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深海生物の化石が続々と発見される!

それが1980年代、国が進める大規模な農地開発によって、各所で新しい崖(露頭)が出現すると事態は急変。師崎層群からは有孔虫や貝類、甲殻類、ウニなどの棘皮動物(きょくひどうぶつ)、魚類、哺乳類と多種多様な化石が見つかるようになったのです。

とくに、南知多町大泊内の造成地からは、豊浜層をなす凝灰質泥岩層から深海のヒトデの仲間であるブリシンガヒトデやウニの仲間のナマハゲフクロウニなどが発見されました。

また、同町岩屋にある山海層の露頭(凝灰質砂岩・泥岩層)からは、魚類化石が多産するほか、ウミユリの仲間や甲殻類、貝類などさまざまな深海生物化石が採取されました。

深海生物の化石の世界的産地となった知多半島南部

このように、師崎層群のうちおもに山海層など約1700万~1600万年前の地層からは、世界的にめずらしい漸深海帯(ぜんしんかいたい)(水深200~3000m)に生息していた深海生物化石が数多く見つかり、知多半島南部は一躍、深海生物化石の世界的産地となりました。

また、師崎層群の化石は、種類の多さだけでなく、産出状態の良さでも世界から注目を集めています。化石となって残りやすい硬い殻に覆われた生物だけでなく、やわらかい組織をもった魚類も、およそ完璧な状態で採取されるためです。たとえば、ハダカイワシの仲間などは、腹部に発光器の列をとどめた状態で、美しく化石化しています。

深海生物の化石が完璧な状態で採取される理由

このような化石が産するのは、地震や海底地すべりなどで発生した土石流に、深海生物が一瞬にしてのみ込まれたためと考えられています。

実際、瞬時に無酸素状態になったであろう証拠として、化石で産する魚類の多くが直線状に腹部を見せ、各ヒレを広げ、口を大きく開けている点が指摘されています。酸欠状態で痙攣(けいれん)をともなう死後硬直を起こした、という見方です。

2016(平成28)年、日本地質学会はこれら化石を「師崎層群の中期中新世海生化石群」として、「愛知県の石(化石)」に選定しました。

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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く愛知の大地

・山地の三河と低地の尾張、愛知県が東高西低なわけ
・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム

・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。

【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網

・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道

…などなど、意外と知られていない愛知の鉄道トリビアを厳選してご紹介。

【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!

・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?

・・・などなど、興味深いネタに尽きない愛知の歴史。知れば知るほど愛知の歴史も面白い。

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