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猪苗代湖の歴史:もともと盆地だった

会津盆地東側の猪苗代盆地もまた、2つの断層に挟まれてできた構造盆地です。猪苗代盆地の東縁には川桁(かわげた)断層が走り、南北方向に崖が続きます。西縁には地殻変動にともなう会津盆地東縁断層と東山断層が走り、大地が隆起してできた背あぶり高原があります。

猪苗代盆地は、ほとんどが猪苗代湖に占められています。猪苗代湖の面積は、国内4位の104.8㎢。この広大な湖は、じつは盆地ができた第四紀中頃(約130万年前)には存在していませんでした。当初、盆地の西部(現・日橋川(にっぱしがわ)流域)はあまり隆起していなかったため、周囲の山から猪苗代盆地に流れ込む水は貯まることなく、会津盆地のほうへと流れていたのです。

猪苗代湖の歴史:地殻変動でできた湖

猪苗代湖の成因となったのは、第四紀後期に起きた周囲の火山の噴火でした。南から流れてきた火砕流が西側山地を高くするとともに、低地帯にもその一部が堆積。さらに磐梯山などの火山噴出物も堆積し、当時の猪苗代盆地を完全にふさいだのです。

こうして閉鎖地形になった盆地に、水が蓄えられて猪苗代湖が誕生しました。谷をふさいだ翁島(おきなじま)泥流丘陵は、磐越自動車道から観察できます。湖上に浮かぶ翁島も火砕流が堆積してできたものです。

猪苗代湖の歴史:水位は気候や地殻変動によって変化した?

初期の猪苗代湖は今よりも水位が高く、標高530m付近まで水没していたといわれます。猪苗代湖周辺には3段の湖岸段丘があり、気候変動や地殻変動による水位の変化があったと考えられます。

猪苗代湖

住所
福島県耶麻郡猪苗代町猪苗代湖
交通
JR磐越西線猪苗代駅から磐梯東都バス長浜・金の橋行きで10分、長浜下車すぐ
料金
情報なし

猪苗代湖誕生の歴史よりもはるかに前は会津地方は海の底だった!?

また、猪苗代湖西岸の砂質泥岩の崖からはウニの化石が見つかっています。化石は、東尾岐(ひがしおまた)層と呼ばれる前期~中期中新世(約1600万年前)の地層で見つかりました。猪苗代湖どころか、猪苗代盆地ができるよりもはるかに前の時代の地層です。

ほかにも、会津地方では貝やクジラ、カイギュウの仲間などの海棲生物の化石が見つかっています。かつて会津が海の底にあった時代の化石です。

それは日本列島が誕生した頃、ユーラシア大陸の東縁が裂けて移動し、日本列島の基礎となりました。会津盆地だけでなく、盆地西側の山地や南会津の只見地域も海の底でした。一部の高地は島として海上に露出していましたが、磐梯山も奥羽山脈もまだまったく存在しなかったのです。

そこへ、海底火山活動によって大量の火山灰が積もりました。このときの火山灰に埋もれた当時のウニなどの遺骸が、化石となって産出するのです。

会津の地形は海底火山活動を経て現在の姿に

やがて、土砂の堆積と大地の隆起によって会津地方も陸地に変わり、現在の姿へ変わっていきました。その壮大な歩みは、しっかりと大地に刻まれています。

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Part.1:地図で読み解く福島の大地

・阿武隈山地や奥羽山脈が境目!浜通り・中通り・会津の3地域
・いわきで発掘された首長竜化石フタバスズキリュウとは?
・福島市がぽっかり入る福島盆地はどうやってできた?
・福島発展の礎を築いた常磐炭田
・磐梯山の大噴火と裏磐梯・五色沼湖群の形成
・猪苗代湖畔からウニ化石!?劇的な会津の地形の成り立ち
・石川町が日本三大産地のひとつ ペグマタイトとはどんな岩石?
・大改修から100年が経過 暴れ川・阿武隈川の今と昔

などなど福島のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2:福島を駆け抜ける鉄道網

・東北本線旧線の黒磯~白河間には明治時代の面影が残されている!?
・日本最大のC62形SL牽引「ゆうづる」が走った常磐線
・かつては東京と新潟を結ぶ架け橋、会津地方の大幹線・磐越西線
・東京・浅草から特急が直通しトロッコ列車も走る会津鉄道
・かつて硫黄輸送で活躍した猪苗代町の沼尻鉄道とは?
・只見川に架かる数々の鉄橋ほか 魅力いっぱい絶景鉄道・只見線

などなど福島ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3:福島で動いた歴史の瞬間

・人間の歯や骨をペンダントに!?原始福島の不思議な弔い
・東北地方最古の前方後円墳!会津大塚山古墳が示す会津の力
・浜通りに古代製鉄遺跡を発見! なぜ大規模な製鉄が行われた?
・中世史総論(関東武士が進出し国盗り合戦!白河・伊達・蘆名・岩城氏の攻防)
・南北朝時代に南朝が拠点とした幻の寺院城郭・霊山寺とは?
・伊達氏のルーツは福島にあり!奥州制覇を果たす道のり
・相馬地方を約700年統治した古豪・相馬氏とはどんな一族?
・奥州きっての城下町・若松はどのようにして生まれた?
・会津若松城で籠城戦を続けた会津藩が開城に至るまで

などなど、激動の福島の歴史に興味を惹きつける。

Part.4:福島で育まれた産業や文化

・最澄と大論戦した僧・徳一が開祖!慧日寺から始まった会津の仏教文化
・猪苗代湖の水を郡山へ! 幹線延長52㎞の安積疏水事業
・県境には二ツ小屋隧道が残る 福島と米沢を結んだ万世大路
・東北唯一の中央競馬場が福島市につくられたわけ
・幕府直営の半田銀山 明治時代は五代友厚が経営
・感染症と闘い続けた細菌学者・野口英世の生涯
・日本酒の金賞受賞数日本一!福島の地酒はなぜすごい?

などなど福島の発展の歩みをたどる。

ほか、巻頭「空撮グラビア」、テーマ別地図、コラム「データでわかる全59市町村」(人口、所得、農業・漁業)、吉田初三郎が描いた福島県の鳥瞰図 など

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