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ロックハート城が群馬に移築されたわけ

今から30年以上前のこと。俳優の故・津川雅彦が、自身がコレクションしていたサンタクロースグッズの美術館を城で開きたいと思案。それは、歴史と本物にこだわり、ヨーロッパの城を移設するという壮大な計画です。

そして1987年、ヨーロッパ各地の城を検討した結果、条件が合ったロックハート城を私費で購入。当初は北海道でサンタクロースをテーマにしたレジャー施設として建てる予定でしたが、交渉が行き詰まり計画は急遽白紙になってしまいます。

ところが時を同じくして、ヨーロッパの城の移築を考えていた群馬の石材業者がその話を聞いて、津川雅彦の夢のバトンを引き継ぎました。その結果、城の移築先は高山村に決まり、古城は無事日本で日の目を見ることになります。

ロックハート城はどうやって日本に運ばれたのか

しかし、城を運ぶのは並大抵なことではありませんでした。1988年、建物はスコットランドで、およそ7か月かけて解体。重量約600t、個数にして約4000個の石となったロックハート城は、30個のコンテナに分けて詰め込まれました。

このうち130.5tの石が入った8 個のコンテナはソ連(現・ロシア)のゴルバチョフ大統領(当時は書記長)の許可を得て、シベリア鉄道を経由して日本に持ち込まれるという大掛かりなものでした。残りのコンテナは貨物船で直接北海道へ運ばれました。

ロックハート城移築の大まかなルート

ロックハート城移築の大まかなルート

解体された城は、30個のコンテナに詰め込まれてスコットランドを出発。そのうち8個のコンテナはシベリア鉄道を経由して日本まで輸送され、残りは貨物船で直接北海道へ。苫小牧港を経て十勝港で初陸揚げされました。その後苫小牧港から横浜港まで船で運び、陸路で高山村まで運ばれました。

ロックハート城がついに高山村でよみがえる

北海道に到着後は、国内の航路や陸路を経て、ようやく群馬に届きます。

そして石が日本に到着してからおよそ4年後、数々の困難を乗り越えながら、延べ1万5000人の建設スタッフや関係者の努力により、ついに1993年4月6日(しろの日)、高山村に城がよみがえったのです。

完成したロックハート城は、スコットランドに実際にあった城の約1/3程度ですが、塔の先までの高さは約20m、幅31.3m、奥行22.3mという立派な姿で復元されました。

ロックハート城の現在

では、新たなロックハート城とは、どんな城になったのでしょう。

現在は城のたたずまいを生かし、中世ヨーロッパの町並みを再現した体験型の屋内テーマパークとして生まれ変わりました。

城内には津川雅彦が生前に世界中から集めた、サンタクロース1200体以上を展示する「世界のサンタミュージアム」をはじめ、ジュエリーやテディベア、石、香水など、多彩なテーマのミュージアムやギャラリーが集結しています。

さらに、謎解きをしながら城内をめぐるプログラムなど、さまざまな企画が用意されているので、飽きずに楽しむことができます。

ロックハート城でプリンセス気分を満喫

来館記念にぜひ体験したいのが、ドレスを着て撮影ができる「プリンセスドレス体験」。お城で本格的にプリンセス気分が味わえると大好評です。

英国貴族気分で遥か昔のお城の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

ロックハート城

住所
群馬県吾妻郡高山村中山5583-1
交通
JR上越線沼田駅から関越交通中山本宿行きバスで20分、ロックハート城前下車すぐ
料金
入場料=大人1100円、子供(4歳~小学生)600円/ドレスのレンタル(1時間)=2500円~/(障がい者手帳持参で大人600円、子供300円)

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