愛知県と航空産業のかかわりは古く、大正時代末期、小幡ヶ原（おばたがはら）（名古屋市守山区）に民間の名古屋飛行学校が開校し、パイロットや機関士を養成したことに始まります。

航空産業が盛んになったのは、満州事変（1931年）後の重工業ブームによって、大同特殊鋼（本社・名古屋市）が陸海軍の共同管理工場に指定され、航空機用特殊鋼やバネ用鋼材を増産するようになってからです。

太平洋戦争が始まるとさらに軍需品の生産が増え、三菱重工業名古屋航空機製作所は軍の全面的な支援を受け、日本海軍初の国産艦上戦闘機「一〇式艦上戦闘機」や「零式艦上戦闘機（零戦）」などを生産しました。しかし、太平洋戦争末期には、これらの軍需工場や施設がアメリカ軍の爆撃を受け、名古屋市内はほぼ壊滅状態になります。

そして終戦後、敗戦国である日本では、航空機の研究開発や生産が禁止され、航空機会社も解体されることになりました。

1952（昭和27）年、ようやく航空機の生産が再開され、日本航空機製造が設計・開発、生産管理、品質管理、販売などを担当、各航空機メーカーが機体を分担、最終組立を三菱重工大江工場で行ったのが、戦後初の国産旅客機「YS-11」です。

同機は、1962（昭和37）年７月に試作１号機の飛行が公開された後、国内旅客機としては2006（平成18）年９月まで運航されました。

2011（平成23）年には、愛知県と岐阜県を中心とした中部地域が「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」として国に指定され、研究開発、設計、製造、保守管理等を含むアジア最大の航空宇宙産業集積地を目指しています。

そうしたなか、開発中の日本初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」は、2021（令和3）年度以降に就航に必要な「型式証明」を取得し、初号機を納入する予定です。

また、次期基幹ロケットとしてJAXAと三菱重工業が開発する「H3ロケット」は、人工衛星などの打ち上げコストを半減し国際競争力を高めるもので、2020年度中に初飛行が予定されています。

中部国際空港（セントレア）は、2005（平成17）年、愛知万博の開催に合わせ、中部エリアの空の玄関口として伊勢湾海上の人工島につくられた国際空港です。

セントレア以前は、名古屋の空港といえば小牧空港でしたが、空港の拡張が難しかったり騒音問題で利用時間に制約があったりしたため、新空港が建設されることになりました。

これまでの年間旅客数は開港直後の2005年度（ 1235 万1727人）が最高ですが、近年は中国や東南アジアなどからのインバウンド需要が増え、LCC格安航空会社）が増便されるなど事態は好転。2018年度の旅客者数は、過去最高の1235万6882人を記録しています。

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。愛知県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載！

●収録エリア
愛知県全域