしわやしちろうえもん)家の3家が野田を代表する醸造家となりました。とくに茂木家一族の生産量の伸び率は著しく、野田全体の約3分の2を占めるほどでした。

銚子の醤油づくりの原点は紀州湯浅?

いっぽう、漁業が盛んな銚子では、江戸時代には紀州から漁業の出稼ぎにくる人がたくさんいました。銚子で醤油業を始めた広屋重次郎も紀州広村出身です。じつは広村は、日本の醤油発祥の地のひとつとされる紀州湯浅の近く。そのため、銚子の醤油は紀州湯浅の技術をもとにつくられたと考えられています。

千葉の醤油が日本一になるまで

ではなぜ、千葉が一大醤油生産地となったのでしょうか。理由はまず、巨大消費地・江戸への近さ、利根川や江戸川などの水運に恵まれていたこと、そして、近隣で原料となる小麦や大豆の生産が盛んで調達しやすかったことなどが挙げられます。

関西産醤油 VS 関東産醤油

かつて醤油生産の中心は関西で、江戸時代初頭、江戸で消費される醤油の大半が関西方面からの「下り醤油」だったといいます。野田や銚子などの関東産醤油が本格的に江戸へ供給されるようになったのは宝暦年間(1751~1764年)に入ってから。各地で醤油仲間(今でいう業界団体のようなもの)が結成され、価格統制や品質維持・向上、生産量の調整などを行い、関東産醤油の地位を向上させる努力を続けました。それが功を奏して、1820年代には江戸に流通する醤油のほとんどが関東産醤油となりました。

野田の醤油が躍進した理由

しかし、供給過多により江戸での市場価格が下落すると、醤油仲間の支配力は低下。それまで優位性を保っていた銚子は次第に力を失います。他方で野田は、銚子よりも江戸に近い地の利もあり、幕末になると醤油生産高が飛躍的に伸びていきました。

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・32基もの古墳がつくられた富津の内裏塚古墳群とは?
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・成田空港線の高架橋は成田新幹線の遺構だった
・登山鉄道も計画された小湊を目指した小湊鉄道
・かつて千葉市の中心駅は京成千葉駅だった!?

・・・などなど、千葉を走る鉄道網の秘密に迫る。

また、銚子港が水揚げ量日本一を誇る理由や明治期最先端の土木技術が光る海の要塞・第二海堡とは?、皐月賞や有馬記念の舞台として知られるJRA中山競馬場の誕生秘話・・・など、千葉県にまつわる文化・産業の面白話もたっぷりと紹介します。

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