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御館の乱が勃発!原因は後継者の指名漏れ?

上杉謙信には実子がなく、1564(永禄7)年にかつての政敵・長尾政景(まさかげ)が事故で溺死すると、その子(景勝)を養子として引き取っていました。また、1570(元亀元)年に後北条氏と和睦する際(越相(えつそう)同盟)には、北条氏康の七男を養子(景虎)に迎え入れていました
このように上杉謙信にはふたりの養子がいましたが、後継者を定めていなかったため、1578(天正6)年に上杉謙信が病没すると、上杉景勝と上杉景虎による家督争いが起きます。このとき上杉景虎は上杉憲政の屋敷・御館(おたて)(上越市)に立て籠もったことから、この争いを「御館の乱」と呼びます。

御館の乱での両軍の配置

『新潟県の歴史 第2版』(山川出版社、2009年)を元に作成

春日山城の約6㎞北にある御館を中心に戦いが繰り広げられ、越後全域に争乱が広がりました。景勝の本拠地である魚沼や三島(さんとう)、阿賀北、春日山城のある上越は上杉景勝側につきました。対して、上杉謙信の支持基盤であった古志・蒲原郡南部は上杉景虎方につきました。

御館の乱は一時的に和平を結ぶも上杉景勝が攻撃

上杉景虎の実家である北条氏は、甲相(こうそう)同盟(北条氏と武田氏の同盟)に基づき、武田勝頼(かつより)に景虎への援軍を要請します。しかし、春日山城本丸を押さえていた上杉景勝は、金蔵の金を交渉材料に武田勝頼と和睦(甲越同盟)。勝頼を仲介役として景勝・景虎は一時的に和平を結びますが、勝頼が帰国後、すぐさま上杉景勝は上杉景虎方の諸城への攻撃を開始します。やがて北条氏が正式に上杉景虎方への援軍を派遣してきますが、北条軍が雪道で足止めされている隙に、御館を攻め立てました。

御館の乱は上杉景勝が勝利し上杉家を相続

御館の城主・上杉憲政は、和睦交渉をするために、上杉景虎の嫡男を連れて春日山城へと向かいます。しかし、上杉憲政らは討たれ、上杉景虎は自刃に追い込まれてしまいます。かくして上杉景勝が、上杉の家督を相続したのでした。
御館の乱の終結後、景勝は景虎派を粛清し、自身と同じ上田長尾系の家臣を取り立てていきました。そして上杉氏は、豊臣政権下と徳川政権下で命脈を保っていったのでした。

直江兼続が居城とした与板城

城山(長岡市)の頂上に築かれた与板城は、長尾氏3代(為景、晴景、景虎)に仕えた直江景綱の居城でした。直江氏の後継者が絶えると、上杉景勝の側近・樋口兼続が入嗣して直江の家督を継承。直江兼続はそのまま与板城を居城としました。現在、与板城址の城山稲荷には、上杉氏の会津転封の際に家臣が植えたとされる「城の一本杉」が残っています。

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Part.1 地図で読み解く新潟の大地

・新潟の地質・地形概論(「米納津隕石、櫛池隕石」)
・約3000万年前に誕生した佐渡島 火山や地殻変動の痕跡がいっぱい!
・かつて圧倒的な産出量を誇った佐渡島の金銀山が生まれた秘密
・プレートの沈み込みが生む奇跡!糸魚川地域でヒスイが採れるわけ
・ヒスイ峡に3億年前のサンゴ礁!? 石灰岩でできている明星山の秘密
・日本列島を分断する見えない溝 フォッサマグナとはいったい何か?
・最長70㎞で10列をなす新潟砂丘は信濃川と阿賀野川がつくった!?
・約40年前から形成され始めた中津川に広がる河岸段丘の絶景
・約1000万年前の海底火山が生んだ新潟市・間瀬海岸の奇岩や沸石
・上信越高原国立公園・清津峡 圧巻の渓谷と柱状節理ができるまで
・産出量は文句なしの全国1位! 新潟県に油ガス田が多いわけ
・約300万年で2000mも隆起! 八海山が秘める地殻変動のすごさ

Part.2 新潟を駆ける充実の交通網

・東京と新潟をいかにして結ぶか?直江津線として生まれた信越本線

ほか、上越新幹線・北陸新幹線、上越線、飯山線、越後線、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道、新潟交通電車線、蒲原鉄道線などを紐解く。

Part.3 新潟の歴史を深読み!

・古代史総論/縄文時代 火焔型土器
・弥生時代 玉作と稲作
・越国が成立しやがて三国に分かれる
・中世史総論 城氏の興亡
・波月条絵図はなぜつくられた?
・上杉氏と長尾氏の複雑な関係(謙信による越後統一まで)
・御館の乱を経て景勝が越佐統一
・近世史総論……越後平野の開発
・鉱山都市相川の発展
・近世の交通
・近現代史総論
・北越戊辰戦争
・戦時下の新潟

Part.4 新潟で育まれた産業や文化

・大河津分水
・燕三条の金物
・西山・東山・新津の三大油田ほか新潟に発展した石油関連事業
・コシヒカリ
・越後杜氏と日本酒/越後縮
・冬の新潟が豪雪地帯となるわけと雪がもたらした観光業

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