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【弘南鉄道の歴史】平賀と弘前を結ぶ鉄道として設立

弘南鉄道の歴史は古く、大正時代にさかのぼります。青森県中南部の平賀(ひらか)地方は、奥羽本線から外れ、さらに現在の弘南鉄道弘南線とほぼ同一ルートで計画された弘前〜黒石を結ぶ鉄道も川部が起点のルート(旧・国鉄黒石線→弘南鉄道黒石線→廃止)に変更されてしまいました。このため、平賀地方と津軽の中心都市、弘前を結ぶ鉄道として、地元の有力者らが中心になり1926(大正15)年3月に弘南鉄道を設立。1927(昭和2)年9月に弘前〜津軽尾上(つがるおのえ)間を開業させました。当初は蒸気機関車による運転で、のちにガソリンカーを導入。戦後に燃料事情が悪化し、1948(昭和23)年に電化を行い、さらに1950(昭和25)年7月、弘南黒石(現・黒石)まで開業しました。

【弘南鉄道の歴史】大鰐〜中央弘前間を営業していた弘前電気鉄道を吸収

同じ頃、津軽平野の交通整理のため、当時の弘前市長をはじめ地元有力者により、大鰐〜弘前〜板柳(いたやなぎ)間の鉄道路線の建設を出願。こうして弘前電気鉄道が1949(昭和24)年7月に設立、1952(昭和27)年1月には大鰐〜中央弘前間を開業しました。しかし経営は苦しく、1970(昭和45)年には弘南鉄道に吸収合併され大鰐線(弘南鉄道は弘南線)となり、今日に至っています。

その後、前出の川部〜黒石ルートの旧・国鉄黒石線(1912年開業)が第1次特定地方交通線となり、1984(昭和59)年11月に廃止され、それと同時に、弘南鉄道黒石線に転換されました。弘南鉄道としては3路線目、例外的な非電化路線でしたが、1998(平成10)年4月に廃止となりました。

弘南鉄道の路線

弘南鉄道の路線

弘南線は弘前〜黒石間の16.8 ㎞を13駅大鰐線は温泉郷のある大鰐〜中央弘前間の13.9㎞を14駅で結んでいます。なお、廃線となった黒石線は、中間駅が前田屋敷駅のみの6.2㎞路線でした。

弘前鉄道の車両の歴史:オールステンレスの7000系が現役

弘南線と大鰐線では昭和の晩年まで、大手私鉄などから譲渡された他形式の旧型電車が走り「電車の博物館」の様相を呈していましたが、現在は弘南線が元・東急電鉄の7000系、大鰐線が同6000系と7000系で運行されています。

7000系は、1962(昭和37)年に誕生した日本初のオールステンレス車です。現在、通勤車などの鉄道車両はステンレス製が中心ですが、これを初めて実用化したのが当時の東急電鉄傘下の東急車輛製造です。米国のすぐれたステンレス車両に魅せられ、米・バッド社との技術提携によりオールステンレス製の7000系を開発。それまでの普通鋼も使用したセミステンレス車に比べ、耐久性の向上と軽量化が図られ、ステンレス鋼の特徴を遺憾なく発揮した画期的な車両となりました。

オールステンレス車は以降、7200系、8000系など東急電鉄の車両、私鉄各社、国鉄やJRのおもな車両に普及し主力車両になっています。そのパイオニアである7000系は、東急電鉄線から退役後、全国の地方私鉄に譲渡され、弘南鉄道は1988(昭和63)年にいち早く入線させました。製造からすでに50年以上が経過していますが、弘南鉄道の7000系は衰え知らずの現役で、オールステンレス車がいかにすぐれているかが実証されたかたちとなっています。

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Part.1 地図で読み解く青森の大地

・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち

・・・など

Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網

・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道

・・・など

Part.3 青森で動いた歴史の瞬間

・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく

・・・など

Part.4 青森で育まれた産業や文化

・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった

・・・など

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