フリーワード検索

ジャンルから探す

トップ > カルチャー >  関東 > 群馬県 >

「海なし県」群馬にかつて海があった証拠となる貝塚

そんな「海なし県」の群馬ですが、実は大昔には海があったといわれています。その証拠のひとつが板倉町にある貝塚群です。

現在から1万~6000年ほど前に「縄文海進(じょうもんかいしん)」と呼ばれる海面上昇が起こり、その影響で海岸線は、内陸部まで入り込んでいました。群馬県内でも、館林を中心に東西に延びている邑楽台地(おうらだいち)では、南は谷田川(やたがわ:古くは利根川)、北は渡良瀬川方面から浸食を受けた特徴的な地形が見られます。そして藤岡台地の南や邑楽台地の板倉町のエリアに点在しているのが、重要な手がかりとなる「貝塚」です。

貝塚は海が近くにあったことを示す証拠!

貝塚は、かつてその土地に暮らしていた人々が生活に伴う廃棄物、いわゆるゴミを捨てた場所で、貝殻などからどのようなものを食べていたのか推測することができます。海の生物である貝殻が捨てられているということは、海が近くにあったことを示す重要な証拠となります。

「海なし県」群馬で発見された貝塚群

群馬県の南東部に位置する板倉町は、東京湾に注ぐ河川の河口であったとされ、12か所の貝塚が確認されています。そのうちのひとつ、「離山貝塚(はなれやまかいづか)」周辺は公園として整備されており、フナ釣りのスポットとして人気ですが、海でしか採れない牡蠣の貝殻が発見されており、地形がどれほど激しく変化してきたかを物語っています。

縄文海進時の海岸線

縄文海進時の海岸線

氷河期を終え、日本列島は現在よりもさらに温暖で海面が2~3m高かったと考えられています。そのため東京湾は関東平野の奥まで広がっており、群馬県では潮干狩りにぴったりな遠浅の海が広がっていたとされます。

「海なし県」群馬に大昔には海があったもうひとつの証拠・漣岩とは

もうひとつ、かつて海だったことを示唆する重要な証拠が神流町(かんなまち)に残っています。神流町は、2003年に万場町と中里村が合併して発足しました。

昭和28(1953)年の道路工事の最中に発見された「漣岩(さざなみいわ)」と呼ばれる崖は、1億3000万年前の白亜紀の時代、ごく浅い海で堆積した砂にできたさざなみ模様が、化石として残されたもの。その後の日本列島形成時(始新世~中新世)、地殻変動により垂直の崖となりました。

漣岩から発見された「恐竜の足跡」と恐竜センターの設立

漣岩からは、昭和60(1985)年、日本で最初の「恐竜の足跡」が発見され、大きな話題となりました。この恐竜の足跡発見後、旧中里村では、恐竜センターが設立され、2019年にはリニューアルを果たし、さまざまな化石や恐竜に関する資料を見学することができるスポットとして親しまれています。

展示物には、昭和56(1981)年、同じ旧中里村で発見されたオルニトミモサウルス類の恐竜の背骨の化石や、山中地溝帯(さんちゅうちこうたい)と呼ばれる長野県から埼玉県に連なる白亜紀の地層が露出する地域に関する展示などがあり、アンモナイトの化石などとともに、「海なし県」である群馬県にも太古には海が広がっていたことを教えてくれます。

ほかにも恐竜ロボによるライブシアターや同館手製の精巧な恐竜フィギュアは子どもから大人まで幅広い年代から人気を集めています。

神流町恐竜センター

住所
群馬県多野郡神流町神ヶ原51-2
交通
JR高崎線新町駅から日本中央バス上野村ふれあい館行きで1時間40分、恐竜センター下車すぐ
料金
入場料=大人600円、小・中学生300円、企画展は別料金/化石発掘体験(1時間、要予約)=500円/化石レプリカ作製体験(先着順)=300円/(20名以上の団体は大人550円、小・中学生250円、障がい者手帳持参で入場料半額)

「海なし県」群馬に残る竜宮城伝説!

伊勢崎市宮子町の広瀬川にほど近い卯の木と呼ばれる場所には「龍神宮」と呼ばれる小さなお社があり、近くには「竜宮橋」という橋まで架かっています。そしてこの辺りに残る伝説には、竜宮城にまつわる話があるといいます。

1つはこの辺りに住む公家がこの地に遊びに来た際、どこからか現れた美女が「この岩窟は竜神の宮居なので、失礼なことがあってはならない」と告げ、姿を消したという伝説。

もう1つは、阿感坊(あかんぼう)という村民が竜宮城に行き、3日過ごして帰ってみると、3年もの月日が経っていたという『浦島太郎』のような話が残っており、なんとも興味深いものがあります。

『群馬のトリセツ』好評発売中!

群馬県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。群馬県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

Part.1 地図で読み解く群馬の大地

・日本でたった8県しかない「海なし県」 大昔は群馬にも海があった!?
・徳川家康も重要視した日本一の川 暮らしを支える利根川とダム
・地質学的に貴重な資源と、独自の営みが残る 下仁田ジオパークってどんなところ? ほか

Part.2 群馬を駆ける充実の交通網

・こんなところにも鉄道が走っていた! 遺構が残っている群馬の廃線
・昭和に活躍した歴史ある蒸気機関車! 貴重なSLに今も乗れる理由は?
・群馬から東京ディズニーリゾートまで行ける! 日本一のサイクリングロード ほか

Part.3 群馬にまつわる歴史の話

・現・みどり市で見つかった歴史的大発見! 岩宿遺跡はどうして有名なの?
・溶岩の絶景の裏には、歴史的犠牲があった 天明の大飢饉は浅間山が一因!?
・世界遺産は富岡製糸場だけじゃない! 絹産業遺産群とはどんなところ? ほか

Part.4 群馬で育まれた文化や産業

・焼きまんじゅうやうどんは火山が育んだ!? 群馬で生まれた粉ものグルメ
・群馬県民に愛されるマスコットキャラクター ぐんまちゃんは実は2代目!
・「西に西陣、東に桐生」といわれる機どころ 桐生の織物の文化と歴史 ほか

・データで分かる全35市町村 人口の増減、観光、農業・工業
・吉田初三郎が描いた群馬の鳥瞰図
・上毛かるたにも登場する 群馬が誇る、ゆかりのある偉人
・まだまだある、群馬が誇る日本一! 群馬で見つけた日本で一番〇〇なもの

『群馬のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  関東 > 群馬県 >

この記事に関連するタグ