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明治新政府による神奈川県の前身・横浜裁判所の設置

明治維新(1868年)後、明治新政府は全国各地の幕府直轄領に裁判所を設置していきました。名称こそ「裁判所」ですが、当時は県庁機能も有していたので、実質的には現代の地方自治体に等しいものです。

神奈川県域の場合、横浜開港(1859年)に合わせて神奈川奉行所が設置されており、同奉行所が廃止され、横浜裁判所が設置されたのです。この横浜裁判所が神奈川裁判所、神奈川府、神奈川県と改称されていきます。

最初に「横浜」裁判所と名づけられていたので、もしも名称変更がなかったら「横浜県」が誕生していた可能性も否定できません。

現在、神奈川県は3月19日を立庁記念日(神奈川県の始まりの日)としていますが、それは横浜裁判所が設置された日にちなんでいます。ただし、神奈川県は全国で唯一「都道府県の日」を設けていないため、立庁記念日といっても県民の休日にはなっていません。

小田原県、荻野山中藩、六浦藩(旧金沢藩)、神奈川県4つの行政区分が存在していた

なお、明治初頭の地方行政制度は府藩県三治制(ふはんけんさんちせい)といって、まだ大名による藩支配も残っていました。このため明治初頭における現在の神奈川県域には、小田原県、荻野山中藩、六浦藩(旧金沢藩)、神奈川県と4つの行政区分が存在していたことになります。

六浦藩の神奈川県編入と荻野山中藩・小田原県の足柄県への改名

1871(明治41 )年、明治新政府は藩を廃止する行政改革(廃藩置県)を行い、9月、六浦県は神奈川県に編入されました。同年、東京府との境に位置する南多摩、北多摩、西多摩の3郡(三多摩)が神奈川県に移管されています。

また同じ9月、荻野山中藩と伊豆半島に成立していた韮山県を小田原県に統合したのち、11月に県名を足柄県へと変更。この再編によって、県域にあった行政区分は、神奈川県と足柄県の2県に集約されました。

足柄県の神奈川県への編入と神奈川県域の確定

そして1876(明治9)年、足柄県は神奈川県に編入されます。このとき神奈川県に組み入れられたのは、足柄県のなかでも旧相模国に属していた地域であり、伊豆半島(旧伊豆国)エリアは静岡県に編入されました。また、このとき同時に、足柄県は廃止されています。

やがて1893(明治26)年、前出の多摩3郡が東京府に移管されたことで、現在まで続く神奈川県域が確定したのです。

廃藩置県から神奈川県域の確定まで

1871年の廃藩置県直後、神奈川県域には小田原・荻野山中・六浦・神奈川の4つの行政区分がありました。

その後、韮山県が誕生したいっぽうで、11月には4行政区が神奈川と足柄の2県に集約。

さらに、府県統合で足柄の旧相模国地域が神奈川県に編入、多摩3郡が東京へ移管されるなどして現在の神奈川県域が誕生しました。

廃藩置県から神奈川県域の確定まで
廃藩置県から神奈川県域の確定まで
「図説かながわのまち解体新書」( 1999年、神奈川県都 市政策課)を元に作成

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