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天井川が阪神地区に多いのはなぜ?

答えは、六甲山を背負う特殊な地形を読み解くことでみえてきます。六甲山南麓を流れるほとんどの河川に共通しているのは、六甲山から一気に下る急流であることです。

たとえば芦屋川の源流は、六甲山地の標高約800mの場所にあります。河口までの距離は約8km、そのうち市街地を流れる距離は約2kmとなっており、上流は傾斜が急で険しい。

そのため大雨のたびに川の水は大量の土砂を運びながら一気に河口まで流れ落ちていきます。その土砂は古墳時代に、現在の阪神間の平野部に扇状地を形成し、そこに集落が生まれたと考えられています。

ところが、これらの川は洪水ももたらしました。降雨時の集落への浸水を防ぐため、川に沿って堤防が築かれたことで、上流から運ばれた土砂の堆積範囲が集中したのです。こうして川底が地面より高い天井川が生まれたのです。天井川が登場するのは、国内に土木技術が広まった江戸時代以降です。

天井川流域は堤防と住宅地との高低差が大きい!

これらの流域では、大雨で川底が上がるたびに堤防も高くしていったため、堤防と住宅地との高低差はどんどん広がっていきました。住吉川の山手幹線の東側では、堤防と住宅地との高低差は約15mもあります。

天井川ならではの川底の下を通るトンネル

JR神戸線の途中には、川底の下にトンネルを築いて線路を通した箇所があります。「芦屋川トンネル」「住吉川トンネル」です。

じつは日本初の鉄道トンネルは、石屋川の下を掘った「石屋川トンネル」でした。当時の汽車は馬力が乏とぼしく、各川の上まで昇ることができなかったことから、苦肉の策として、1874年に天井川の石屋川、住吉川、芦屋川の下にトンネルを敷設したのです。

石屋川の下に敷かれた「石屋川トンネル」は、国鉄による高架線化工事のため、1976年に埋め立てられてしまいますが、芦屋川トンネルと住吉川トンネルは今も現役です。両トンネルは、線路の上を流れる川の水がトンネル内に流れ込まないようになっているため、浸水の心配がないとされます。

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