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【益子焼の歴史②】藩の特産物から日用品へ

益子焼が商品として市場に出たのは江戸末期。黒羽藩管理のもと、藩の特産物として、土鍋や土釜、徳利、皿といった日用品が鬼怒川の舟運で江戸に運ばれ販売されました。明治になっても東京の人々の台所用品として、益子焼は重宝されました。しかし時代が大正になり、燃料が木炭からガスへと変わると、益子焼はアルミなどの金属の道具にその座を明け渡していくことになります。

【益子焼の歴史③】日用品から芸術品へ

益子焼を日用品から芸術品へ昇華させたのが、民藝運動の中心人物で人間国宝の陶芸家・濱田庄司(はまだしょうじ)です。

濱田庄司とは?

1894(明治27)年、神奈川県に生まれた濱田庄司は、東京高等工業学校(現・東京工業大学)窯業科を卒業後に渡英、当地の工芸家や芸術家たちが田舎町で創作活動を行うのを見て、「静かで健康的な生活が良い作品を生む」と考えるようになります。

帰国後、濱田庄司は理想を実現する地として益子を選び、1930(昭和5)年に定住した。益子の土と釉薬(ゆうやく)を使い、世界各地の作陶の技法を取り込みつつ、自由闊達で多彩な表現に満ちた彼の作品は注目され、濱田庄司は益子焼を象徴する存在となっていきます。

【益子焼の歴史④】個性的な陶芸を目指す若者が益子町に集まるように

濱田庄司の自由な陶芸は独創的な門下生を輩出し、それに惹かれ個性的な陶芸をめざす若者がどんどん益子に集まってきた。現在の益子町は、枠にとらわれない自由な発想の作家たちがそれぞれに窯を築き、切磋琢磨する陶芸の町となっています。

益子中心部と陶器市

益子町は茨城県と接する県境に位置し、陶器の町として海外でも知られています。今でも里山の風情を色濃く残し、毎年春と秋に町を挙げての陶器市が開催され、城内坂や道祖土(さやど)地区を中心に多くの観光客で賑わいます。

益子春の陶器市

住所
栃木県芳賀郡益子町町内各所
交通
真岡鐵道益子駅から徒歩20分(陶芸メッセ益子)
料金
店舗により異なる

濱田庄司の登り窯が移築復元された

益子町の「陶芸メッセ・益子」では、濱田庄司が生前に愛用した登り窯を移築復元しています。登り窯は斜面地形があり、原料の粘土・水・燃料が豊富な場所に造られてきました。

陶芸メッセ・益子/益子陶芸美術館

住所
栃木県芳賀郡益子町益子3021
交通
真岡鐵道益子駅から徒歩20分
料金
大人600円、小・中学生300円(20名以上の団体は大人550円、小・中学生250円、65歳以上300円、障がい者手帳持参で本人と同伴者1名無料)

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Part.1 地図で読み解く栃木の大地

・雷が多い理由は地形にあり!
・奥日光は男体山がつくった?
・日本最大の渡良瀬遊水地ができた理由
・川を横切る川!? 不毛の扇状地を潤す那須疏水
・奈良の大仏に那須の金!? 栃木は地下資源の宝庫だった!
・F.L.ライトが山ごと買った大谷石の魅力
・葉脈から動物の体毛までくっきり! 古塩原湖に眠る太古の記憶
・栃木にゾウやサイがいた! 化石と野州石灰の産地・葛生

Part.2 栃木を走る充実の交通網

・県南を通る予定だった!? 東北本線の紆余曲折
・日本のマンチェスターを目指せ! 織物の街をつなぐ両毛線
・栃木随一の観光地をめぐるJR日光線と東武日光線の軌跡
・地域の産業を牽引した人車鉄道/郷愁誘う各地の廃線をたどる
・わたらせ渓谷鐵道の前身は足尾鉄道
・幾多の苦難を乗り越えた真岡線
・構想から25年を経て着工! 宇都宮~芳賀にLRTが走る
・要衝・下野国を貫く街道の変遷
・舟運で“蔵の街”となった栃木市

Part.3 栃木で動いた歴史の瞬間

・なぜ「那須」が付く市や町が多い?
・遺跡からたどる東山道と律令期の下野国
・平将門を討った豪傑・藤原秀郷とは何者か?
・足利氏には2つの流れがあった! 鎌倉幕府と下野御家人の関係
・名族宇都宮氏の栄枯盛衰
・ザビエルやフロイスも讃えた「坂東の大学」足利学校
・江戸幕府最大の聖地・日光東照宮創建
・廃藩置県、そして栃木県誕生!
・「一の宮」が2つ? 日光二荒山神社と宇都宮二荒山神社
・不毛の原野が酪農王国に! 那須野が原の大開拓

Part.4 栃木で生まれた産業や文化

・木綿、紬、絹織物、麻…栃木は織物の名産地
・益子焼が始まってまだ170年足らず? 益子が「陶器の里」になったわけ
・半世紀にわたって生産量日本一!! 栃木はなぜいちご王国になった?
・関東平野が工業誘致にぴったりだった? 宇都宮は新たなものづくり都市へ
・「それって栃木?」県名抜きで知名度の高い観光名所

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