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秦氏が行った河川大改修と水田開発

技術者集団である秦氏は、京都を代表する河川のひとつ、桂川の大改修も行ったといわれます。右京区や西京区を流れて淀川に注ぐ桂川はかつて葛野川(かどのがわ)と呼ばれ、たびたび洪水を起こしました。秦氏は河川の流水を制御すべく、桂川に堰を設ける大工事を敢行。その場所は嵐山の渡月橋付近と推定されています。

工事には何十年という年月を要したと考えられ、そうして完成した堰は桂川の旧称から「葛野大堰」と名づけられました。

さらに秦氏は桂川の両岸を広く灌漑(かんがい)し、水田開発を推進します。これにより湿地帯であった川の流域一帯は、緑豊かな農地に生まれ変わることとなったのです。

秦氏が造った葛野大堰

秦氏の系譜を記した秦氏本系帳には「葛野大堰を造ったことは、天下において誰に比肩する者がいるであろうか」との一文が見え、いかに工事が大規模なものであったかがうかがえます。

現在、葛野大堰の遺構そのものは見つかっていませんが、桂川西岸の松室遺跡(まつむろいせき)では大がかりな人工水路の跡が発見されており、堰との関連が指摘されています。

秦氏は政権へも進出を果たした

治水の成功によって秦氏の勢力は拡大し、やがて中央政権に進出する人物も現れます。その代表的存在が秦河勝(はたのかわかつ)で、厩戸王(うまやとおう:聖徳太子)の有力なブレーンだったとされます。

603年、秦河勝は太子から仏像を譲り受け、これを祀るために蜂岡寺(かちおかでら)(のちの広隆寺)を建立。このとき秦河勝が安置した仏像こそが、1951年に国宝第1号に指定された弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしいぞう)ではないかといわれています。

秦氏に関連した文化財が京都には多い

京都市には今も秦氏に関連する遺跡や建築物がたくさん残っています。たとえば嵐山の観光名所である松尾大社は秦氏の氏神で、約3万社ある稲荷社の総本宮の伏見稲荷大社も秦氏が創建に関わりました。

このことからも、秦氏がどれほど京都で大きな存在であったかがわかるでしょう。

秦氏に関連した文化財が京都には多い

伏見稲荷大社

増減する伏見稲荷の鳥居とその値段

千本鳥居」で有名な伏見稲荷ですが、千本ではなく約800基(鳥居の数は「基」で数える)とされています。さらに、千本鳥居の前までと千本鳥居を抜けた奥社奉拝所から頂上までの鳥居の数は、合計で3000基を超えます。実際にはこのほかの場所にも鳥居があり、さらに改修で減ったり、新たに奉納されて増えたりして常に変化しています。

なお、鳥居を奉納する際の料金(初穂料)は、サイズと場所によって異なり、もっとも小さい5号の初穂料が21万円、もっとも大きい10号の鳥居は160万円~となっています。

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・京都府の4地形区と断層/京都盆地とその出入り口(逢坂と大山崎)
・琵琶湖疏水の秘密/洛中と洛外を隔てるおどい
・観光のメッカ東山の地形(地獄の入り口六道珍皇寺)
・失われた巨椋池/天橋立はなぜあのような地形になったのか
・舞鶴が重要港湾となった地形的な秘密
・霧のまち亀岡(亀岡盆地)

…などなど京都のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 京都を駆ける充実の交通網

・山城盆地を通る街道(東海道、中山道の終着地)
・若狭と京都を結ぶ「鯖街道」
・日本初の一般営業用電車が通った京都市電
・京都鉄道博物館
・梅小路
・京都の私鉄〇〇な阪急
・大赤字から復活した京都丹後鉄道

…などなど京都ならではの交通事情を網羅。

Part.3 京都の歴史を深読み!

・丹後に一大勢力が存在した証拠 三大古墳に埋葬された人々
・古代日本を支えた渡来人と京都の関係
・なぜ京都は都になったのか 恭仁京~平安京までの変
・南北朝動乱の始まり 笠置山の戦い
・信長、光秀、秀吉…みんな京都で死んだ
・幕末の騒乱の舞台となった京都
・近代化にいち早く着手!日本初の博覧会は京都の寺で開かれた

…などなど、激動の京都の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 京都で育まれた産業や文化

・シンボル京都タワーと近代建築
・学問の都・京都の大学
・京料理とそれを支える伝統野菜
・「丹波」ブランドをめぐる攻防
・日本映画と京都
・「女酒」伏見の酒蔵
・王城の裏鬼門「男山」と岩清水八幡宮

…などなど京都の発展の歩みをたどる。

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