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無条件降伏に至るまでの経緯②：太平洋戦争での窮地に発表されたポツダム宣言
昭和20（1945）年7月26日、太平洋戦争で窮地に立った日本は、ついに最終局面を迎えます。
アメリカのトルーマン大統領、イギリスのチャーチル首相、ソ連のスータリン書記長が、ドイツのベルリン郊外にあるポツダムで会談。アメリカ、イギリス、中国の連名で、日本の無条件降伏や軍国主義の排除、日本軍の武装解除、連合国による日本の占領、戦争犯罪人の処罰、日本の民主化などを要求する13カ条の対日共同宣言「ポツダム宣言」が発表されました。
無条件降伏で天皇がポツダム宣言受諾を聖断
これに対して日本は、一度は拒否する構えを見せたものの、８月6日に広島、次いで9日に長崎に原爆を投下されます。10日深夜に行われた御前会議は、降伏後の天皇の処遇をめぐり紛糾。和平派と継戦派が拮抗しましたが、天皇みずからポツダム宣言受諾の聖断を下しました。
14日の御前会議で正式決定され、鈴木貫太郎首相が直ちに詔書案を閣議にかけて確定させます。同日午後11時20分頃から、天皇が宮内省2階の政務室で詔書を朗読し、レコード盤に録音されました。
現在の御文庫附属庫周辺地図 吹上御苑内の御文庫附属庫は、陸軍築城部本部が大本営会議室 などの防空施設として建設され、昭和16（1941）年9月に宮内省に 引き継がれた。同年5月には、宮内省も、同御所内に天皇、皇后の 防空施設となる御文庫造営に着工。翌年7月に完成する。昭和20 （1945）年には、両施設を結ぶ地下通路も設置された。
玉音放送前夜に起こった宮城事件
玉音放送前夜、玉音盤をめぐってクーデター未遂事件が発生しました。戦争継続、本土決戦を主張する陸軍省の将校や近衛師団の参謀たちが関与し、宮城事件と呼ばれています。
決起した青年将校らは、近衛師団司令部に押しかけて師団長の森赳陸軍中将を殺害。偽の師団長命令を発令します。この命令で動いた近衛歩兵第二連隊によって皇居は一時占拠され、青年将校らが玉音盤を処分しようとして皇居内を探し回りますが、発見できませんでした。
陸軍省首脳と本土決戦に備えて温存されていた東部軍の賛同を得ることもできず、畑中健二陸軍少佐をはじめとする首謀者の3人の青年将校は、全員自決。クーデターは鎮圧されました。
無条件降伏を玉音放送で知った国民
翌15日正午、玉音放送が開始。一般国民は、それまで神とされてきた天皇の肉声を初めて耳にします。
「朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ」から始まる約5分間の放送は、天皇の声が聞き取りにくく、言葉は難解でしたが、敗戦を知って各所で泣き崩れたり、手を合わせたりする姿が見られました。しかし、多くの国民は、敗戦を平静に受け入れました。
玉音放送の効果に驚嘆したアメリカ
一方、アメリカは、“天皇の声”の絶大な効果に驚嘆しました。昭和21（1946）年、GHQ民間情報教育局は「日本の占領が一滴の血も流れずに行われたのは、日本国民が初めて天皇の肉声を聞いたという事実に負うところが大きい」という報告書を作成しています。
玉音放送とともに日本史に刻まれた写真
同年9月27日、天皇は米国大使館のマッカーサーを訪問。約35分間の初会談が行われました。このとき撮影されたモーニングを着て直立する天皇とその隣で腰に手を当てたマッカーサーの写真が新聞に掲載され、日本国民に衝撃を与えます。
当時の人々の本当の心の内は推し量ることしかできませんが、玉音放送とこの写真が日本史に刻まれる一大事であったことは間違いないでしょう。
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