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舞鶴が軍港に選ばれた地形的な理由

舞鶴が佐世保港(長崎県)や呉港(広島県)、横須賀港(神奈川県)と並ぶ軍港に選ばれた秘密を解く鍵は、舞鶴湾の地形にあります。舞鶴湾はもともと狭い入り江が複雑に入り組んだリアス海岸で、ロシアの大きな戦艦が入ってきづらい「天然の要害」だったのです。

また、湾内の干満差が極めて小さく、四方を400m級の山で囲まれていることから、強風・荒天を避けることができました。つまり、船舶の建造や停泊にも最適な地形だったのです。

しかも湾内に侵入する敵の艦船に対して、左右の山に配置した砲台から狙い撃ちすることができました。太平洋戦争時には、敵戦闘機を撃墜するための防空砲台が五老岳山頂(標高300m)に設けられています。

舞鶴の軍港・舞鶴港は戦後に引揚港となった

そんな舞鶴港は太平洋戦争が終わると浦賀(うらが)や佐世保、博多などとともに引揚港に指定され、おもに旧満州や朝鮮半島、旧ソ連からの引揚者を受け入れました。1950年以降は国内で唯一の引揚港となり、1958年までの13年間に66万人以上が舞鶴港から入ったといいます。

こうした歴史を残すため、舞鶴市は1988年、舞鶴港のそばに「舞鶴引揚記念館」を設け、当時の資料も保存・展示しています。1994年には引揚桟橋が復元されました。

舞鶴に残る軍港名残の旧軍事施設の跡

舞鶴市内には、現在も砲台や弾薬庫、軍用トンネルなど多くの旧軍事施設の跡が残っています。舞鶴海軍工廠は戦後、民間企業が設備を引き継いで造船業を継続。現在はジャパンマリンユナイテッドが運営する日本海側最大の造船所となっています。

また、赤レンガ造りの海軍倉庫は博物館や展示スペース、レストランに使われるなど、旧軍事施設をうまく活用しています。

舞鶴に残る軍港名残の旧軍事施設の跡
国土地理院標準地図(Vector)を元に作成

舞鶴湾は若狭湾の奥にあり、入り組んだ地形となっています。

希少動物が生息する島々

舞鶴港から船で約1時間の沖合に位置する冠島(かんむりじま)と、冠島の北東2.5㎞の場所にある沓島(くつじま)は、「京都府の鳥」である海鳥オオミズナギドリの集団営巣地としても知られる無人島です。

オオミズナギドリは、国際自然保護連合が作成したレッドリスト(絶滅のおそれのある野生動物のリスト)で準絶滅危惧種に指定されています。2島は国の鳥獣保護区に指定され、原則は上陸禁止となっています。冠島は島自体が天然記念物です。

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Part.1 地図で読み解く京都の大地

・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)

…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 京都を駆ける充実の交通網

・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道

…などなど京都ならではの交通事情を網羅。

Part.3 京都の歴史を深読み!

・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた

…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 京都で育まれた産業や文化

・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮

…などなど京都の発展の歩みをたどる。

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