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サウスカロライナ州の政治

サウスカロライナ州の選挙人の数は、9人です。過去に女性の参政権を否決するなど、頑なともいえるほど信仰心に厚く保守的です。安定して共和党を支持しています。

サウスカロライナ州は、南北戦争敗北の古傷に立ち向かう州

サウスカロライナ州は沿岸部の湿地「ロー・カントリー」が栄え、ここを耕して初期は米やインディゴを作り、貴族趣味の大農園文化が生まれました。英国領バルバドスや、西アフリカから連れてこられた奴隷たちが、海岸沿いの沼地を耕作し田園に変えたのです。

大農園の邸宅で、黒人のお手伝いさんが吊り下げ式の椅子に揺られ、農園主の子をのんびりあやす。現在は回顧することさえ憚られる南部プランテーション経済にあって、ことにチャールストン港は栄華を極めました。
奴隷を含む貿易と文化の拠点であり、独立戦争の頃には植民地の中で最も豊かな町の1つ。アメリカでゴルフが初めてプレーされ、最初期のオペラ公演が多くの人を呼びました。

南北戦争と再建期の古傷

けれどそれも南北戦争までの話です。
奴隷制度撤廃に反対し、いち早く合衆国を離脱して南軍の中心となったサウスカロライナ州を、北軍は徹底的に破壊しました。その結果、敗戦後1世紀以上にわたり、サウスカロライナ州は経済的、社会的、政治的に混乱して復興が遅れました。

人種差別問題は公民権運動を経てなお残り、今もディキシークラット(白人至上保守派)の影が政治にちらつきます。経済が上向き始めたのは1930年代のニューディール政策以降のことで、第二次世界大戦とその後の朝鮮戦争の好景気を背景に工業化が進みました。

現在のサウスカロライナ州の経済

現在のサウスカロライナ州の州都コロンビアでは、輸送機械や自動車関連の産業が盛況です。サウスカロライナ州の北東部スパータンバーグには、BMWをはじめとした製造業を中心に国際企業が進出しています。

伝統的な繊維業は衰退気味ですが、古き良き時代の町として売り出しているチャールストンの観光(奴隷博物館も観光資源)が大きく成長したことも手伝い、経済は全国平均に近づくまで回復しつつあるのです。

サウスカロライナ州を知るキーワード

サウスカロライナ州のキーワード:古都チャールストン

南北戦争以前に繁栄の絶頂を迎えたサウスカロライナ州の歴史ある町で、現在は観光の町。港にあるサムター要塞で、南北戦争の発端となった戦いが起きました。

サウスカロライナ州のキーワード:コロンビア

サウスカロライナ州の州都で、サウスカロライナ大学がある学術都市。サウスカロライナ州の州議事堂には南軍旗が掲げられていましたが、人種差別的だとされて旗は下ろされています。

サウスカロライナ州のキーワード:南部といえば

甘い甘いアイスティーで暑い南部の定番飲料。砂糖だけでなく重曹を入れたりします。サウスカロライナ州のチャールストンには、アメリカ唯一の茶畑があります。

サウスカロライナ州のキーワード:カタウバ族

サウスカロライナ州は、約30のインディアン部族が暮らした豊かな土地です。けれど現在はカタウバ族の居留地などがいくつかあるだけ。

サウスカロライナ州のキーワード:ゲロッパ!

偉大なジェームス・ブラウンは、軽快なファンク・ミュージックの始祖。代表曲で何度も繰り返すフレーズ「Get Up!」がどうしても「ゲロッパ!」に聞こえます。

サウスカロライナ州のキーワード:ガラ語

移民や貿易で2言語が合体した混成言語のうち、このサウスカロライナ州の州沿岸部に住むガラ人が話した言葉をガラ語と呼びます。今は大切に守られています。

サウスカロライナ州のキーワード:マートルビーチ

大西洋岸のリゾート都市。都市圏はノースカロライナにまたがっています。スプリングブレイク(春休み)の期間は学生であふれます。

サウスカロライナ州のキーワード:フルメタル・ジャケット

スタンリー・キューブリック監督の戦争映画で、沿岸にあるパリス・アイランド海兵隊訓練所の、厳しい新兵教練が描かれています。

サウスカロライナ州のキーワード:最高のゴルフコース

全米で初めてゴルフがプレーされたのは、サウスカロライナ州だったといわれています。人口に対するゴルフコースの割合はアメリカで最多です。

サウスカロライナ州のキーワード:グリーンビル

スパータンバーグと並んでかつての繊維業の中心地であり、工業化が進むエリア。タイヤメーカーのミシュランが北米本部を構えています。

サウスカロライナ州のキーワード:大豆クレヨン

大豆は、サウスカロライナ州の主要な農産物のひとつ。食糧や飼料用だけでなく、子どもが口に入れても安全な大豆を使ったクレヨンを作ったりしています。

サウスカロライナ州の著名人

サウスカロライナ州の著名人:小説家 ウィリアム・ギブスン

生まれはサウスカロライナ州ですが、すぐに引っ越したSFの大家。『ニューロマンサー』は世界のサブカルに影響を与えました。2009年からX(ツイッター)を使用中。(1948 ~)

『地図でスッと頭に入るアメリカ50州』好評発売中!

“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。

【見どころ―目次より抜粋】

1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州

2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道

3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢

4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)

巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)

【監修者】デイビッド・セイン

アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。

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